ダイの大冒険のダイ展覧会




ダイの大冒険は、自分が小学校の頃にハマった記憶があります。多分、一生、忘れられない作品だろうなぁ。
そんなわけで、気になっていた『ダイ』の展覧会、会期ギリギリでしたが観てきました。
写真は冒頭にあった、アバンの使徒の皆さん。レオナが居なかったら攻略できなかったよなー、と、改めて思います。いや、誰一人欠けてもそうなんですけど。直接バトルしていないレオナ姫さんですが、頭のいいヒーラー役って、ラスボス戦では本当に生命線でしたね。ダブルドルオーラなんて基本的にはありえないので。
さて、本展ではこうしたパネルをちょこちょこ挟みつつ、稲田浩司先生の原画を大量に拝見できました。
原画はさすがに写真NGですが、写真OKエリアもこうしたイベントとしては多かったのではないかな。
頭の中にある『あのコマ』は『こうして』描かれた、という確認が沢山できました。
今となっては手元では確認できないのが、ミナカトールの時の五芒星の魔法陣。魔王軍の六芒魔法陣もそうなんですが、旧コミックスのときは星型で、今の新版コミックスとアニメでは花型になっているんですよね。くわしくは存じませんが、おそらく当時と今で宗教関係への配慮の基準が変わったんじゃないかなと。現場にこの辺の注釈はありませんでしたが、この辺りを知っていると当時の表現にも触れられますね。実のところ、入場前からこのコマの原画があるか気になっていたので、拝見できたのは本当にうれしかったです。推しのポップ、そしてレオナの重要シーンでもありますし。でも、原画を見てもアナログのスクリーントーンでどうやったらこんなにキレイに描けたのかわかりませんでしたけど……。当時の技術力!
ともあれ、手塚治虫先生のコミックスにも、当時と今で差別表現とかの基準が異なる旨の注意書がありますが、こういうのは漫画表現の歴史の1コマだなぁとか、ちょっと思いました。
もちろんアナログ原画なのでホワイトの修正の痕跡や、セリフの写植貼り、描き直しや貼り込みの跡、トーン処理など、色々と興味深く拝見できます。ダイの額の紋章シーンって、髪の毛で隠れるところもちゃんと描いた上で髪の毛のベタを入れてる、とか。カケアミとか。漫画を描いている人なら勉強になりそうです。稲田先生の原稿は線がキレイでものすごく読みやすいので、漫画の基本が学べそうに思いますね。その辺、詳しくありませんが、やっぱり漫画の基本はデジタル以前に普通のペンではないかと思うので。
少し興味深かったのは、後半に展示されていた、芝田優作先生によるスピンオフの『勇者アバンと獄炎の魔王』の原画との違い。こちらは時代的にも画質的にもおそらくデジタル仕上げ。なので、デジタルコミックスの拡大に見えてしまうという……。写植ではなく直接フォントが出ていましたし。
現代の漫画の原画ってどこにあるんだろうって思いました。データのオリジナルとはいかに。かりに、クリスタやフォトショが無くなってしまったら、原画ってどうなるんでしょう? フォーマットが公開されていて共有性が高いPDFにしておけばいいのでしょうか?
ともあれ、あの時のあのコマに出会えたのは感動しましたし。さらに初めて拝見したのが原作の三条陸先生による、設定ラフスケッチです。
三条陸先生の原作スタイルは文章による脚本形式とのことですが、キャラクターのデザインや技の動きの基本的な型などのラフは絵で描いておられました。これはこれでシュッとした感じで、大変面白く思いました。ポップが今のよりもっと青年っぽかったり、アバン先生がもっと胡散臭かったり(笑)、アバンストラッシュが決まったあとの敵の動きまで1コマ描いてあったり……。歴代のドラクエ本編を意識されていたのか、ちょいちょい、ドラクエいくつのイメージで、といった指示がありましたね。例えば初期マァムはムーンブルクの王女のイメージだったらしいです。だからあのゴーグルがあったのかな。ラフスケッチは結構、上手いです……。天は二物を……うむむ。
後半は現アニメ関連。アフレコ台本の実物、原画のコピーなどが掲示され、アニメも見られました。あのアバン先生のお弁当の資料は、キャラ弁やりたい人は必見かも。
お土産コーナーでは色々ありました。やっぱりこうした展覧会ではオリジナルのクリアファイルは廉価でうれしいもの。そのほか、Tシャツや複製原画など、こうしたイベントならではのアイテムがありました。
そういえば、入り口のところで、ダイのゲームカードやオンラインゲームの『魂の絆』のインストールがしてあればオリジナルのステッカーシートがもらえるので、簡単なファイルとかがあると良いかと思います。
会場内で他の人がお連れの方に解説しているのがちょいちょい聞こえて(親御さんが子供にとか、彼氏さんが彼女さんにとか)、そういう空気感も楽しませていただきました。あと、最後の方に関係者各位のサイン色紙があって、皆さんからこのストーリーは愛されているなあと。
そういえば三条陸先生のインタビュー動画も見られたのですが、ダイが言った「お前を倒してこの地上を去る」はやっぱり12歳の少年に言ってもらっちゃったのは作者的にも酷だったんだなあと。
この『ダイ』からあとも、少年漫画ではいろんな作品がヒットし、世を席巻しましたが。そういえば『進撃の巨人』でのエレンの選択もかなり酷なものがありましたが、『ダイ』もこの時代にこの選択、本当に大変なキャラクターだったんだなあと、改めて感じました。
ともあれ、今、改めて読むと王道勇者譚としても面白いです。バトルモノなだけではないですね。あと少しで新アニメ版も終わってしまいますし、『獄炎』もいよいよ『凍れる時間の秘法』を使う直前まで話が進みました。
会期は明日までなので、気になっている方は是非1〜2時間くらい池袋に立ち寄る時間を作って、ご覧になられることをお勧めします。
チケットは当日券もあるようです。
やっぱり行ってよかった。ありがとうございました。
末尾に。退館後の空の雲のカタチがバーンパレスっぽかったのでパチリ。中央の雲です。
写真には写りませんでしたが飛行機も通るので、最終決戦っぽかったなぁ。