E:シャハルのかがみ

『ダイ』新アニメ版も本当に大詰めへ……。今週は天地魔闘の構えを破る直前まででしたが。
ほぼ原作通りでありつつ、血糊で視界を失ったラーハルトにヒムが攻撃方向を呼びかけたり、原作のト書きがアバン先生の解説になっていたりと、良改変もありました。
それから、やっぱり声が入って動きが入って効果音が入ると、物語が立体的に見えてきますね。
チウをヒムが庇うのは、これを耐えなきゃ反撃もへったくれもないからでもありましたが、隊長さんを部下が庇うという熱いシーンでもあったり。それに『カラミティウォール』はダイの分析によれば「極めて闘気に近い」技らしいので、やはり最強レベルの『光の闘気』か『ドラゴニックオーラ』でないと打破できないでしょう。多分、メドローアでは消えないと思われます。物質ではないので。
この辺、クライマックスになっても勢いにかまけて設定を疎かにしていないなあと改めて感心しました。
例えば、マァムがあまり終盤に活躍できなかったのは、得意技がパワー系か対生物だったから。アルビナスにはパワー系の『猛虎破砕拳』をカウンターで放って勝ちましたが、ミストバーンはそんな単純な相手ではないですし『凍れる時間の秘法』で『閃華裂光拳』(マホイミ)は効かなくなっていました。彼女が弱いのではなく(ミストマァム時にラーハルト、ヒム、アバン先生を足蹴にした実績を考えたら…)、終盤戦の相手が悪すぎでした。もし、暗黒ダメージがなく真バーン戦に居てくれたとしたら…。『カラミティエンド』対『閃華裂光拳』で面白い闘いになっていたかも。『閃華裂光拳』は老バーンには効果があったので、おそらく真バーンにも効くものと思われます。あくまでも悪かったのは『凍れる時間の秘法』でしたから。
それに、これが普通にドラクエのゲームであれば、僧侶スキルによる素早い回復(ダイにはありませんが『賢者の石』『世界樹の葉』を持たせても良い)、武闘家ならではの『かいしんのいちげき!』成功率の高さなどで、大活躍してくれたはずです。おまけに『鎧化』で攻撃魔法はほとんど効き目がありません。基本的な回復魔法が使えて防御力の上がったアリーナ姫と思えば、その能力は、計り知れないかと。
さて、そのマァムやチウなどは頑丈な宝玉『瞳』に変えられてしまいましたが。これは漫画作劇上の理由もあったようで。
終盤戦でキャラクターが多いと作画が大変であることから原作の三条陸先生が発案されたようです。ソースはちょっと検索できませんでしたが、漫画についてのインタビューで三条陸先生自身が語っていたらしい。
作画コストダウン以外にも一石何鳥にもなったようです。優れたアイデアは1つでいくつもの問題を解決するといいますが、まさにそれです。以下に私が考えた『瞳』による演出効果を挙げてみます。

  • 作画の大幅な簡略化
  • 勇者パーティーが大ダメージを受けても戦闘不能になるだけで死なないため、読者のショックが少ない。死んでしまうよりはマシ。
  • 目の前で仲間がバタバタ死なれて動揺していたらまともにやり合えやしない(ポップのセリフ)
  • バーンの超魔力や悪辣さを印象的にする(バーンが瞳の魔法をかけた理由は「ギャラリーが多い方が苦悶や悲痛な声を楽しめるから」なので。悪趣味ったらありゃしない!)
  • ドラクエでいう画面真っ赤で追い詰められていく感じを、立っていられるキャラクターが減るということで視覚的に演出できる
  • 死んだわけじゃないから解説や応援のセリフを入れられる
  • デルムリン島のハドラー戦ではアストロンを掛けられてアバン先生を見ているしかなかったポップとダイ。今度は立場が逆となり、彼らの大幅な成長を印象づけた。

そんな『瞳』の魔法ですが、アバン先生だけでなく、ついにラーハルトとヒムまで掛けられてしまいました。まさしく、残すは2人。
バーンを挑発するポップ、それを熱く手短に解説するアバン先生(適役!)、威厳を持って挑発に乗るバーン、そして炸裂した『シャハルの鏡』マジック!
原作の流れを知っていても、やはり「やってくれた!」感。
さんざん反射攻撃にはしてやられていたポップですから思い付いた作戦だったのでしょうね。シグマが持っていた頃のシャハルの鏡以外にも、老バーンのマホカンタミストバーンのフェニックスウイングにもやられています。反射攻撃の恐ろしさをこの世界で一番よく知っている人物でしょう。反射攻撃は、まさかの一撃。本家ドラクエマホカンタファイナルファンタジーのリフレクもかなり厄介でしたから。
今回はここまでとなりましたが。次回はシグマとの経緯回想や、ダイの大逆転、そして例の『柱』までやってしまうのかな……。本当にラストが近いですが、終わらないで欲しくて複雑です。