『Band Aid 2004』コンサートレポート。

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今日行ってきたのは、『Band Aid 2004』という平成16年新潟県中越地震吹奏楽復興のための吹奏楽チャリティコンサート。被災してしまった新潟県地方の吹奏楽愛する人々が、また、演奏活動を再開できるように応援するものです。まずは生活の復興が先になり、音楽などの文化活動は先のことになりそうだとはいえ、少しでもお金があればそれだけ早く始められることでしょう。集められた義援金は、新潟県吹奏楽連盟の『被災地の吹奏楽復興支援 義援金』として、現地の吹奏楽団体の活動再開のために役立てられます。(つまり、楽器購入やコンサート開催などです)音楽があるから生きていける、音楽は楽しい、音楽で元気になろう、そんな新潟県のバンドビープルに救援の手を。という訳です。


阪神大震災のときも、東京都小平市で同様のコンサートがありました。私はそれも聴いていますが、また感動させていただきました。今回は、東京都杉並区です。
まずはプログラムから。

『Band Aid 2004』2004年 新潟県中越地震 被災地の「吹奏楽復興支援」のためのチャリティコンサート

プログラム(敬称略)

  • 第1部・杉並区 中学生ステージ
    • 合同バンドA(杉並区立向陽・東原・和田中学校 3校合同バンド)
      • 指揮:渡邊 泰祐(東原中 顧問)
        • 行進曲『雷神』[スーザ]
        • 美女と野獣[真島 俊夫(編曲)]
    • 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 吹奏楽
      • 指揮:緒形 まゆみ(吹奏楽部 顧問)
        • A列車で行こう[ストレイホーン(デュークエリントン)]
        • 信じる[松下 耕(作曲)・谷川俊太郎(作詞)]
        • 吹奏楽のための交響的印象“海響”[和田 薫]
    • 合同バンドB[杉並区中学校 有志合同バンド](杉並区井荻・高井戸・富士見丘・向陽・東原・和田・阿佐ヶ谷の各中学校より参加)
      • 客演指揮:福田 洋介(04年度吹奏楽コンクール課題曲I 『風之舞』作曲者)
        • センチュリア[スウェアリンジェン]
        • コパカバーナ[マニロウ]
  • 第2部・高校生、社会人ステージ
    • 武蔵台ウィンドオーケストラ
      • 指揮:山本 英人
        • コンサートマーチ『セカンドセンチュリー』[リード]
        • 主よ人の望みの喜びよ[バッハ]
    • 小平青少年吹奏楽
    • 東京立正高等学校 吹奏楽
      • 指揮:稲尾 啓樹(吹奏楽部 顧問)
        • 行進曲『神秘な殿堂の貴族たち』[スーザ]
        • 舞踏会の美女[アンダーソン]
        • 世界に一つだけの花[槙原 敬之]
        • ビリーブ[杉本 竜一(作曲・作詞)]
        • ブラウド・メアリー[フォガティ]
  • 第3部・大合同演奏!! ステージ
  • 出場関係者・団体のWebサイト(出演順)
  • 掲載紙(当方で把握しているもののみ)

『被災地の吹奏楽復興 義援金』について



(本コンサートのプログラムより抜粋)

このコンサートの背景

阪神大震災吹奏楽復興支援のときもそうでしたが、このコンサートもまた*1東京の中学吹奏楽界が誇る名物指揮者である、阿佐ヶ谷中の緒形まゆみ先生が中心になって企画されたようです。阪神大震災の時は小平の中学校8校、高校3校、小平青少年吹奏楽団で演奏しました。緒形先生は当時小平六中で顧問をなさっていて、その踊るような指揮は印象的でした。小平青少年吹奏楽団の方をこの時タクトを取られていたか覚えていないのですが、常任指揮者を当時から務められていたと思います。その縁で、杉並区内以外にも、小平青少年吹奏楽団が今回参加団体に加わっているようですね。


つなぎのトークで先生方からお伺いしたお話を書いておきます。
10/23に震災がありました。昨年、阿佐ヶ谷中が吹奏楽のある大会で新潟県を訪れてお世話になった縁があり、新潟県上越地方の吹奏楽関係者の方にお問い合わせしたところ、中越地方は学校そのものが危険で、避難所を変えないといけないような地域もあり、当然吹奏楽部も壊滅状態にあるとのこと。中学高校の吹奏楽界はこれから、全日本アンサンブルコンテストの各地方予選のシーズンなのですが、11月や12月にある新潟県予選は、かなり絶望的とのこと。
そのため、現地の吹奏楽復興支援を思い立ち、10/29に各学校の吹奏楽部の先生方などと打ち合わせ。曲が決まって楽譜が配られて、など、ほとんど練習期間は1週間やそこら。また、時期的に大半の3年生は受験準備で出演できないなど、多くのご苦労があったようです。11/7に中学合同Aの合奏がやっとできたり、中学合同Bは本番当日の午前中、という、スピード仕上げでした。
でも、生徒たちのパワーと熱意に押され、逆に大人が励まされて本日を迎えたとのことでした。


会場では、吹奏楽部以外の有志(家庭科の先生方だったと思います)により作られたクッキーが販売され、また、今日の様子を杉並区民の映像作家の福田氏(お名前がちょっと分かりませんでした)によりビデオ撮影され、そのビデオ・DVD販売もあり会場で予約を受け付けていました。これらの売上金も今回の義援金になります。こういった、一回の演奏会を最大限に利用した有意義なチャリティはすばらしいと思いました。私もDVDを予約しました。

id:Yuny:20041102#p1から追記
届いたDVDによりますと、ビデオ制作は以下の方々です。

  • 映像作家・福田周叶氏(撮影と編集)
  • 映像演出家・清野城一氏(撮影協力)

さて、以下は演奏会の感想です。大きく美しい音の華で魅せていただきました。かつてバンドっ子だったトロンボーン吹きとして、かなり好き勝手に書かせていただきますね。個人の日記ゆえのこと。ご了承下さい。

第1部・杉並区 中学生ステージ

  • 合同バンドA(杉並区立向陽・東原・和田中学校 3校合同バンド)
    • 行進曲『雷神』[スーザ]
    • 美女と野獣[真島 俊夫(編曲)]

普段は十数名という少ない人数で練習している学校もあるというこの3校。多分、合計で50名編成クラスの人数ではないかとお見受けしました。今回、バンドを組むに当たって、普段とは違う音のバランスにご苦労があったのではないかと推察します。クラリネットとホルンとユーフォニアムにやや、音程的不安定感があったものの、全体的に若々しい演奏でした。この短期間で大半が1・2年生だったら、スコアを頭に入れるだけでも大変だと思うのですが、よくここまで板(舞台)に乗せるところまでこぎ着けたな、と。私が中学のときだったら、この短期間ではここまでやれたかどうか、と、自分と重ねあわせながら聴いていました。

  • 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 吹奏楽
    • A列車で行こう[ストレイホーン(デュークエリントン)]
    • 信じる[松下 耕(作曲)・谷川俊太郎(作詞)]
    • 吹奏楽のための交響的印象“海響”[和田 薫]

阿佐ヶ谷中学校は、個性的な演奏を披露して下さいました。譜面台なし。いすだけ。それも『A列車』はほとんど立って演奏していたような。ずっとかがみっぱなしでソロパートを目立たせる演出もありました。とくに大変だったのはおそらく、Tubaのある男の子でしょう。どう見ても体と楽器の大きさが合っていないのに、音に乱れは全くありませんでした。Tubaが乱れたら、この種の曲は成り立ちませんよね。最後をキメたトランぺッターにブラボ〜。とにかく、演出だけでも爆笑ものでした。打って変わって『信じる』は楽器を置き、ピアノとの合唱でした。美しい曲でした。何と言うか、文章に書けないくらいじーんときましたね。『海響』は和太鼓の響きとか、日本が好きになるような曲で、新潟県という日本の一部にこの願いが届いてほしいなと。ちなみに、太鼓の台は、生徒さんのあるお父さんがお作りになられたそうです。お疲れ様でした。

  • 合同バンドB[杉並区中学校 有志合同バンド](杉並区井荻・高井戸・富士見丘・向陽・東原・和田・阿佐ヶ谷の各中学校より参加)
    • センチュリア[スウェアリンジェン]
    • コパカバーナ[マニロウ]

103名の『センチュリア』と『コパカバーナ』なんて、めったに聴けるもんじゃありません。なお、客演指揮の福田先生は杉並区民で、今日も自転車で会場入りなさったとのこと。若くてかっこいい方でした。合わせをやったのはこの午前中だけ。ステージはさすがにキツキツで、最後尾のトロンボーンパートなどは立奏でした。先生は『センチュリア』の中間部の緩やかで美しいところで、被災地への祈りを込めよう、とおっしゃったそうですが、本当にいい音をしていました。『コパカバーナ』は、寄せ集め状態の中、どうやって各パートの独奏者を決めたのかが謎ですが、みなさん素晴らしかった。手拍子でお客さんもノリノリでした。トロンボーンソリストさん、あんな狭くて周りの音が大きいと言うのに、よくもまあ、鳴らしてくれました。おつかれさま。
なお、第1部と第2部の休み時間の間に、福田先生が若い女の子に囲まれてサイン攻めされていましたね。やっぱり頂いておけば良かったかなあ。快く応じていた福田先生は素敵です。

第2部・高校生、社会人ステージ

  • 武蔵台ウィンドオーケストラ
    • コンサートマーチ『セカンドセンチュリー』[リード]
    • 主よ人の望みの喜びよ[バッハ]

やはり、吹奏楽と言えば行進曲、というのを思い起こさせてくれた『セカンドセンチュリー』は、大人サウンドで締まったマーチでしたね。『主よ』も大人のサウンド。祈りに満ちていました。

この2曲はアダルトな選曲。曲を聴けば思い出す、そんなものばかりでしたね。きっともっと大人の方には、人生の折々を思い出すような曲も含まれていたことでしょう。懐かしの時間をありがとうございました。また、このバンドの皆さんは、ステージ上のいす・譜面台の並び替えなど、舞台進行役としても大活躍でした。すみやかな進行ぶりでした。

スーザのマーチは吹奏楽の基本、だと勝手に思っています。マーチング活動も含め、各所でたくさんの演奏会をこなしている吹奏楽部ということで、手慣れた印象でした。『舞踏会』は小学校の給食の時間が確かこの曲で始まったような。ちょっとだけ懐かしい思い出。『世界に一つだけの花』はこういう演奏会にもってこいですね。手拍子がおきました。歌詞を暗記していなかったのが残念。『ビリーブ』は楽器をおいて、前の方に並んでのピアノ伴奏による合唱。手話で歌詞をたどりながらの演出に、ジーンときました。最近の吹奏楽部は音感と感性を豊かにするために、合唱指導も行っているそうですが、この学校もそうなのでしょうか。『ブラウド・メアリー』は打って変わっての明るいノリで、会場を沸かせてくれました。

第3部・大合同演奏!! ステージ

  • 全団体の総出演者が結集! 元米米クラブ・Sax奏者のオリタ・ノボッタ氏も急きょ参加!
    • 海を越える握手(スーザ)
    • 愛は勝つ(KAN)
    • アンコール・海を越える握手(スーザ)

300名の360度サウンド。というのは、この会場は2階席があり、そちらにも演奏者が上がり、また、一階席の左右にも並び、さらにステージ上には東京立正高校と、大合奏となったからです。私は1階の前後からも左右からも中央の座席だったので、まさしく360度のスペシャルサラウンドというゴージャスさでした。また、『何かできることはないか』と会場に楽器を持って急きょ飛んできた、実は杉並区民でもあるSax奏者のオリタ・ノボッタ氏。サックスパートに混じってちょこんと座って、ほとんど東京立正高生のようなノリで演奏していました。隣のサックス吹きの少年はさすがに緊張したのかな? どうでしたかな?
『海を越える握手』は迫力のサウンド。体が踊り出すようなパワーでした。『愛は勝つ』は、阪神大震災のチャリティの時もトリに持ってきて合唱された曲です。歌詞カードが配られており、お客さんみんなで合唱。さすがに楽器の方が音が大きかったですが、歌って気持ちが良かった。さらに、アンコールの手拍子が入りました。さすがに用意なんてしていないようでした。『雷神』はできない人も多いので、もう一度『海を越える握手』で。緒形先生が「最後ですからスタンディングオベーションで弾けましょう!!」とおっしゃられて再演。曲の途中から、最初に前の方のおばさまがご起立になって、周りの皆さんに手で合図をなさいました。それを受けて、お客さんが立ちはじめ(私も後ろの席をちょっとあおっちゃいましたが^^;)演奏が終わる頃には8割くらいの方が立って手拍子を打ちながら盛り上がっていたと思います。この盛り上がり方は、まるで、映画『スウィングガールズ』のラストシーンみたいでした。心の底から震えがくるほど感動しました!!


会場から帰る際、楽器ケースを広げて大道芸人のように義援金をつのっていた生徒諸君。君たちは素晴らしいです。ほだされてさらに財布の紐が緩みました。
帰り、さっそうと車でオリタ・ノボッタ氏が去っていくのを、校門前で目撃しちゃいました。かっこいい男は、排気ガスすらかっこいいです。(アレ?)


ともあれ、この熱意が、新潟県吹奏楽界の復興に役に立ちますように。震災後3週間で迎えた本番とは思えないくらい充実したステージでした。もちろん、おそらく普段から活発な練習や団体間の交流があったからこそ収めた大成功だったと思うのですが、演奏者のみなさんの熱意が一番大きいエネルギーだったと思います。
吹奏楽関係の方が、これをお読みになられましたら、次の演奏会で、新潟県吹奏楽連盟へのチャリティもお考えになられてはいかがでしょうか。ぜひご検討頂きますよう、一人の聴衆としてお願いいたします。
本日はみなさん、本当にありがとうございました。はてなid:Yunyがお伝えしました。

はてな吹奏楽クラブ』の皆様へ。

入部早々すみません。はてなダイアリークラブはてな吹奏楽クラブ』の皆さんに勝手ながらトラックバックさせていただきます。ご迷惑でしたら削除いたします。画面左上の『web拍手』等でid明記の上でご連絡下さいませ。もしも、リアルでご所属の吹奏楽団で演奏会があるのであれば、チャリティをご検討頂ければと思います。また、個人的な寄付もお考え頂ければ幸いです。……できれば、『はてな吹奏楽クラブ』とか、はてなユーザーで音楽をやっている方々で、チャリティコンサートをやれたらいいな、と思っています。(^_^)


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よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

*1:2005/3/6追記。失礼しました。当時と主催者まで同じかどうかは資料がなかったのですが、当時も緒方先生の小平青少年吹奏楽団と小平の中学が出演なさっていたので勘違いしていたようです。web拍手でコメントいただいた方、ありがとうございました。