楽園追放

楽園追放-Expelled from Paradise-
なんのきっかけでこの作品を知ったのだったかなぁ……多分、少し前にエヴァきっかけでCGアニメ作品の歴史を調べていたので、その流れかな。
見るのをだいぶ保留していましたが。やっぱり気になるので見てみたら面白かった。
遠い未来の話なのかな。今のインターネットどころじゃ無くて、人の精神が全て電子化されたサイバースペースで人々は生活している時代。物理的な肉体は必要ないという世界。
ごくごく一部の人々が地上で肉体を持ち生活しているようだけど、9割以上の人はサイバースペースの中で管理された社会の中での完全な生活、完全な快楽を満喫しているという。
ただ、一見平和なその生活にも歪みや綻びが生じるコトがある。ある日、そのサイバースペースに謎のハッキングが発生。ハッキングは地上世界からおこなわれているとみられるという。その捜査のため、サイバースペースの捜査官の女性が地上へ派遣されることに。
彼女はかつての自分のDNAから肉体を製造し精神を宿して地上へ降り立ち、地上世界の案内人の男性と組んで捜査を開始。
2人の懸命な捜査の末、ハッキング元をついに特定。それは意外な存在だった…。
いやぁ、改めて書いてみても難しい話。映像だとスッと入ってきたのがすごいなあってなります。
「ハッキング元」さんにサイバースペース侵略のような悪意はまったくなかったコトは意外でしたし。あの動機はあっぱれでした。「それが自分の存在証明だから」貫いたという。彼は人間よりもよほど人間らしかった。
強く管理された社会は人間性を欠如させるという指摘は分かります。
今の現実でもそういうことありますもの。表向きは個性を発揮しろといいつつ、ルールを守らないとか空気を読めないものは生きづらい。そういう人は場合によってはフリーランスで生きていけるようになってきてはいますけど、収入が安定しないのど大変なリスクもあるわけで。社会にある程度迎合(?)できる人の方が楽に生きていける気はする。ただ、アウトサイダーにとっては迎合しちゃうコトそのものがストレスな訳で。そういったことのデフォルメされた究極の形を描いた作品だと思いました。
映像の面では、CGアニメの長所が随所に生かされていたと思います。手描きでは絶対あんなアクション無理ですし、サイバースペースの描写はワクワクしましたね。なるほど、これはすごい……。
さて、事件後、あの2人はどうなったんでしょうかね。個人的には主人公の女性はいつかはサイバースペースになんらかのきっかけで戻るのでは? と思います。ただその時は、前とは違って地上世界を深く理解し、相互の橋渡し役として生きていくのではないかと。最後の最後にサイバースペース側は社会の管理強化を決定しましたが、おそらくそれは人々の反感を買いそうに思えて。また、あの宇宙へ飛び立った彼が何か持ち帰ってきたりとかもあるかもしれません。その時にも橋渡し役がいなければ紛争が起きるように思います。
自分の意思を他人に明け渡した社会は怖いなあと改めて思いました。エヴァとは別の意味で考えさせられました。あのサイバースペースはある意味では究極の平和世界ではあるのですが。圧力で管理された平和ではなく自らの意思と話し合いによる平和を望みたいと思います。