ティーチャーとコーチとサポーター

『品川女子学院・漆 紫穂子校長の やる気を高め、人を育てる(秘)メソッド』より『皆様のご質問にお答えします(1)「子育ての悩み」』(日経ビジネスオンライン)」にて取り上げていただいた質問:

質問1
私は、大学で学生さんへのパソコンサポートに従事し、ワードやインターネットの使い方などを教えています。私は、「直接的な答えを教えず、答えに導くようなサポートをする」をモットーにしていますが、これがなかなか難しいものです。学生さんはシンプルに「解答」を求め、こちらは「自力で答えを見つけてほしい」と思っているので、なかなかうまくコミュニケーションできません。答えを教えてしまった方が早いのですが、それでは「教育」にならないですし。どんなことを心がけて教えたらよいでしょうか。

は、実は、私がお送りしたものです。掲載していただいてありがたく思いました。漆先生のご回答は上記記事にて(「日経ビジネスオンライン」へのログインが必要かもしれません。登録は無料)。


記事から感じたことですが。ティーチング(基本を教えること)とコーチング(応用へ導くこと)って、つながっているけれど別のものなんだなあというのが、まず第一の印象でした。そのあたりをあいまいにしながら仕事をしていたので、先生にはっきり言葉として伝えていただいて、目が覚めたような気がします。
自分の問題意識の根っこって、これだったんですね。自分が教える内容がティーチングなのかコーチングなのか、意識の中ではっきりしていなかった。だから、「これくらいのことが分からないのはなぜ?」的なストレスをいつも抱えてしまっていたのですね。うまくコミュニケーションできていないと思っていたのは、教える側としての問題の認識ベクトルが誤っていたからです。これでは「通じている」感覚がなくても当然のこと。
学生さんがどのレベルにいるのかを、学生さんの質問内容から見極めて接することが肝要なんですね。
今の仕事ではティーチング的な指導内容がほとんどです。それなのに、私はコーチングレベルまでやろうとしてしまっていたのかもしれません。


そして、同じ知識を伝えるのでも、どのように伝えたら、その学生さんがやる気になってくれるかも大切なんですね。私自身としてはPCのユーザインターフェイスの基礎から伝えた方があとあと応用が利くはずだ、という持論を持っています。しかし、学生さんの資質によっては、とりあえず操作のパターンを覚えてもらった方がいい場合もあるのでしょう。
残念ながら私の職務は、寄せられた質問に解答するのがメインなので、授業のある先生方のように、10人とか20人とかのまとまった学生さんを半年間15コマ(または1年間30コマ)教えることができません。何度も顔を合わせていれば、そういう風に、人生の過ごし方という長期的な目標の元に学生さんのタイプに合わせた導き方ができるかもしれないのですが……長くても15分程度までの短い時間、一期一会に近い状況では、やれることに限りがあるのです。どうしても場当たり的な対応になってしまいがちなのは、自分の今の立場ではむしろ当然なのかもしれません。


この状況は、大学内サポートだけではなく、一般的なヘルプデスクのサポーターでも変わらないように思います。
自分がどういうカタチでITサポーター・ITトレーナーであり続けたいのか、記事を参考にじっくり考えてみたいと思います。


漆先生、そして日経ビジネスオンラインの皆様、ありがとうございました。