ポール・マッカートニーさん、のライブ

ひょんなコトからポール・マッカートニーさんの公演チケットが2日前に手に入ることになり、久しぶりに東京ドームへ行ってきた。今日(11月1日)はたまたま仕事が休みでもあったし。
東京ドーム周辺を歩くのも楽しかった。今回のライブのアドトラックも見かけてテンションが上がったし、物販でTシャツを選んで買うのも楽しいし、ポールさんご本人に寄せ書きを渡したいってファンの方を見かけて、ひとこと『サンキュー』を寄せたり(手が震えた)。こういうことをしている人ってどういうつながりなんだろ?
開演まで待ちながら、いろんな人が来ているのが本当に面白いと思った。聞くところによれば5万人もいるらしいって話だった。昔のヒッピー文化を体現したようななんとも言えない女性を見かけて人生が楽しそうと思ったし、年齢層は結構幅広くて、小学生くらいの子どももいたし、大学生くらい? もいた。おじさんおばさんもいた。おそらく、ポール氏と同年齢みたいな。彼女や彼の青春がビートルズだったんだろう。きっと。
しばらく待ち、ワクワクを抱えながらだんだんと客席がそれっぽい雰囲気になり、ライトが落ちてステージにポール氏が上がられた時、音楽の教科書に載ってるような人がそこで歌ってギターを弾いていることに泣いた。不思議な感じがしたんだ。レジェンドでありつつ、これが紛れもなくライブであり、彼が同時代であることに。
今回ほど、インターネット時代ってやつに感謝したことはないかもしれない。こういうアーティストさんのライブでは、直前に発売された音源はまず絶対に演奏する。最新の曲をみんな聴きたいだろうし、本人も売れたらうれしいわけで。なので、直前予習はiTunes。合法的に家にいながら楽曲音源を買えるって、レコード屋さんは真っ青だろうけどやっぱり便利だ、こういうとき。通勤のiPodのお供に洋楽が増えた。
で、やっぱり、最新の音源『エジプト・ステーション』からやってくれたなー。特に、お気に入りの『カム・オン・トゥーミー』はうれしかった。このなんとも60年代な感じと曲の内容が青春っぽくていいな、と、一回聴いて解説も読んで思ったことだ。それに、ホーンセクションが活躍するのが吹奏楽好きとしてもうれしい。たまに、大型ビジョンにホーンセクションが映るのは楽しいのだ。トロンボーンの彼、ビシッとしててかっこよかったなぁ。やっぱりこういう時はテナーバスじゃなくて完全テナーか、すごいなぁ。あれ、自分がやると7ポジションがギリギリ届かないんだよな…あ、脱線した。
目の前というほどの目の前という席ではなかったが、それでも曲をみんなで聞いて、みんなで手拍子をして楽しむ。こういうのがライブで楽しいことだと思う。知らない曲でもやっぱりひき込まれるし、何より体感するビートはたまらないものがあった。ビートルズって、ビートが大好きな人たちという意味も兼ねていたりしなかったのだろうか? 一応、カブト虫みたいな甲虫のことらしいけど。
洋楽の場合、英語を聞いてすぐわかるほどの語学力などないので、やっぱりある程度は解説とか読まないと、というワンクッションはある。それでも、クラシカルでスペシャルな作品は知っていたりするので、そういうのがロックを専門に聞いてきたわけじゃない自分にもあるのがビートルズの皆さんのすごいところだと思う。そう、みんなで歌えた『オブラディオブラダ』や『レット・イット・ビー』、『ヘイ・ジュード』などのことである。
特に、『レット・イット・ビー』では、真っ暗で静かな演出だったんだけど、客席に次々にスマートフォンのライトが点灯していって綺麗だった。誰かが何か言い出したとかはないのに(今回、スマホや小型デジカメで大型望遠レンズのない場合ならフラッシュを焚かない静止画撮影は認められていたので、電源の入ったスマホを持っている人は多かった。吹奏楽やクラシックコンサートの方が行くこと多いからちょっと驚いた話)。これ、ステージから見たらさぞかしうれしかったんじゃないかなぁ。もちろん、自分のiPhoneも参加だ。同じことは『ヘイ・ジュード』でも起こったし。
そうそう、元気に弾いて歌ってるからすっかり忘れていたけれど、ポール氏はあれで御歳76歳らしい…。声は張ってるし楽しそうだし客いじるし日本語で『次は新曲です』とか教えてくれるしギターやピアノだけじゃなくてウクレレとかも楽しそうに弾いちゃうから、本当にすーっかり忘れていたけど!
実は今回、自分が直前に若干の腰痛再発してしまったのでちょっとだけ行けるかどうか心配になった。正直、歩けるし仕事はデスクワークと多少の歩行だからなんとかなってるけどライブでのスタンディングは絶対に無理な状態。そんな自分が情けないというか早く治そう的なことはライブが終わった時により強く思ったが。今は前に整形外科で手に入れたコルセットと湿布と接骨院のお世話になっているところ。で、せっかくのライブで着席していても良いのか、と思いつつ来たら、割と周りのお客さんも座っている人が多かったし(アリーナ席ではなくて1階席だったけど)、一つ前のお客さんが時々立って踊ってたけど気分的にこっちも楽しかったし視界が遮られることもなく、着席でも割と良いみたいでよかった。まあ、かなり年齢層の高い人が多い席ではあったけど。
着席してロックのライブを見ることについては、参考になる文章があった。
ポール・マッカートニー来日で考えた「着座ロック」のススメ』(BLOGOS)
https://lite.blogos.com/article/335761/?axis=&p=1
高齢化が進んでも、ライブの楽しさは社会的に失って欲しくないし、やっぱりこういうのが盛り上がることって健全だと思うし。着席してライブを楽しむのも、立ってノリノリになるのも、両方それぞれの楽しみ方だと思う。強制は良くない。
帰りの電車に揺られながら、いつまでも長生きしてほしいなあ、と、ポール・マッカートニー氏の末永い健康を願った。そして、5万人を楽しませてくれたライブ運営に尽力したスタッフ諸氏にも大感謝だ。今回、入退場も、トイレもそんなに待たなかったと思うし、実は会場に結構な有名人も来ていたらしいけど、それによる混乱もなかった。
この後は両国や名古屋でもライブとのこと。国技館ポール・マッカートニーなんて、面白すぎる組み合わせだ。ポールが土俵入りなんてしたらどうしよう(しないって)。ともあれ、ロックという大変な土俵を私などには想像もつかないほど永くつとめてきた彼のこと、きっと素晴らしいコンサートになるに違いない。
本日は本当にありがとうございました!