韓国梨泰院圧死事故

悲惨な事故が起きてしまった。
被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げたい。亡くなられた方々のご冥福もお祈りしたい。

ハロウィンにわく韓国の繁華街「梨泰院」で2022年10月29日午後10時15分(日本時間同)群衆雪崩事故が発生。死亡者153名、負傷者133名。
詳報は各報道にて。
東京に住んでいると、なにかと人混みに遭遇する。通勤のラッシュアワー、単純な雑踏、何かしらのイベント……。警備員さんや警察官の方が誘導をしてくれているなら素直にそれに耳を傾け、指示に従うことが大事だと改めて思った。
昨日のはてなブックマークでは下記のマニュアルが注目されていた。

明石市の花火大会での雑踏事故を教訓に、雑踏警備の方法を解説したマニュアル。実際の過去のイベントでの警備計画図や、過去の重大な事故の例、会場でのアナウンスのセリフ例など、具体的に解説されていてわかりやすかった。
すぐに役に立ちそうだったのは、日本人は左側通行しがちだという指摘。新宿の雑踏での通行を思い出しても……たしかに、一理ある気がする。標識がなくても自然に左側を歩いている。本書に説明は無かったが、道路交通がそうなのでその影響かもしれない。ともあれ、特段理由がなければ雑踏警備では左側通行で誘導すると良いらしい。ということは、自然な歩行渋滞が発生しがちな新宿のような街を歩くときは、左側通行を心がけるとスムーズに進めるのかもしれない。
面白かったのは、『六甲おろし』の意外な効用。甲子園球場阪神-巨人戦での試合後の六甲おろしは、ファンが盛り上がるためだと思っていたが、自然な分散退場にもなっているとのイラストがあったのだ。六甲おろし阪神ファンが楽しく球場に待機することになるし、巨人ファンは聴きたくないので早く帰る、と。群衆事故を防ぐには、待機者と退出者を分けることが重要だ。楽しんで待ってくれるなら何よりだ。
さらに、アナウンスするときは指示が先、説明は後が良いとのこと。日常で思いつくことで、量販店でもこんな場面がある。
「台車が通ります、道を空けてください」
「道を空けてください、台車が通ります」
指示に従いやすいのはどちらだろう、という単純な話だ。もちろん、後者。
他にも色々な事例や方法が出ていた。例えば会場下見で転びやすいところはないかチェックとか。もちろん、聞いたことがある話も多かった。
そう、こうした事故防止の方法論は昔からできていたのだ。韓国だって芸能が盛んなお国柄だから沢山のイベントを警備してきた会社なり、組織があったであろうし、方法論はあったはずなのだ。あとは実践できればよかったのだ。
この事故は防げたかもしれない。本当にそれが残念である。
実際、事故現場では、この事故が発生する前に自然に人流がコントロールされた時間帯があったらしい。

ある人の呼びかけにより、現場の坂道の通行方向が下りとされた時間帯があったというものだ。
勇気ある人から発されて効率的に分散された偶発的突発的なコントロールではなく、もっと計算されたコントロールがあればよかったのだ。
人は密集からは早く脱出したいもの。だからこそ指示を出して待たせるには説得力が必要だ。
殺気立った心をユーモアでほぐしながら群衆を誘導するDJポリスはすごい技術者だと思う。また、行ったことはないがコミケのスタッフさんも誘導がうまい人が多いのだという話はなにかと聞いた。自衛隊が運営した新型コロナワクチン集団接種の時も誘導力は完璧だったらしい。
少し違う話だが、コンビニのコピー機で写真を何枚もプリントする際、待っている間にミニゲームができる機種があった。また、少し前のゲームソフトでも、ローディングの間にミニゲームをプレイできたりするものもあった。
人が待っているときのストレス軽減はかくも重要なのだ。ココロに余裕ができれば、指示を聞いてもらいやすくなる。
雑踏警備とは異なるが、私も仕事柄、時にはひと様に指示を出すことがあるが、少なくともこちらが焦っていてはならないと改めて思った。自信を持ってお伝えすることはもちろんのこと、時と場合によっては笑顔も大事なのだろう。