サックバットは騎士の楽器説?……と、かのイカたちの戦いについて

いや、学生の頃から内心でこっそりと唱えているだけの、学説でもなんでもない妄想……ではあるんだが。
サックバットという楽器が、かつて西洋音楽の世界にあった。
今はその楽器は、スライド式トロンボーンとなっている。
つまり、原型というやつである。
写真や概説は下記から参照されたい。今のトロンボーンよりも作りが華奢に見えるだろう。

で。
わたしがこの楽器に出会ったのは、浜松市の楽器博物館での学芸員実習の時だ。
吹き慣れたトロンボーンに、さらなる原型があった、と。
流石に吹かせていただくわけには行かなかったが、試奏CDは聴くことができ、やっぱり今より細めの音がした記憶がある。
そして、サックバットは「剣を引き出す」という意味合いの言葉らしい。フランス語からとの説があるという。

日ごろ鍛えた歌心という剣を、仕える姫や主君のために引き出す音楽騎士。
サックバットの楽隊士はもしかしたらそういう、音楽を武器とする騎士だったのかもしれない。
実際、「音楽は神への捧げ物」という言葉がある通り、古来、音楽は自分を超えた存在のために奏でられるものだった。神しかり、そして、主君然り。
今でも各国に軍楽隊は存在し、国家的なイベントにて自国や他国の国歌を披露する。オリンピックにしろ、国際会議にしろ。あれらは現在の音楽騎士であろう。
また、現代のトロンボーンはスライドでハーモニーを完璧に純正律で創れることから、伴奏楽器として活躍することが多い。
サックバットでも、聖歌の伴奏を受け持ったときは、おそらくそのボーカルを完璧に支えるべく活躍したのではないかと思うのだ。
心からの忠誠を捧げて。
吹奏楽トロンボーンをやっている時から考えていたことは、主旋律をいかに支えるために働けるかだったのかもしれない。たまに主旋律が回ってくることもあるが、その時は少ない。伴奏に楽しみを見出せてからは、単なる四分音符や八分音符の刻みがいかに難しいかを思い知らされることになったが……。今となっては、誰かを支える楽しみを教えてもらえたようで感謝している。
自分の話になるが、トロンボーン出身者として、やはり誰かを支えたいと思ってしまうのは……。自然なことだと思いたい。
学生時代は、同じパートの先輩なり、敬愛してやまなかったフルートの先輩なりに、自分なりの剣を捧げてきた。
今は剣を支える存在がいない気がする。気がついていないだけかもしれないが。
……というのを図らずも延々と考えることになってしまったキッカケは、かのイカの皆様のバトルフィールドスプラトゥーン3』である。
2とあまり変わっていないという評判もあるが、細部の仕上げが丁寧で2よりもはるかに初心者がプレイしやすい。『ゲーム人口の拡大』をスローガンとするニンテンドーらしい良作であろう。
私も多分に漏れずプレイすることになり…。ひとまずはランク20とヒーローモードの通常面全面クリアという初期目標は達成した。
スプラトゥーンはヒーローモード以外はチーム戦となる。ヒーローモードも、それが目的というよりは通常のチーム戦で使用するさまざまなテクニックやブキ(装備品)を使いこなすトレーニングの意味合いが強い。
アルバイトという名目で共同戦線を張るルールもあるが、そちらも一人ではプレイできない。ネットの向こうのどなた様とチームプレイということになる。
臨時に組まれたチームで戦い、さんざんな目にあったり、圧勝したり、辛勝したり、惜敗したり……を繰り返していくうち、自分のプレイスタイルの原点がトロンボーンにあることに気がついてしまった。
それも、前述したような伴奏型のトロンボーンだ。
前に立つより後方支援。
必要があれば前に出ることもあるが、自分たちのエリアを塗り足したり、敵に襲われた仲間を支援したりの方が楽しい。
時に前方を撹乱し、時に弱いところを埋める。主砲でこそない場面の方が自分としては動きやすい。
一歩間違えば責任転嫁となり得るが、やりたいことはそうではない。
そんなわけで、最初に買ったブキが『ヴァリアブルローラー』(スプラトゥーン2からの引き継ぎデータにより、ランクが高いブキを最初から買える権利をもらえたため)。これで広く塗りながら支援する楽しみを知った。
その後、『わかばシューター』や『ヒーローシューターレプリカ』でシューター系での援護の楽しさとスペシャルでの不足点を考えるうち『プロモデラーMG』にたどり着いた。
広く早く塗ってよし、塗りながら走り通せて、タンサンボムで撹乱してもよし、スぺシャルのサメライドはかなりの威力。流石にメガホンレーザーやナイスダマの長さや強さは無いが、自分が逃げる時にも使えるのは大きかった。
まだまだ練習が必要なので、そのうちバッヂを手に入れてしまうかもしれない……『ヴァリアブルローラー』同様に。
『プロモデラーMG』は、なんか見た目も、トロンボーンに似ているような気がしないでも……ない。流石にコジャケ、否、コジツケだろうか?
最近ようやく、イカジャンプとイカロールなる特殊アクションが使えるようになってきた。緊急避難時にも咄嗟に出せるようになるのはまだまだ修練が必要そうだが。
ともあれ、この先も…「明日を楽しみに」生きたいものだ(ゲームネームのプレートに、そういう肩書きをつけられる)。