女書(にゅうしゅ)という文字がある

NHK BSプレミアムでやっていた「旅のチカラ 書の心を知る・中国・西安・女優・朝倉あき」 を見ました。
再放送らしいんですが。


中国の書学校で女優の朝倉あきさんが書道を習い、現地の学生さんと書道パフォーマンスを行ったそうです。


それから、中国に、女性だけが使った文字……というと、かつての平仮名みたいですが……があって、それを女書(にゅうしゅ)というらしい。
男性が農作業をしている間、女性は家事を家に残ってやっていた。家の2階に女性たちが集まって仕事をしていた。そして、女性たちの間では、義理の姉妹のような関係を結ぶ深い親友になったりもした。女性には自由がなかった。そんな中で、女性同士のやり取りのための文字、学校に行けなかった当時の女性たちの間で自然に生まれた文字が女書だったらしい。
男性は女性の気持ちになど関心はなかったし、女性たちの文字も見下していた。たしかに、漢字ってオトコの文字っていう意味の言葉ですものねえ。中国でも事情は似たようなものだったらしいですね。
女性が義理姉妹の女性の結婚の際、祝う気持ちというよりは、別れの気持ちを込めて、女書で書かれた手紙(?)を渡したり……などなど。女性ならではの悲しみをこっそりと書き記すのに使ったりとか。3歳の男性と結婚させられた18歳の女性の唄が紹介されていましたが。3歳児相手じゃ、ほとんど妻というより母親だなあと思ったら、その通りだったらしく……せつせつと悲しみが綴られていました。当時の女性には結婚相手を選ぶ自由なんてなくて……。


これって、他人に発信するしないはおいておいて、ブログそのものじゃないですか。
やっぱり、人間には表現欲求ってあるんですよ。
それに、たしかに、女子同士ならではのコミュニケーションってありますよ!
小学校時代、授業中に折り畳んだ小さな手紙のやり取りをしたりとか、やった人は多いんじゃないかなあ。


あー、国を超えても、やっぱりあるんだなあ、こういう空気って。かなり百合っぽいですが。


文字まで作ってしまうあたり、さすが書の国、中国という気がします。漢字を簡略化したりとかして作られたらしいですが、中には自然に生まれた字もありそうです。
まあ、日本の平仮名もかなりの発明品ですけれどね。両方ともすごいな。


でも、自由がない時代の文字なので、女性にも学問の自由=漢字を学ぶ自由、がもたらされてからは必要がなくなり、今では文化継承のために学んだりする人はいても、当時のオリジナル的な意味で、つまり、女子同士のコミュニケーションや女子ならではの気持ちを書くために使えるヒトはほとんど居なくなってしまったらしいです。


番組では女書の作例もいくつか紹介されていましたが、これがまあ、細身で柔らかい文字で。
繊細だなあと。
文字の字形自体がもとから繊細な文字って、それだけでこの文字のもつ歴史的背景を物語っている気がしました。
これは貴重な文化遺産として、残っていって欲しいと思います。博物館もあるそうですが……。文字とか文化って、書かれたり使われたりしないと、すたれてしまうので。