近代五種漫画、読みたいかも。

近代五種が終わってしまいましたが。別にファンでも無いんですが、冬季五輪のバイアスロンノルディック複合以上に応用競技であるこの種目、日本でももう少し盛り上がっても良いんじゃないかと。

で、ずいぶん前にWebで見かけた『近代五種漫画』。近代五種をスポ根系少年漫画にしたらこうなるんじゃ、とかいう勝手な妄想系アイデアではあります。でも、これがなかなか面白い。
というわけで、WebArchiveから拾ってきました。元サイトが完全に削除されていますので読みたい方はどうぞ。なお、文字コードはShift-JISに直して表示してくださいね。
http://web.archive.org/web/20060505064509/www.at.sakura.ne.jp/~micro/crude/kchat/penta.html
http://web.archive.org/web/20060517000022/www.at.sakura.ne.jp/~micro/crude/kchat/penta2.html
より転載。

それゆけ近代五種漫画

現代には様々なスポーツ漫画がありますが、意外に見つからない競技もあります。7人ラグビー、カヌー、ウェイトリフティングetc.etc.そんな中でも、これはないだろうというのが近代五種漫画。ならばこちらでアイデアを出してしまいましょう。
近代五種とはクーベルタン男爵が考えた競技で、将校が敵陣に侵入して、情報を集めるための競技なんだそうな。「陸上」「水泳」「フェンシング」「馬術」「射撃」の五種目からなる、オリンピックの花形競技である。近代五種漫画の台頭により、日本に若干の近代五種ブームは作れるかも知れない。(余談だが、アトランタオリンピックから近代五種サマランチ会長の「面白くないから」という何とも勝手な理由で、競技日程が4日から1日に縮められてしまいました。1日でこれらの競技を全てこなす選手のタフさにも感服致します。余談ついでに、アジア大会では1998年のバンコク大会から近代五種種目として行われなくなってしまいました。どうした近代五種! 近代競技の集大成じゃないか。)(追記:確か2002年のアジア大会から復帰してましたね)

あらすじ1

近代五種でオリンピックに出場し金メダルを取ることを夢見る少年山川は、高校入学と同時に、苛酷にも陸上部、水泳部、フェンシング部、馬術部、そして射撃部の5つのクラブに所属。自分がいかに近代五種に憧れているかを先輩に話し、何とかかけもちを認めてもらおうとする。しかし断固認められないと主張する陸上部部長川崎に山川は五種勝負を挑まれる。実はもともと近代五種を目指していたが挫折した川崎は、いかに山川の考えが甘いかを実践を持って示そうとする。
しかし、山川は自分が天性の近代五種の才能の持主であることを知らず、この勝負に圧勝してしまう。これに打ちのめされると共に感激した川崎は、陸上部をやめ自ら彼のコーチとなることを宣言し部長職を後輩に譲る。

あらすじ2

幼い頃より近代五種のトレーニングを受けていた川崎のコーチの元で、山川は苛酷な5つのクラブのかけもち活動を続ける。
そして秋、全日本高校生近代五種選手権に出場した山川は全国レベルの厳しさを知り、挫折しそうになるが、川崎に励まされさらなるトレーニングを続ける。翌年、二人は学校に近代五種部の設立を要求するが、学校側から意地悪な条件を出され困惑する。そこに同じく近代五種に憧れる後輩佐々木が表れ条件のクリアのために尽力する。何とか条件をクリアし、近代五種部を立ちあげた3人は夏の全国大会目指して毎日激しい練習をする。しかし大会直前馬に乗りなれていなかった佐々木が落馬して骨折。山川は彼の分も頑張ることを誓い、全国大会へ乗り込む。約一年間の彼の成長は目覚ましく、多くの成人近代五種選手を驚愕させる。しかし、どんな卑怯な手を使ってでも優勝を目指す実業団近代五種グループの執拗な妨害にあい。山川は優勝こそ逃すが、彼等の妨害は白日の元にさらされ、次回からは健全な近代五種大会が開かれることが期待されるようになる。
そしていよいよ、秋の全日本高校選手権の日がやってきた。佐々木の骨折も完治し、万全の状態で望む近代五種部。

あらすじ3

高校選手権で見事優勝を勝ち取った山川。惨敗した佐々木に川崎は去年は山川もそんなものだったと慰める。奮起する佐々木、山川もオリンピックの日本代表になれるようにとさらなる健闘を共に誓う。
川崎は卒業が迫っているが、近代五種にうつつを抜かしていたため進学先などが決まっていない。猛勉強を始める川崎。川崎の指導の無いまま熱心に活動を続ける近代五種部だが、人数が少ない上、できたばかりの癖に好成績と他のクラブからの嫉妬などもあり、なかなか活動に打ち込めない。
何とか体育大学への推薦を取った川崎が進学後もコーチを続けること、進学先の大学で近代五種を続けられるように大学に働きかけることを約束。そして川崎は卒業し、山川も3年生へと進学する。
インターハイ優勝の噂は広まり、近代五種部も若干の新入部員に恵まれる。しかし川崎の激しいトレーニングにリタイアが続出する。天性の才能を持つ山川と幼い頃からトレーニングを積み続けた川崎に比べれば、やはりこのトレーニングはきつかったのか。
そこで佐々木の発案した基礎的近代五種トレーニングが軌道に乗り、再び円滑な活動を始めた近代五種部。いよいよ3年の夏。川崎の勧めもあり、再び部員全体で夏の全国大会へ出場する。山川、佐々木はそこそこの良い成績を残し、将来の日本近代五種界の充実を感じさせられた。
山川は、秋の高校選手権で圧倒的な強さを誇り優勝。佐々木も好成績を残し、新入部員達もまたそれなりの成績を残す。
川崎と同じ大学への進学を決めた山川は大学での近代五種を夢見、高校を卒業する。

ここで一時、話は山川の中学生時代に戻る。

あらすじ4

とりあえず、連載漫画はここで山川の中学時代に戻り、なぜ彼が近代五種に惹かれるようになったのかを語る。
中学1年の秋に、山川の通う中学にイギリスからの転校生スミスが来た。最初は、身近な欧州人ということで物珍しさも手伝い、スミスはそこそこの人気者になるが、やたらと祖国を自慢し、日本をこきおろす彼の態度に皆嫌気がさし、段々スミスは孤立していく。
そんな中、山川は特に気にすることなくスミスと遊んでいた。持前の明るさから、そのようなことでは仲間外れにはされない山川であったが、ある日、スミスに家に招待される。こっそり、スミスの家を訪れる山川。スミスの家は広く、敷地内に射撃場があった。その他、小さいながらもジムのような部屋もあり、スポーツへの取り組みが熱心であることを感じさせられた。そこで、スミスが初めて明かす彼の初めての外国での暮らしに対する不安、彼の祖国自慢は強がりだったのだ。スミスに理解を示す山川。
そこに、スミスの父親が帰ってくる。山川は、射撃場やジムの存在について、スミスの父に聞き、なぜこのような設備を家においているのか質問する。

あらすじ5

スミスの父は元イギリス近代五種のオリンピック代表であり、現役を引退し商社で働いているが今でもトレーニングを続けているとのことであった。近代五種を全く知らなかった山川は近代五種はどのようなものかをスミスの父に聞き、好奇心から少し試してみたいと頼む。
そこで、スミスの父は幼い頃から少しずつトレーニングさせていたスミスを相手にとりあえず家にあるものを試させてみる。射撃などの危険なものは避け、陸上とフェンシングをスミスと競う山川。もともと運動神経の良かった山川は陸上はスミスに勝つが、フェンシングは全く慣れていないためスミスにはこてんぱんにやられてしまう。
勝負を終えた(2種目ではあるが)山川は、他の3種もやってみたいという感想をもらす。そこで後日、スミス家の別宅に山川は招待され、他の種目を試すことになる。

あらすじ6

夏休みにスミス家の別荘に招待された山川、馬術、射撃の基本的な安全性の手ほどきを受けただけでスミスと勝負することになった。ほとんど練習なども積まないうちに勝負する羽目になったが、山川は生まれついての才能から陸上と水泳に勝利した上、フェンシングではほぼ互角、馬術、射撃も惜しいところまでいった。このあまりの成績の驚愕のスミスの父は、山川に近代五種を本格的にやるように勧める。また、少々プライドの傷つけられたスミスは、今までは親に勧められるだけで、それほど熱心でなかった自分を反省し、練習に熱心に取り組むことを誓った。

山川は近代五種への情熱は植え付けられたのだが、いかんせん練習の場がないこともあり、段々情熱も薄れて行ってしまった。
しかし、中学3年生のときの秋、スミスがイギリスに戻ることになった。山川はスミスとの勝負を思いだし、高校に進んだら近代五種に本格的に取り組もうと決意した。
スミスとの別れの日、山川はお互い次に会うときはオリンピックの会場だと固く約束を交わし、スミスの乗る飛行機を見送った。

つづいて大学編

あらすじ

大学編スタート
川崎と同じ大学に期待に胸を膨らませて入学する山川。しかし、川崎は近代五種部の設立までは行ったものの、その後なにがあったのか生活が荒れてしまい、今では部室で酒浸りの日々だった。川崎に何があったのか!? 近代五種への情熱を再び燃え上がらせて欲しいと切に願う山川。しかし川崎はそんな山川の真摯な願いすらも裏切ろうとするのだった。部室に置かれた山川のもつライフルを転売して金にしようと、一人道具類を手に取る川崎。
そこにちょうど現れた山川。やましい思いからしどろもどろの言い訳をする川崎。しかし、あくまで山川は川崎の情熱を信じているのだった。川崎の心に迷いが生じる。自分はこのまま自堕落な生活を送っていていいのか。ライフルを抱えたままじっとたたずむ川崎、山川はまるで見透かしたような目をして部室を去るが、それは川崎の錯覚なのかもしれない。
山川は川崎を励まそうと佐々木を連れて現れる、苦労した高校時代の仲間を語り合えばあの情熱が戻るのではないかと考えたからだ。そんな先輩思いの山川のがんばりについに川崎は、自らの役割を取り戻そうと決意するのであった。

あらすじ

確かに、川崎は大学に近代五種部を設立していた。しかし、川崎自身は既に選手としての自分の能力のなさは自覚していたのだ。新しい部を体育会に加盟させたことで、嫌がおうにも近代五種部は周囲の目にさらされる。しかし、新設された部にたった一人居るのは選手としての能力に欠けるごく平凡な一人の男。山川を待つ川崎の一年間は、そういったまわりの視線と劣等感と戦う過酷な日々だったのだ。
いつしか、そういった見えない圧迫感にたえきれなくなった川崎は、酒に逃げる日々を送り始めたのだった。確かに、川崎に選手としての能力はなかったかもしれないが、山川の力をさらに引き出したコーチとしての経験は素晴らしいものがある。
川崎は、山川と佐々木の笑顔を見ながら、今日この日から、再び山川と川崎の、二人三脚の近代五種部をスタートさせようと誓うのだった。高校時代の活気溢れる川崎が戻ってきてくれたことを喜ぶ山川。とりあえずは実績のない昨年が原因で、しょぼくれてしまった活動場所の獲得からスタートさせようと、高校時代さながらに5種類の競技のクラブへと武者修行に出るのであった。

まだまだ続くよ!!


……って、元サイトにはここまでしか無いんですが、かなり面白いかもしれない。
あらすじ9以降が気になります。
ないなら作れ。勝手に考えてみました↓↓。

あらすじ

日本全国の射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニングの各団体に殴り込みをかけ、また、合宿に特別参加するなどしてそれぞれの日本代表選手と互角ながら敗退する戦いをみせる山川、そして的確なアドバイスを送り続ける川崎(このあたりから佐々木は選手というよりは読者への解説役に廻り始める)。
そしてその奇妙な二人組の話題は、Youtubeで練習試合の様子を配信したこともあってネットを通じて全国に知れ渡り、手合わせを求める書き込みが彼らのブログに届くようになっていた。いつの間にか某ちゃんねるでは「ごしゅくん」なるAAも登場し、何でも良いからともかく闘えば友達だ、という意味のキャラとして定着した。
そんな出来事もありつつも、山川は各種目の試合経験は豊富になり、国体を勝ち上がり、いよいよアジア大会の日本代表としてエントリー。その観客席に、うわさを聞きつけたスミスの姿があった。山川がアジア王者となる姿を見届けたスミスは、五輪での再戦をひとり誓う。

あらすじ10

アジアを制し、ワールドカップでも上位に入り、いよいよロンドン五輪への切符をゲットした山川。いつの間にか山川の名は一般マスコミやブロガーから取材を受けるほどに知れ渡り、マイナー種目ながらメダル候補として陸上競技の雑誌1面を飾るようにもなっていたが、彼自身は淡々とトレーニングを続けていた。
五輪本番まであと半年と迫った冬。奥多摩の山中で川崎とともに体力づくりのランニングに励んでいたが、転倒した際に川崎の声が突然聞こえなくなる。平地との気圧差と転倒のショックから来る急性の難聴であった。そして、現在の医学では短期間での治療は難しいという。五輪に出るか、パラリンピック射撃競技に変更するかの選択をせまられたが、山川の選択は迷うことなく五輪であった。その背景には、ひそかに届いていたスミスからのエアメールがあった。筆文字でただ『待つ!』とだけ書かれた小さなポストカード。これが山川の闘争心に静かな炎を炊きつけていたのだ。


そして、迎えた五輪本番。
聴力が落ちた分、かえって集中力が増した山川の神がかり的な闘いぶりは、全世界の注目を集めた。射撃(エアピストル20発)ではパーフェクトスコアをたたき出し、フェンシング(エペ総当たり戦)でも相手の動きを見事に見抜く。水泳では自由形200メートルという長さではスタートがより重視されるが、難聴が裏目に出てスタートで0.5秒出遅れてしまう。しかし、馬術(障害飛越)では馬選びの抽選で状態のよい馬と出会えた幸運と、ヒトよりも馬の声を聴く姿勢で馬からも信頼されたために、まさしく人馬一体の演技を見せ付ける。
金メダルは山川か、スミスか。ここまでのスコアは僅差でスミスが上ではある。
この瞬間のために走り抜いてきた二人の、最後のランニング3000メートルが、今、始まろうとしていた……!


……ところで。
北京五輪では日本勢として16年ぶりに村上佳宏選手(自衛隊)が出場しましたが、結果は31位。優勝はアテネ五輪覇者のモイセエフ選手(ロシア)でした。馬術と射撃の両方を鍛えるとなると、自衛隊とか……外国では軍隊やレスキューとか……じゃないとなかなか難しいものがあるかもしれませんね。あと、いい馬が当たるかっていう運勢とかも重要かも?
もともとオリンピックの父・クーベルタン男爵が兵士に必要な技能として考え出した種目なので、欧州勢がどうしても強くなりますが。射撃で出遅れてしまうと最後まで響くようで……。
漫画にするなら、1人の人間が多競技に挑戦する面白さが描けそうな気がしますね。あと、各競技に最強キャラクターを配置して、彼らに勝つというような展開もアリかも?
漫画化するといい選手が出てくる、という日本の不思議な伝統、近代五種にもひそかに期待します。