- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/03/05
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何となく手を出せずにいました。深い理由はありませんが、多分……高校時代に「指輪物語」を読破した時のような「迷いの無さ」が、ここ数年薄れているので、そのせいかも知れません。
この夏、アニメ映画になっていますね。
昨夜から今日にかけて一気に読破しました。なんで今まで読まなかったのかなあ。子どもの頃の気持ちを思い出したい人におすすめかも。
最後の最後まで引っ張って離さない、怒濤の展開にクラクラしました。生活の用事で読み止めた時も、この話の世界にドップリ。この感覚はひさしぶりです。
多少ネタバレ。未読の方は飛ばして下さい。読みたい方はドラッグで選択してテキストエディタにコピー&ペーストです。
この種の、現実世界から異世界に行く話は昔から多々あります。しかし、主人公の少年に対する現実世界の問題に対する書き込み量がすごいこと。小学校の頃の「純粋な邪悪」といった気持ちを、なんてリアルに書いているんでしょう! そして、大人の世界に巻き込まれた状態の描写がスゴい。何となく逆転裁判の「オトナの世界は厳しいんだぞ……」を思い出してしまいました。
小学校時代の友人に、両親が離婚とか死別とかで別れてしまった子は何人もいますが、私はちゃんと友人として付き合っていたかどうかとか。主人公が経験する心の旅路は、私の旅路でもありました。
「人柱」設定は「魔法騎士レイアース」にもありました。あれは子どもゴコロにショッキングでした。比べているわけではありませんが、「ブレイブ」の展開もいいですね。
最近は「MOTHER」くらいしかやってなくて、剣と魔法のファンタジーからは離れてしまっていますが、ファミコンRPG世代ならグッと来てしまうでしょうね。それに、現実世界とのダブり方が、「MOTHER」で感じた雰囲気とかぶりました。パクリみたいな事を言いたいのではなく、この「ファンタジーを通して読み手の心が成長する」感じ、ジャンルを問わずに大好きなんですよね。RPGファンなら読んでおくべき。
作中のRPGに対する描写はかなり濃いです。「サーガ」をプレイしてみたくなったのは私だけじゃないはず。それにしても主人公二人が同じ世界描写になったって事は、やはりもう一人の彼もゲーマー?
もう一人の主人公の気持ちも分かる気がしました。やるべき事の一直線しか見えていなくて、そのまま突き進んでしまったという。人の資質を量るのは、能力ではなく視野。主人公は友人を大切に出来たことが、ゴールにたどり着けた理由です。やはり寓話でもあるのかもしれません。人を大切にしながら、自分のやるべき事を迷わずにつかみ取ること。これって簡単なようで難しいです……。
実のところ、なんでこんな厚い本を買っていたのか、自分でも謎です。でも。久しぶりなんですよね、この「一本読み切った!」感じ。気持ちよく読めました。