あの頃の『花とゆめ』は知らないけれど

和田慎二先生訃報の感想の続き……。
少女漫画の世界に革命を起こした第一人者である和田先生。
恋愛やメルヘンばかりだった当時の少女漫画界に、男性少女漫画家ならではのパワフルな作風、ミステリーやアクションの導入、強い女性主人公などなど、新しい面白さを持ち込まれました。
……と、いっても、私自身、その当時の『花とゆめ』本誌はタイミング的に読んでいないんですよ。知識として知っているだけで。
ただ、『スケバン刑事』がメディアファクトリー社から全巻復刊したときのあとがきで、和田先生自ら作家としての想い出をつらつらと語っておられて。その中で、デビュー時に師匠にいわれたことなどで、女性作家のようなものは描けなくてもできる新しい強みを得たということを記されています。
きっと、当時の読者さんはみんな夢中になったでしょうね。


今の時点で売れ筋の、流行のことができないということは、必ずしも弱みになるとは限らない。
むしろ、今の時点ではやっていることは、いつか飽きられてしまうかもしれない。
新しい面白さを提供できたら、それこそが次の流行を作る。


私は子どもの頃、『美少女戦士セーラームーン』に夢中になりましたが、和田先生が少女漫画でもアクションやサスペンスはアリ、という実績を作っておられなかったら、あの作品も無かったかもしれない、と思っています。
もちろん、『セーラームーン』はそれ自体に独創性があります。ですが、やはり偉大な先駆者がいたからこそあの作品が受け入れられる土壌のようなものができていた、ということは否めないでしょう。


あのころの『花とゆめ』本誌それ自体は知りませんが、不思議で驚きに満ちたストーリーというジャンルを切り開いてくださったこと。そのおかげで、面白い漫画を小さい頃に読むことができました。


そして、現役で『傀儡師リン』のような、これまた不思議なお話を描き続けてこられた。しかし、今月号で「次号から最終部」って……。雑誌の発売日前日に亡くなられるって……。


『リン』の単行本は13巻まで出ていて、『ミステリーボニータ』誌の2010年12月号、2011年1月号、2011年3月号、2011年4月号分を収録しています。
ですので、今月号(8月号)のを考えると、たぶん5,6,7,8月号の分で単行本1冊分になる予定だったのでは? キリが良さそうですから。
で、最終部がコミックス何巻分かになって、終了の予定だったのではないかと推測できます。


このあと、どうなるのでしょう。出版社の対応を待ちたいと思います。