真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)
- 出版社/メーカー: アトラス
- 発売日: 2009/10/08
- メディア: Video Game
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うちゅうらん。
宇宙の乱れではなく、宇宙の卵と書いて、うちゅうらん。
つまり、これからもう一度世界を破壊し、再生するためのエネルギー体です。
……決して食べてはいけません*1。
アントリア、ボーティーズ、カリーナ……と、今までに歩いてきた世界を回り、未踏部を拓いて卵を受け取ってきました。時には敵対陣営と戦闘になりながら、時には悪魔から願いとともに託されながら。地上に出たら、今までにない経験をしてみたい。ある悪魔はそう言っていました。彼らにとっても、新しい道なのです。
先だってのニュートラルルートでは、シュバルツ・バースを内側から爆破するためのエネルギーとして使ってしまったけれど、もしも同じエネルギーを違う方向にぶつけたら……違う未来が待っている。人間以外の存在による、独特の発想で、それが人間と共存する世界が待っている。
この卵の中のとほうもないエネルギー……未来への鍵を、どういう方向にぶつけて使うのか。
結局、本作品のシナリオの究極の論点はここにあるように思えます。
環境破壊、戦争と平和、経済危機、貧富の格差、人権問題、異文化摩擦……。
現代の世界、現実の世界も、恐ろしい量、高すぎる難度の問題を抱え込み、閉塞状態にあります。あたかも、シュバルツバースに飲み込まれていくように……。
もしも、それをどのようにでも解決できる力や知恵があったら? どのように使う? 答えは三択で。どれでもそれなりに正解。というより、正誤判定ができる存在など、この世には存在しないような気がします。
ともかくも1択目では人間自身の力として使う答えを出しました。
……高くて青い空と、当面の危機が去った世界が待っていました。しかし、要因の根本的な解決は、人間自身が変わることにほかなりません。それはどうやってなされるのか、ゲーム内では語られませんでした。もっとも自分らしい答えとして選びましたが、それを成すのは現実の自分に託されたのでした。
それでいいのだと思います。
この小さな「DSi」という箱の中の、デフォルメされた地球の中で起きた、大きな事件は一応は解決しましたから。そして、現実にある問題も、小さな自分にできる範囲で解決しようとする、それが大切なのだと信じたいものです。
すべての難問を自分ひとりで背負えるほど、おこがましいことは考えてはいない。ただ、当面最大の危機が自分自身の手に託されたなら、そしてそれを解決しうる可能性が自分の中にあるのなら。それだけは何とかする。その後のことは、それぞれが成すしかないのだ……と。
世界の誰かがものすごいことをやってすべての難問を解決するのを伏して待っている、あるいはそのものすごい力を求めようとする、そういうつもりはない。そんなことを考えているのだったら、とりあえず自分の家族を守ること、もっと言えば自分の身の回り……それこそ、この机の消しゴムのかすをゴミ箱に入れるような……のことを考えて実行すること。それが大切なのだと思うのです。
そしてこの1.5周目……2択目では、自分にとってはあくまで参考として、究極の自由と開放のために使おうとしています。もちろん、このルートの結末も楽しみです。
ただ……すでにこのルートは、自分の中では「一種の物語」としてしか存在しえない気がします。もちろん、バトルやダンジョン、合体や成長という「ゲーム要素」は楽しむけれど、結局、「物語」でしかない。文庫本の小説と同じで、通勤電車に揺られながら、あるいは寝る前の楽しみとして、主人公がどうするかを自分と比べながら味わうものでしかない。RPGは「role-playing game」ですが、1.5周目にしていることは、Gameとしての体験性が強いゴラクでしかない。数値目標を達成すること、知らなかったサブミッションをクリアすること、そしてこの立場だから聞けるさまざまな台詞を味わうこと……。それらすべて、一体感がありながらどこか剥離しているような感覚で見つめています。
つまり、1択目……1周目が、本来的な意味での「冒険」であり、「Role Play」だったのだなあ、と、改めて感じているのです。
もちろん、本作品は人によってさまざまな楽しみ方があるでしょう。
ただ、私にとって、本作のプレイはやはり1周目の選択が一番自分らしかった、というだけに過ぎません。
本作は何周でも別の観点から楽しめる作品であり、それだけ作りこんだクリエーター諸氏には頭が下がる思いです。
……って、最終回みたいな書き方をしてしまいましたが、日記はまだまだ続けるつもりです。次は……セクター・デルファイナスへの再訪です。
*1:カリーナには、おいしそうとか言っていたのんきな仲魔もいたけれど。彼も食べてはいけないことはわかっていたらしいですね。