つまらないITは、人を殺すこともある

「うつ」かもしれない 死に至る病とどう闘うか (光文社新書)

「うつ」かもしれない 死に至る病とどう闘うか (光文社新書)

書店でふと目に留まって買いました。
このご時世、自分のためにメンタルヘルスについての知識を持っておこうと思って読んでいましたが……。
この本の中に、苦手なパソコンを使わざるを得なくなって、うつ病の末に自殺してしまった方の事例が掲載されていて、非常にショックを受けました。


もしも、この人にとっても、やっぱりパソコンが楽しい物だと教えてくれる人が居れば。
もしもちゃんと人間的なユーザインターフェイスを持ったアプリケーションでその仕事をこなすことになっていたとしたら。
少しは結果が違っていたかもしれないです……。


ITは人間のための物です。もっと便利で豊かに生きるための技術であると思います。


この方のご冥福をお祈りいたします。


この本には、精神科のお医者さんが、もしも自分がうつ病にかかったら、どういう治療をお願いしたいか、という視点でも書かれている章があります。
そして、どうしてもどうしても救い出せなかった、何人かの患者さんの自殺エピソードも、おつらいのに書いてくださいました。
本書で本当に、「うつ」病は誰でもなってしまうかもしれないこと、そして、適切な対応をすれば、助けられるかも(られないかもしれないけれど)しれないこと、が率直に分かりました。
「うつ」病になりやすい性格なんて、実はないみたいですね。まじめな人がかかりやすい傾向はなきにしも……ですが、楽天的な人でも追いつめられて発病、ということもあるみたいです。
それに、性格は多面的な物ですし。同じ人でも、状況によって几帳面だったり、ズボラだったりするものですから。


私は3時間くらいで読破しました。
決して楽しい本ではありませんが、医学関係の本だからといっても、非常に読みやすいですよ。
この本の教訓を生かして、楽しい人生を送れるようなこつこつとした努力をしていきたいものです。