日本科学未来館見学

5日までで会期が終了する企画展「65億人のサバイバル」と、今日で終わる専修大学ネットワーク情報学部有志学生展「コウサ展」を見るために、日本科学未来館へ行ってきました。
見た順序で記録します。

ASIMO

昔、うちの日記でちょこちょこASIMOネタをやっていましたが(アテネ五輪の頃だったかな)、まあ、ASIMOは大好きです。未来館に行くと必ず見たいのが彼(性別はないか)。あの独特の歩き方がすごい好きなんです。
今日行ってみたら、何か前に見たよりも小型化しているような気がしたんですが、気のせいでしょうか? はてさて。相変わらず、なめらかに動きますし、階段だって上り下りできて優秀ですよね。一人いてくれたら、愉しいかもなあ。

「コウサ展」

これを見たくて今日行ってきました。大学生の制作展って、やりたい事を掛け値無しにやって、でも微妙に未熟者だったりするあたりが面白いんですよ。どんなジャンルにしても、惜しいところまで行ってるからツッコミ入れたくなる。ある意味で嫌な来館者? ともあれ、いろいろと意欲的な作品がありました。ただ今日はちょっと観覧時間が短くなってしまったので、じっくり見られた作品についてのみ書きます。他の作品は書けなくてすみません。

  • 『1DAY-みんなの24時間』
    • 職業選択にあたって、ライフスタイルはどうなるか……を具体的に想像するのは重要ですよね。そこで、先にその職業で働いている人たちの生活を蛇腹型の本にまとめ(起床時間が何時とか夕食がいつとかを写真入りで)、各職業別にパンフレットみたいに見る事ができたり、あとパソコン上でその職業のICカードを読み取って、時刻を横断比較したりする作品。職業によっては出勤が昼や夜だったりとか、労働時間がどうだとか、いろいろあるので、職業による生活時間の違いが実感できます。
      • これはもっとブラッシュアップしてハローワークとかに置いておいたら面白いかも。就職してから後悔しないためにも。
  • 『JUN-G ライブハウス2.0』
    • ライブハウスでのライブ(想定はインディーズ系)を開催するための情報管理や様々な局面での共有をRSSやMP3等の技術を利用する事によって低廉&弾力化し、CDなどのパッケージメディアに依る音楽ビジネスの行き詰まり感を、ライブハウスに人を呼び込む事で脱却しよう、というような意欲的なビジネスアイデアとそのためのネットワーク構築。
      • 音楽を聴く場所はCD&コンポだけじゃないわけで。考えてみたら音楽は元々ライブなもの。私がクラシックな演奏会が好きな理由と、ロックのライブが好きな人の理由って、広い意味では多分同じじゃないかな。演奏会場にしかない音があります。
  • 『全方位写真を用いたバーチャルマップ作成・閲覧システム』
    • パッと見QTVRパノラマみたいな感じでしたが、風景を各所でパノラマ写真として撮影して取り込み、各場所のつながりにリンクを付け、その近辺の地図と解説文と一緒に表示できるバーチャル地域案内写真。
      • 操作系がまだまだこなれてないかなあと。アイデアは面白いのでパッと見もっと直感的に分かりやすくできるといいと思いました。現地の写真を操作できるところは面白かったです。
  • ナタデココ〜速攻! アイコンによる組み立てプログラミング』
    • プログラミングの知識がなくても、いろいろと部品を組み合わせる感じでプログラムを作れる制作環境。http://natadecoco.infoでテストできるバージョンを配布しています。ご利用は自己責任、でしょうね、多分。
      • きちんとパッケージやパンフレットを作り込んで紹介しているあたりがしっかりしている感じがしました。まだ四則演算程度の物らしいですが、がんばって良い物に仕上げて下さい。やりようによっては大化けするかも?*1
  • 『ディジタル万華鏡を作ろう』
    • このチームでは2つの作品が作られていました。一つは、ケータイのカメラ機能を使って撮影した写真をケータイの画面内で万華鏡の用に多面表示するアプリケーション。まだ開発途上なのでパソコン内での処理でしたが。もう一つは千代紙やイラスト等に万華鏡処理をして壁面投射してムードを盛り上げるアプリケーション。
      • 自分の写真が万華鏡になるというのは貴重な経験でした。しかし、人物の顔を万華鏡にすると不気味です。カメラ付きケータイが万華鏡にできる、というのは完成したらシェアウェアとして立派にやっていけそうなアイデアですね。現状ではまだまだこなれていませんが。万華鏡の壁面投射は面白かったです。壁面の材質次第でいくらでも可能性がありそうです。ふすまや障子に映したらきれいかも。


いずれも意欲的な物で、大学生頑張れ、と素直に思いました。

『65億人のサバイバル』

地球上が有限で、いろいろなモノには限りがある、という事はみんな知っているはずです。そんな中、人類が生きていくためにはどんな可能性があり得るのか、そして、人間が生き残るためには? というテーマだとすぐにエネルギー問題とか食料とか温暖化とか出てきますが。今回はWebというか情報についても扱われていました。情報共有が人類生き残りのためのツールだというのは事実だと思います。
風力発電を体感するためにうちわを扇いで発電機を廻してみたり、電球1個が点灯するための発電で排出されるCO2量を風船のふくらみで表してみたり。具体的で面白い展示でした。
地球上にある食料をカロリー換算してみたら、何億人まで生きられるでしょうか? 一人アタマが生存ギリギリの1800キロカロリー/1日だとして131.7〜263.5億人。つまり、現状では地球上では300億人は生きていけないそうです。そして、一人当たりが2700キロカロリー(今の日本人の平均摂取量)だとすると89.6億人〜179.1億人。贅沢な食事をしようと思えば、90億人も生きられないかもしれない……、でも、人間は増えていきます。どうすればいいか。生産効率を高めたり(品種改良、遺伝子組み換えなど)すればいいのか。でも、それでも限度はあるでしょう。ダイエットが必要なほど太っている人が増えた一方で、食料不足もある地球の歪み。心配です。


この展示はあちこちを巡回するため、全部をコンテナに詰めて、コンテナも展示品の一部になる(パネルの壁面として使う)ように作られているのが、レイアウトとして面白いところでした。


帰りしな、ジオコスモス(映像式地球儀)の解説を見ていましたら、この100年で温暖化がどれだけ進むかのシミュレータも見る事ができました。あっという間に赤く白くなっていく地球のサーモグラフィ。人間はどこへ行こうとしているのか……。
ASIMOのようなヤツが家庭に入ってきて何かをしてくれる未来が先か、それとも人類に滅亡フラグが立つのが先か。……って、殺伐としてしまったのは、今日の展示の総合的な感想です。

追伸『セレーネ「月に願いを!」キャンペーン』(JAXA開催)

未来館でチラシ配ってました。
この夏に打ち上げる予定の月周回衛星「SELENE」(セレーネ)に搭載する名前とメッセージを募集しているみたいです。2月末日まで締め切り延長らしいです。月にメッセージを託すロマン!
詳しくはこちら。
http://www.jaxa.jp/event/selene/index_j.html

*1:ちょっと思い出したんですが。私は昔、大学の卒業制作で、「ナタデココ」と似たようなムードを持つオブジェクト操作+アイコン式マルチメディア制作環境(リッチメディアオーサリングツール)「iShell 2」で楽器博物館をMac上に制作した事がありました。確かあのときは日本語版がリリースされて1週間で修得して卒業制作のテストバージョンを仕上げて先生にお見せしたんですよ。しかし、ベンダーのトライブワークスジャパンが日本からあっという間に撤退してしまい……。悲しい想いをしました。個人なら無料で使えたので、プラグインの対応次第によってはFlashやDirectorの代替え環境としても充分使えるであろう物だったんですが、残念な事でしたね。まあ、あれは日本語の扱いに大きな問題がありましたし。日本語版制作発表記事に画面が出ていますが、懐かしい気がします。Flashがこの環境で作れたら驚喜しますよ、ほんとに。一時期は人が結構いた米国tribeworksのサイト(http://www.tribeworks.com/)も、今は何もありません。残念。未だに日本語版のチュートリアルマニュアル持っていますが、「Web時代のHyperCard」を目指したこのソフト。どこかで引き継いだりオープンソースにしたりしたらよかったのになあ。あのユーザインターフェイスはもっと評価されるべきです!