2020年度課題曲寸評とエトセトラ

2020年度の吹奏楽コンクールは中止になってしまったが、課題曲は2021年度に持ち越しとなった。
吹奏楽ネタで書くのも久しぶりだったし、せっかくなので、Wish Wind Orchestraさんのを参考演奏に個人的寸評をしたためてみる。ちなみに筆者は中学高校、トロンボーン担当だった。

  • I トイズ・パレード(平山雄一/作曲)(第30回朝日作曲賞受賞作品)
    • 浦安の某テーマパークとかで流れてそうな楽しい曲。これはやってて面白いんじゃないかな。終盤のテンポ落とすところからの巻き方に各団体の味が出そう。
  • II 龍潭譚(佐藤信人/作曲)
    • 各パートに名人が必要そう。曲としてはドラマチックで好きな感じだけど、ソロパート多し。こりゃ相当練習しないと形にならないのでは…と、責任重大な感じ。
  • III 僕らのインベンション(宮川彬良/作曲)
    • 吹奏楽コンサートのオープニングにもふさわしい感じの華やかなオリジナル曲。コンクール曲としてはアンサンブル力がものすごく問われそう(金管も活躍するけど木管がまず)。
  • IV 吹奏楽のための「エール・マーチ」(宮下秀樹/作曲)
    • 日本らしい上品なマーチ。タイトルは五輪を意識していたのかな。おそらくこの曲を選ぶ予定だった学校は結構多いのではないかと思う。実際、各パートの役割がはっきりしており、吹奏楽の基本的な仕組みを学ぶのにも良い曲だと思った。やっぱり基本は大事。
  • V 吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃(高大職一のみ)(第12回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

ちなみに、自分が中学生ならIをやってみたいかな。聴いていて楽しかった。トロンボーンに見せ場があるし全体的に分かりやすい感じがある。
自分が現役のときに印象的だった課題曲は、コンクール課題曲として演奏していないものも入れると結構ある。練習しただけで本番採用しなかったとか、コンサート曲とかもあるのだが思いつくままに。『カーニバルのマーチ』は本当に楽しかった。今思ってもマーチングでも映えると思う。『カタロニアのマーチ』はRPGみたいでやたらとカッコ良かった。『コーラル・ブルー』では沖縄民謡に初めて触れた。『そよ風のマーチ』はタイトル通り爽やかだったし、日本的マーチのスタンダード的なものを感じた。『饗応夫人』は難解過ぎて当時は演奏を無事にやり通せたらゴールド金賞という説すらあった気がする。『ラムセス2世』の独特で圧倒的な世界観は今でも印象的だ。『雲のコラージュ』はザ・和風な感じでカッコいい。当時は少子化対策で演奏者側での自由なアレンジを認めている意欲作という側面もあったが、今でもそのスタイルで楽譜を販売しているようだ。
割とつい最近知ったのは、鉄腕DASHでよく流れている曲が『吹奏楽のための「風之舞」』っていうコンクール曲だったこと。あの曲をテーマ採用したディレクターさんには頭が下がる。吹奏楽オリジナルにもこういう番組でも映える曲が結構あるのだ。ちょっと探したら、作曲者さんがnoteでコメントしていた。この曲がヒットしてかなり人生が変わったのだろうと思う。
『ディスコ・キッド』というコンクール課題曲の枠を超えた作品もあるし、これからも吹奏楽のマスターピースがコンクール課題曲からも生まれてくるだろう。
ともあれ。吹奏楽の環境は三密そのものなので、早くコロナが終息して欲しいものだ。今、現役の吹奏楽部員の皆さんのためにもだが、コンサートを聴きに行きたい自分のような者のためにも。