妖精夫婦とさまよい人の冒険

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

さてさてさてさて、いよいよ迷いの国グルースの冒険も大詰めです。
だんだんマップが埋まってきましたから。何度も何度も何度もワープをさせられれば、いい加減にこのマップの仕掛けも覚えてきます。
……でも、迷子隊長の主人公が、たったひとりでこのマップを完成させたわけではないでしょう。グルースで出会った妖精王と王妃がきっとこんな風に助けてくれたのではないでしょうか?

「ニンゲンがこんなところでナニをしておるんぢゃ?」と、見慣れぬ服装の主人公に声をかけた妖精王。壮健な老人だ。優雅な羽で飛び回る王妃もしげしげとデモニカ男を見つめている。
主人公は状況を話した……。
「……えーっと、僕たちは人類と地球を何とかするために旅を続けているわけなんですけれども……(クドクドクド……)」
「……神を信じた仲間とははぐれ……(クドクドクド……)」
「……悪魔を身に呼び込んだ仲間とも……(クドクドクド……)」
「……つまりですね、僕たちは……(クドクドクド……)」
「ええい、わかった! おぬし、この老人に負けず劣らず話が長いのぉ!」
「は、はい、すみません!」(反射的にぺこりと頭を下げる)
「ニンゲンよ、要するにアレであろう!? ……いわゆる、マ・イ・ゴ!!」
「ええっと、端的にいえばそのようなものです。お恥ずかしい……」(デモニカヘルメットの中で顔を赤らめる主人公)
「それならそうと申せばよいのだ……わらわが道行を手助けして進ぜよう」
「ええっ!」


「今の話では、夜魔・マーヤーに会いたいのであろう? ……もちろんタダで、とは言わぬがの?」
「?」
「そうぢゃなあ。わしらを新興妖精国へと案内してくれぬか? どうもマーヤーのヤツ、ニンゲンや天使たちをさまよわせるつもりで、我ら妖精にもこのエリアから出て行けぬような仕掛けを施したようでな」
「わらわどももある場所を目指す旅の途中というわけよ。知っておるか? 変わり者のニンゲンが手助けして、各地の妖精を集めた国を作っているというウワサを」
「あ、それ、……僕です」
「おお! おぬしがウワサの『すとれんぢゃー』か!? どうりで変わった服を着ておると思ったわい!!」
「(す、すとれんぢゃーって良い意味の英語じゃなかったような……)まあ、そうです。変わり者かどうかは分かりませんけど。ピクシーのお姫様を手助けしての妖精集めなら、やっておりますけれど……そういえば、先日、彼女から妖精王と王妃を案内してきてほしいってミッションを受けていますけど?」
「ならば、話は決まったぞよ。わらわがストレンヂャーどもをマーヤーのところまでサポートする。その代わりにお主があとで新興妖精国へわらわを案内せよ」
「わしもさぽぉといたそう。マーヤーはちょっと分かりにくいところにおるでのぉ」
「案内するのはわらわじゃ!! 王は付いて参れ!!」
「……(ぼそぼそと妖精王に)……完璧に尻に敷かれてますね?」
「……(ぼそぼそと)……あれで結構かわいいところもあるのぢゃ。すとれんぢゃー、心配はいらぬぞ」
「……はぁ」
「そこのふたり、男同士で内緒話など、気持ち悪いわ!! わらわを待たせるでない! さっさと行くぞ!!」
「うわわ、ごめんなさい!」
「……まあ、そう怒るな、妃よ……」


「ところで、お主、地図は持っておるな?」
「はい、今、このあたりで……」
「ずーっと同じわーぷぞーんを踏んでいるようぢゃが?」
「なんか気が付くとここでいつも東のワープをなんとなく踏んでしまって……」(と、地下2階・北西の十字路を示す)
「なるほど、マーヤーお得意の『心理的とらっぷ』ぢゃなあ。この十字路は北西の果てにあるから、どうしてももっと中心に近いところに行きたいという心理を呼び起こしがちぢゃ。だからおぬしはなんとなく歩いているだけだと東側の道を選んでしまう」
「あー! そうですね!! たしかに」
「次にこの道に来たら、わらわが合図する。絶対に西の道をいくのだぞよ!!」
「分かりました!」


……とまあ、地図とにらめっこしつつ、心理の裏をかくようなこの難解な迷路をどうにか抜け出した迷子隊でした……。
実際、グルースの地下2階・北西の十字路は普通に歩いていたらなんとなく東を踏みたくなる感じで。それをやっちゃうといつまでも同じところをグルグルしちゃうんですね。グルースだけに(?)。制作者の意図を汲み取れば、ダンジョンの出口が見えてくる好例です。


ともあれ……扉の封印を解き、マーヤーと対決。
何か属性攻撃をすると反射で殺されてしまう難敵でしたが、打撃に絞って戦い、どうにかこうにか勝利しました。


しかし、次のセクターでは……ついにストーリーは最終章へと向かうようです。
天使、悪魔、どちらにも与しない立場を貫くために。
主人公はゴア隊長から最後の力を与えられ、最終ミッション「オメガ」を遂行することになりました……。
オメガの目的、それは、このシュバルツバースに持ち込んだある最終兵器を用いて、シュバルツバースを内側からぶち壊すこと!!
一瞬だけ垣間見た、ラストボス・メムアレフと対決するべく、最後の最後の旅が始まったのでした。


ひとつに統一されることも、原初に還ることもヨシとできない人間。そのわずかな可能性を信じて道を拓くために。