- 12話エンディングテーマ V.W.P「魔女(真) sinka ver 」
YouTubeにあの最終回の素晴らしかったEDの完全版のようなMVが公開されていました。
毎回のEDがまるでV.W.Pメンバーさんの新作MVみたくなってるんじゃ、って気がついたのは4話目突破くらいだったような。
時々EDが変わるアニメってたまにあるけど、この作品は毎回変わるみたいで、なんかEDを大切にしすぎていて怖さすら感じました。そこまで込みで1つのお話なんだよって。
で、ゲームの方をやってみたら、これまた章をクリアするたびにEDが挟まる構成だったわけで。
少し調べてみたら、この方々は確かに今まで本当にたくさんの曲を発表なさっていて、元ネタには事欠かないレベル……というか、そこまで蓄積しての濃いアーカイブができているからこその、今年のアニメ化でありゲーム化だったんじゃないかなとは思うんですけど。そういう企画だったんでしょうけど。
何もその辺知らなくて、ただ何と無く見始めて、そしたら絵は華麗だしストーリーが気になるしキャラは尋常じゃ無く立ってるしメインのCVはみんなヴァーチャルシンガーさんだっていうけど演技うまいしともかく面白そうだから……って毎週末が楽しみになって。
一応ゲームは全部解いちゃったし隠し要素もみんな埋めちゃったしアニメも終わっちゃったし、さてどうしようかなとか思って。とりあえず検証兼ねてゲームの二周目を始めたら小さな発見*1もあったし……とか……なんとか思ってたら。
このMVの公開。
実はEDとして見た最初から気になっていたのが、派流ちゃんに歌割がなくてちょっと心配していたんですが。
今回のMVみたら出番めちゃくちゃあるじゃないですかー! こんな後半があったなんて。特技であろうラップをバリバリ。
やっぱり派流ちゃんはこうでないと!
というか、この場合、春猿火さんとお呼びした方が良いのでしょうか……?
復興課長、教えて欲しい。
っていうのも、やっぱり後半のソロパートで楽しそうに歌っている化歩ちゃんを見て、あのショックを乗り越えてこられて本当に良かったね、がんばったよね! ってまるで親戚の人みたいな目線になっちゃったんですけど。
このパートも花譜さんとお呼びした方がいいのかよくわからなくなっちゃって。
世界ちゃんのパートも、狸眼ちゃんや此処ちゃんのパートも同じく。
確かに最初のところでは、アニメのキャラの記憶の卵を愛おしそうに眺めているV.W.Pメンバーズのカットから始まってはいるんですけど……背景にはファミリアのみんなのカタチの光が映っているし。
アニメと小説とゲームのキャラから知った立場としてはあの方々はV.W.Pさんというより、魔女の娘さんたちのCVさんってイメージになっちゃってて。
このコンテンツをどう捉えたら良いかわからなくなっちゃいました。
そのあたりが、もっとわからなくなっちゃったのが、ゲーム版のサントラの音源にも入ってる『決意』っていう曲。
これ、初めて聞いた時はそこまで深く考えなかったんですが、これを歌ってるのはどっちなんだろうってなっちゃって。
V.W.Pの皆さんが魔女の娘さんたちの決意を応援しているようにも思えるし、魔女の娘さんたちが自ら決意しているようにも思える。
というか、みなさんヴァーチャルシンガーさんなので、元々、中の人(?)がいるわけで……。そこまで考えるともっとわからなくなる。
同じような疑問を初音ミクさんが世に出始めた時にも思ったんですけど。初音ミクさんのためにオリジナルの曲をつくって歌ってもらっている場合、ミクさんが歌ってるのか、制作者さんが歌ってるのか、どっちなんだろうかと。
神椿市の場合、そのあたりが考えれば考えるほどさらにわからなくなる。
異世界『神椿市』で危機と戦っているのは化歩ちゃんたち。
そのCVが花譜さんたち。
でも化歩ちゃんたちはひどい目に遭ってしまって、もうどうしようもなくなった。そうしたらソフィア様が電子情報としてとはいえ『現実世界』に脱出させてくれた。
現実世界では花譜さんたちが化歩ちゃんたちと同じ歌をライブステージで歌っていた。もっと完成されたカタチで。
ソフィア様は疲れ切った彼女らに休息と思案の時間を与え、あの世界の真実や「まくすうぇる」のことを教えてくれた。そして、戦うことを再び決意した5人の意思を汲み、神椿市への道(時空のはざま)へ転送してくれた。
ここまでは化歩ちゃんと花譜さんは別人ということになるんだけど。
今回のMVの舞台は、アニメのあの戦いが終わった後の神椿市。「まくすうぇる」の残骸とかちゃんと出てくるし。
あんなところに行けるのはやっぱり化歩ちゃんたちの方だと思うのだけど……うーむ。
本当にどこまでがリアルなのかバーチャルなのかわからない。それが多分、クリエイターの皆様の意図だとは思うのだけども。
歌というものにここまで世界観を練り込んで、現実のみんなのそれぞれの生活の中での戦いを励ましてくれるコンテンツ、初めて見たと思う。
あたしたちはここで戦ってるよ、と。
みんなもそれぞれに生きていこうよ、と。
なんかそんな感じがして、熱くて、でもどこか切ない。
彼女らの曲を何作品か拝聴したところでは、「あたしたちは偽物だけど思いは本物」みたいなモチーフがよく出てくる。
仮想世界の存在だからってことなんだけど。
最終話で狸眼ちゃんが言っていたことでもある。
でも、キミらはいうほど偽物なのかなあ……と。
これ、神椿市コンテンツのことだけじゃなくて。
物語の持つ力そのものは偽物なんかじゃない。
たとえば、ナウシカやナディアに励まされて生きてきた人たちは多いと思う。
いつだったかの『ダイの大冒険』のお便りコーナーで、アバン先生に影響されて教師になりました、というのを読んだことがある。
外国のファンが、セーラームーンに憧れて日本の麻布十番に来ました、とか、ドラゴンボールを読みたくて日本語を学びました、とかもある。
こんなことは日本のコンテンツのことだけじゃない。
コンテンツはたしかにそのエンディングで終わったかもしれないけれど。
現実に及ぼす力にはその先がある。
そんな力のことは、私は偽物だと呼びたくないなと。なので、キミたちは偽物なんかじゃないよ、と、言いたい。
みんな、現実に力をくれてありがとう……と。
*1:二周目なので主人公キャラ名をデフォルトにしたらそのまま声優さんが呼んでくれる!