ピカソの名作、便器の彫刻に負ける
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041202-00000866-reu-ent
ピカソの名作、便器の彫刻に負ける
[ロンドン 1日 ロイター] 世界の芸術をリードする500人に、最もインパクトのある現代芸術の作品5点選んでもらったところ、便器の彫刻が1位になった。
ピカソの名作「アヴィニョンの娘たち」が2位、「ゲルニカ」が4位だった。
ターナー賞のスポンサーとジンの製造会社が行ったこの調査によると、ピカソを負かして見事1位に輝いたのは、マルセル・デュシャンが、1917年に芸術界に衝撃を与えた便器の彫刻「泉」だった。
また、3位にはアンディー・ウォーホルの「Marilyn Diptych」、5位はマティスの「赤いアトリエ」だった。
(ロイター) - 12月2日16時11分更新
この記事に関するはてなダイアリーでの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/http?//headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041202-00000866-reu-ent2004/12/03追記。
id:crosstalk:20041203さんによりますと、CNN.co.jpの記事の方がばっちりの翻訳らしいです。
たしかに、『泉』は「彫刻」っていうわけじゃないし、記事を見た時に違和感があったんですよね。
crosstalkさん、ありがとうございました。では記事を。
http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200412020020.html
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最も影響を与えたモダンアートに、陶製の「便器」
2004.12.02
Web posted at: 19:58 JST- REUTERS
ロンドン(ロイター) 英国の芸術賞「ターナー・プライズ」を主催するジン製造会社ゴードンズによる「最も影響を与えた世界のモダンアート」投票で1日、マルセル・デュシャンの作品「泉」(1917年)が1位に選ばれた。
投票は、500人の専門家が選んだもの。「泉」は陶製の白い男性用の小便器に、サインが施されているもので、世界中で認められているパブロ・ピカソやアンディ・ウォーホルの作品を抑えての1位となった。
投票では上位5作品が選ばれ、2位はピカソの「アヴィニョンの娘たち」、3位はウォーホルの「マリリン(Marilyn Diptych)」。4位に再びピカソの「ゲルニカ」が入り、5位はアンリ・マティスの「赤いアトリエ」だった。
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こちらの翻訳へのはてなダイアラーの反応。
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200412020020.html
そこで、はてなユーザー200人にアンケートをしてみました。
【200名様・現代芸術】以下のうち、ご存じの作品にチェックして下さい。いわしに解説や作品画像をリンクしておきます。これを見てもお分かりにならないものは空欄で。参考=http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041202-00000866-reu-ent
画像を見なくても知っている:デュシャン『泉』 | 54 |
画像を見なくても知っている:ピカソ『アヴィニョンの娘たち』 | 70 |
画像を見なくても知っている:ウォーホル『Marilyn Diptych』 | 68 |
画像を見なくても知っている:ピカソ『ゲルニカ』 | 133 |
画像を見なくても知っている:マティス『赤いアトリエ』 | 26 |
画像で思い出した:デュシャン『泉』 | 22 |
画像で思い出した:ピカソ『アヴィニョンの娘たち』 | 25 |
画像で思い出した:ウォーホル『Marilyn Diptych』 | 39 |
画像で思い出した:ピカソ『ゲルニカ』 | 20 |
画像で思い出した:マティス『赤いアトリエ』 | 23 |
作品画像を見たけれど、一つも知らない。 | 33 |
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.hatena.ne.jp/iwashi?mode=detail&iid=32385
はてなでの知名度投票です。『泉』とかウォーホールの作品は写真で分かる方も多いんじゃないかと予測。
さて、考察です。記事ではこのような結果だったわけですが。
はてなユーザー200人での、作品名の知名度はこのようになりました。
やはり、ピカソ作品は有名ですね。ゲルニカは反戦芸術の代名詞的存在ですし。
さて、次は、作品名ではピンとこなかったけど、作品の写真を見たら分かったという、もっとも心に焼き付いている作品を。
おもしろいことに、ゲルニカはこちらでは最下位です。おそらく、これは『見るまでもなく知っている』ということの現れではないかと思います。
また、Marilyn Diptych以外はほぼ横並びになりました。やはり、マリリン・モンローを題材にしてしまった絵の衝撃度、印象度は強かったのでしょうか。
なお、一つも作品を知らない方は33名様、16.5%ですね。
大半の方がゲルニカはご存じだった。反戦美術が好きな日本人ならではという気がします。
さて、それでは、『もっともはてなユーザーに知られていたから良かったね賞』をピカソ様に、『もっとも絵柄がピンと来たんだっておめでとう賞』をウォーホール様に、それぞれ、副賞としてはてな5000ポイントと一緒に贈呈したいと思います。えー、ピカソ様? ウォーホール様? あら、とっくの昔に天国へ帰られたそうです。ピカソ様は1973年4月8日に、ウォーホール様は1987年2月22日に亡くなられました。ああ、残念でした。
ちなみに、私は全作品を知っていました。『泉』と『Marilyn Diptych』は大学の授業で。
(一応、芸術文化学科出身です)『アヴィニョンの娘たち』は『迷宮美術館』で。『ゲルニカ』は多分中学の美術の時間が最初なような気がします。『赤いアトリエ』も、なにかのテレビ番組か、大学の授業でかで見たような気がします。
私にとって、この中でもっとも印象的な作品は、やっぱり『泉』と『ゲルニカ』が同ランクかな。
『泉』は、レディ・メイド*1の走りで、別名義作家のサイン入りの、でもただの便器を美術展にだして、さあ、美術展に出したんだからこれは美術品だ、とまあ、そんなノリで出したんだそうで。(かなり語弊がありますけど、まあ、そんな感じだったらしい)美術作品と、作品じゃないものの間の線引きについて、考えさせられました。ただの絵の具は多分美術品じゃなく、作家が心血を注いで絵筆に着けてキャンバスを走らせると美術品になります。では、絵の具のパッケージを『全ての作品の源』という意味付けをして展覧会に出したら、それは作品なのでしょうか?
『ゲルニカ』は、中学の美術の時間……変な絵、と思った記憶があります。でも、変な絵なんだけど、なんかずっと忘れられなかった。今回検索して、やっぱり忘れられない絵だなあと思いました。なんで忘れられないのか、人の痛みと悲しみを、極端にデフォルメしたセンスが強烈だったのか、と思います。戦争はこんなに悲惨で痛いんだ、人が歪むほど痛いんだ。モノトーンだからこそリアルに伝わってくる痛みが、多分中学時代の自分にも分かったんだと思います。モノトーンだと、線が生きているかどうかがカギになる気がします。心に突き刺さる線そのものが、描けているかどうか、それが勝負になります。ゲルニカがカラーで描かれていたら、評価はちがったものになったでしょうね。