A-one製のマルチカード+「Illustrator」で名刺を作成する手順

Illustratorで名刺のデザインをすると、低コストできれいにできる。自分でできることは自分でね。


ところで、自宅DTPの強い味方は、インクジェット用の各種定型ミシン目入り用紙である。
私は取り扱い店舗も種類も豊富なA-one製の用紙を愛用している。
用紙に自動的にレイアウトを合わせてくれる印刷用のアプリケーションを、無料で提供しているのもよい点だ。しかも、MacWindowsも同じようにサポートし続けている企業努力はすばらしい。Windows VistaIntel Macといった時代の荒波に負けずにサポートし続けて欲しいものである。

作成手順

まず、名刺に掲載したい要素を整理。
必要があればロゴマークのベクタデータを入手するか、既存のものからトレースする。
ラフスケッチを描いて、適切なフォントを選定し、全体をIllustratorでデザインする。
サイズは91ミリ×55ミリだ。
手作り名刺の場合、両面印刷が必要なデザインでは、どちらかの面で冒険を避けたほうがいい。たとえば、両面ともに紙のふちまで印刷が必要であるとか、高画質な写真を大きく両面に載せるとか。それはデザイン的なメリハリを失うばかりでなく、インクジェットでの両面印刷時にインクが染み過ぎて紙が汚れたり、印刷ズレの原因になる。


デザインやイメージに合わせて、http://www.a-one.co.jp/product/multi/choose/index.htmlのカタログから用紙を選定する。
このとき、紙質や厚みだけで選んではいけない。1枚あたり10面と8面の2タイプからの選択では、ついつい同程度の価格で枚数を沢山作れる10面を選んでしまうが、8面で無いと困る場合がある。それは、用紙の端ぎりぎりまで印刷が必要な場合だ。手作り名刺では細部の印刷ズレを避けることは非常に困難であるため、切り取り位置を越えた部分は他の用紙に出力されてしまう。その意味で、デザインがきちんと決まっていない段階での用紙購入は避けるべきだ。


このように、紙を買ってからデザインを考えるのではなく、制作物のイメージやデザイン、予算に合わせて紙を選ぶことはDTPの基本である。これは家庭内DTPだろうと商業印刷であろうと変わらない。


さて、Illustratorでデザインしたイラストを「ラベル屋さん」で使うときのデータ形式は、もっとも適しているのはLZW圧縮なしのRGBモードのTIFFではないかと思われる。「ラベル屋さん」では利用できる画像ファイルはBMP形式、JPEG形式、PNG形式、LZW圧縮以外のTIFF形式だが、どうもCMYKでは駄目、またプログレッシブのJPEGも駄目なようだ。PDFやWMF形式などで書き出したベクタデータを利用するのが理想だが、それは無理なようだ。
Illustratorでトンボやクリッピングパスなど、サイズを超える出力部分は削除し、あくまで必要な部分だけのデータにして、「ファイル」の「書き出し」でRGBのTIFFにする。解像度は300dpi程度あれば良さそうだ。


なお、Illustratorを持っていながら「ラベル屋さん」を使う利点は、利用用紙のレイアウトに合わせて一気に面付けして出力できる点、また共通のデザインで多人数の名刺を作成するときはCSV形式(カンマ区切り)などのリストデータを活用できることである。Excelなどで作ったリストがあれば、書き出して使えるわけだ。また、印刷位置の微妙な調整ができるのも良い。


さて、Illustratorを買っているほどの人であれば、ひょっとしてAcrobat他のPDFプリントソフトを持っているかもしれない。
この場合、「ラベル屋さん」で白紙のレイアウトの枠線だけをPDFできる。
具体的には「ラベル屋さん」で何もデザインしないで「印刷設定」の「一片枠を印刷する」をチェックし、プリンタドライバに「Adobe PDF」を選択すればいい。
そのPDFファイルをIllustratorで開き、新しくレイヤーを作成してデザインを配置し、最後に「ラベル屋さん」で作ったレイアウト線のレイヤーを削除(または不可視)にすれば、「ラベル屋さん」から出力するよりも正確に印刷が可能である。特に塗り足しが必要な(用紙の端を越える)塗りの名刺デザインの場合、「ラベル屋さん」では枠線位置までしか印刷できないようなので、カット位置を越えた部分まで塗って正確に出力したい場合にはIllustratorを使う必要があるようだ。

2008/1/17追記

hp psc 2450のように、給紙が横方向のプリンタではがして使うクリアエッジ用紙の場合、10面付け用紙だと印刷途中で紙がはがれたりしてトラブルが多発する。8面付け用紙の方が相性がずっと良いようだ。急がば回れ。結果的にエラーが出ない方がコストダウンにつながる。
そんなわけでフォト光沢用紙のクリアエッジタイプ8面付けの「51414」番の用紙*1を使用しているが、なかなか安定して出力できてよい。
それから、名刺はそうそう変更しないタイプの原稿だと思うので、一度原稿が出来たらPDFにしておくと、Illustratorの入っていないPCでも印刷できて便利。その場合はフォントのアウトライン化を忘れないように。OSをまたぐ場合など、まれに、PDFで正しく再現できない場合もなきにしもあらず。それと、この場合には用紙カットライン位置のレイヤーは削除しておこう。

*1:ちなみに50シート、名刺400枚分入り、だいたい1パック4000円前後だから、名刺1枚のコストは10円だ