群青シネマ

群青シネマ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

群青シネマ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

1961年。最後の夏休み。高校でも有名な悪ガキ三人組(しかし授業成績は良い)がふとしたことで手にした8ミリカメラ。


自主映画を撮ろう!


オリジナルの脚本で、自分たちで役者をやり、編集をしよう。
試しに撮影し、フィルムを映した向こう側は、夢のような新しい世界だった。


……しかし。2010年の……デジタルビデオカメラが携帯電話に搭載されたような現代とは全く異なる、当時の機器事情。経済性。


当時は「環境光に適合する露出できちんと被写体を映す」ということが、そもそも難しい。


フィルムを現像に出すための郵便切手代、誤って未現像フィルムを感光させてしまうミス。


フィルム購入費を捻出するアルバイトとの掛け持ちで蓄積する疲労。


高校三年生=進路決定という立場。それぞれの家庭の事情。


仲が良かった彼らの中に起こるぶつかり合い。


友情だけでは映画は創れない?
楽天的なだけではやっていけない?


でも、面白いはずだった。創りはじめたのは悲しい想いをするためじゃなかった。
行き詰まった彼らに、一度は高校を離任した恩師が再会します。そして……(1巻はここまで)。


どこまでも青い話です。今時珍しいっていいたくはないけれど。
2010年という時代に疲れたすべてのクリエイターとその卵の皆さんに、心をこめてお勧めいたします。
2巻で完結予定だそうです。


今はあらゆるモノが楽に作れすぎてしまう分、かえって情熱を持つには難しい?
彼らの心に活力をもらっているのは、私だけではないと思うのです。


こういうことをすれば、きっと面白いだろう。
モノ作りの原点。大切なことなのに、忘れている自分がいたことが分かりました。