逆転裁判『蘇る真実』『蘇る真実、再び…』

2009年に立て続けに宝塚により舞台化されたゲーム、「逆転裁判」。
何でかDVDを買ってしまった...。友達にヅカファンはいるけど、私自身は見たこと無いんですよ。しかも、シリーズ2作品とも。
映画のDVDとは異なって宝塚の専売みたいで、通販かそれなりの専門店に行かないと買えないらしい、です。
まあ、最近、なかなかレイトンV.S.逆転裁判が出てくれないから、iPhone版でゲームの方を3作やり直しているので、その延長ってことで。
週末のお楽しみだった訳です。


作品のストーリーは、1作目が原作の『蘇る逆転』の第5章をたたき台に、全く違うストーリーに仕上げていました。2作目は半分くらいオリジナル。マヨイちゃん誘拐事件はでてきましたが。
宝月巴がなるほどくんの恋人的な役回りになっていて意外。てっきりこの役回りはマヨイちゃんがやるかと思っていたんですが、まあ、ラブロマンスではないかあの二人は。チヒロさんや霊媒術やらは出てきません。というか、舞台では無理……。なので、マヨイちゃんがなんで霊媒師の卵なのかは、舞台だけではわからないかと。


雰囲気は、あのゲームを「まんま」演劇にして、「まんま」法廷にしてしまってて、全く違和感がありませんでした。
テンポ感とかも。
さらに演出の随所に、ゲームファンならにやりとしてしまうところが。
たとえば、ニュース映像でキャスターが持っているカップが逆転裁判グッズとか。ほかにも弁護士事務所のクッションがグッズだったり、目覚まし時計がグッズだったり、いろいろ。お遊び小道具提供はカプコンさんかなあ。やっぱり。
もともとがかなりカリカチュアライズされている作風だったので、宝塚のようなやや現実離れした芸風の劇団のテイストに合っていたのかも。まあ、原作にはラブロマンスはほとんどないので、宝塚らしくするあたりに、脚本家の工夫が見受けられました。どうやったらなるほどくんの恋人役にふさわしい存在感が出てくるか、という。
ゲームとは違う味わいで良かったです。


ただし、この1作目の舞台の少し後に恋人役の方が宝塚を卒業してるみたいなんですよねえ。
それは関係があるのかないのか、2作目では彼女が病死したという扱いに……。
まあ、別のヒトがその役に入っても良かったのかもしれませんけど、2009年2月に1作目、8月に2作目というタイトスケジュールで、ヒロインが交代するのはなかなか難しかったのかもしれませんし。
ただ、作品として見たら、彼女が事件そのものに何らかの形で関わっていた方がよかったかもしれないなあ。


あと、例の「異議あり!」ポーズって、ゲーム中は頻繁にやるんですが、舞台中は実はあまり出てこないという。舞台中というか、公判中かな。映像を見ていてちょっと意外に思えました。


ゲームと舞台の公判シーンで違う所はまだあって、陪審員制度のあるアメリカでのことと翻案されているため、傍聴席が陪審員席として扱われているという。
まあ、よく考えたら弁護人や検事席の後ろに傍聴席があるゲームの方が変なのかも。


ムービーを使ってキャラ紹介をしたり証拠品を提示した入りするのは面白い所でした。この見せ方、映画版でも工夫されたことでしたね。


舞台ならではの演出的なことはこれくらいかな。


ミュージカル的なストレートプレイ的な。
ゲームの中のヒトが歩いて歌って踊ってる、何とも不思議な感覚。
主演のなるほど君、というがニック。ヒトを信じるが故に苦悩する弁護士という像が良く伝わってきました。
でも、なるほど君にしてはカッコ良すぎます(笑)。


助演陣では、特に、実はなるほど君以上にキャラが入っていた気がしたみつるぎ検事。
2作とも、父親の方のカルマ検事は出てきませんが、彼との絡みとかもこの役者さんならできるんじゃないかと。DL-6号事件は、演劇化したら相当濃いシーンになりそうなんですよねえ。あの師弟対決。
あのハマり役ぶりは、シリーズ3作目があるとしたら、もしかしたら逆転検事になるんじゃ、とか思ってしまうくらい。


それから、大騒ぎな罪、ちがう、夏美さんも良かった。あの何とも濃いキャラクターを見事に舞台に上げました。アメリカ人で関西弁……実際の英語だったら、ブルックリン訛りとかそういうのかなあ。


それから、イトノコ刑事のソロ曲ができましたね、2作目。出来る範囲で大捜査っ! には笑ってしまいました。イトノコ刑事らしい。


衝撃の新事実! カルマ検事のムチは、残念ながら(?)裁判長までは届きません!
カルマ検事、アクションがゲームのまんまで面白かった。あの、余裕綽々のときの検事席に肘をつく所とか、スカートを広げてお辞儀をするとか。


そして、やはり最後には人情物のエンディング。これがなくっちゃ逆転じゃないっ。
脚本家さん、分かってるなあ。
エンディングにショーもあって、宝塚らしい華やかな衣装で踊るミツルギさんを楽しめます。あ、なるほど君もですけど。なんか、自分にはミツルギさんの方が今作では刺さったんですよね、気持ちに。映画とゲームではなるほど君だったはずなんですが。謎だ。


逆転裁判が好きなら見ておいて損は無いかも。
逆転裁判 1作目ならWeb配信もあるみたいです。2作目も流せばいいのに。
http://tca-pictures.com/vod/lineup/stage
まあ、ここで公開されているサンプルを見て、DVD程度の画質では見たいとおもってしまったので。
実際、DVDはちょっと高かったのですが、これよりも本公演のS席とか高いみたいだし……。


頭の中で「蘇る真実」のテーマが鳴りまくり。
2作一気に立て続けに見たからなあ。


しばらく時間をおいて、また見ようと思ってます。せっかく買った訳だから大事にしよう。