スローモーションなのにスピードがある演出


このところ、『うごメモはてな*1でフリップノートアニメーション(パラパラ漫画)を何点か見ています。
こういうところから次の才能が出てくるんじゃないかな、というのもあり。マルチメディア教育ツールとしてのNintendo DSiの可能性を見守っている感じです。


その中でも、じゃこらんたんさんの連作『FLIPNOTE MARIO』は、回を追うごとにどんどん見せ方が上達していて、非常に驚かされることもよくあります。


冒頭に挙げた第80話は、逃げる引ったくり犯、それを追いかけるキャラ、疲れて脱落するキャラ、そして知らせを受けてマリオ&ヨッシーコンビが参戦するという場面です。


作品をパッと見た感じ、相当な俊足で引ったくり犯は逃げている、という印象を持ちました……が! 良く見ると、実は場面の演出はゆっくりです。止め絵をスライドさせたり、スローモーションで見せたりしています。
また、冒頭、日常感の空気を演出(町をあるく買い物客らしき人々)し、そこへ非日常(引ったくり犯逃走事件)が飛び込んでくるという対比もなかなか面白いところですね。
こうした対比によるインパクト、それから動きの見せ方、非常に秀逸だと思います。
『Flipnote Mario』第1話からご覧になりたい方はこちらからどうぞ。ひとつのお話が終わったら、動画左側の緑色三角形をクリックすると、次のお話が始まります。


『うごくメモ帳』というツールを使ってみると分かるのですが、出来ることは純粋にパラパラ漫画です。サウンドを入れられるパラパラ漫画。
たとえばAdobe Flashのように、三角形と丸形を描くと、その間に丸っこい三角形などの中割図形を自動的に描画してくれる『トゥィーン』機能などはありません。
すべて自分で描くことになります。
必然的に、いかに少ない動きで多くの動きを表現するかを追求する形になってきて、これは手描きアニメーション作りの基本となることなんですね。


小学生くらいと思われるほほ笑ましい作品から、おそらく大人だろうと推測されるユーザさんの秀作まで、さまざまな作品が見られます。
また、メディアがNintendo DSiウェアなので、海外のユーザさんの作品もありますね。日本の作品とは違ったパワーを感じさせてくれます。


はてなさんでは、選りすぐりの名作うごメモを紹介するブログも公開しているので、そういった形でさまざまな作品を鑑賞できると思います。


そうそう、『うごメモ』を見ていると、インターネットでの創作アニメーションを語る上ではずせない、『活動漫画館』を思い起こさせられます。
白黒GIFアニメでもここまで出来る、と、多くのクリエイターさんを刺激したサイトです。
こういった方面に興味がある方にぜひお勧めします。

*1:うごくメモ帳』はNintendo DSiDSi LLで使えるフリーウェアです。パラパラ漫画を描けます。描いたら無線LANでインターネットに接続して、『うごメモはてな』Webサイトでリアルタイムに公開できます。