Windows Vistaについて思うこと

http://www.ascii.co.jp/books/magazines/wascii.shtml
週刊アスキーWindows Vistaの特集だったからちょっと買ってみました。
でも、まあ、ベータ版使ってみるにしても、こういった記事にしても、Mac OS X ですでにやってることが大衆化しただけ? みたいに見えてしまって仕方がないです。おまけにMacよりか妙にマシンパワー食いますし。
最近、低価格帯でノートパソコンを買う相談に個人的に乗って、そのために10万円以下ノートの検索とかをしてみたんですが、だいたいスペック的にCPUが1.6GHz、RAMが1GB〜2GBがMAX(標準が256〜512MB)くらいなもの。ドライブはCD-RWだったりDVD+-RWだったり。一応、Vista対応キャンペーン参加ノートでも、512MBのRAMしか積んでなくて(OSはXP Home)低価格帯で買っている人でVistaを使ってみたい人は、多分なんらかの買い増し(RAMやCPU、場合によってはドライブ)か最悪マシンの買い換えが必要になる気がします。


で、あれこれ考えた結論。Vistaを出すとマシンを買う人が増えるから、最近売り上げが落ちているPC・ハード業界へのテコ入れ策としてリリースされるのでは? という説。
XPをパーソナルユース向けに維持管理しつつ、企業やハイエンドユーザーにVistaという感じにした方がしっくりくるんですよ、現状からどう考えても(つまり、ちょっと前までのWindows 98&ME的にXPがあって、2000的にVistaがある、みたいな感じ)。ホームユースからVistaを使わせるプランになっていますが、ちょっと疑問があります。
雑誌の記事を見ていても思ったのですが、Vistaにちゃんとついていけるマシンを持っているユーザって、それなりに最近に買っていてしかもマシン選びにお金をかけている人、だけなような気がします。


結局、Office+インターネットができればいいんだったら、Linuxに逃げる手がありますし。
Macの方がいくらも安全な環境ですし。いろいろ使って愉しいツールが付いてますし。Vistaで実装したこととほぼ同じようなことはすでに実装済みですし。
完全に安定した環境で何かを作るためにパソコンをするなら、アプリケーションの対応のためにWindowsを使っていたとしてもインターネットにつなげないのが最高の安全策だと思いますし。
単なる情報ブラウザだったらLinux系OSで充分。考えれば考えるほどVistaを使う意義を見いだせません。


Mac OS 9からXに移行したときは、その意義が分かりやすかったのですが、XPからVistaに移行する意義については、雑誌の特集を読んだらますます分からなくなりました。
やりたいことが『汎用性の高い安全な環境でインターネット+MS Officeをしたい』だけなら、XPにきちんとしたセキュリティソフトを入れれば十分だし。ハードごと買い替えさせるようなOSを出す意義は? マイクロソフト側の言い分はもういいので、2年というXPサポート期限を設けてまで消費者に買わせるメリットはあるのかどうか。2年後、みんながみんなマシン更新をするとは思えないです。結局、セキュリティパッチを当てられないマシンが世に沢山出ているままXPサポートが終わってしまって、損をするのは消費者……、とさせられてしまうのでは? 治安を維持するにはある程度のマナーを皆が守っていることが社会を維持していく力になることと同じように、MacだろうがWindowsだろうがある程度の安全性を個々に持っているマシンがネットに参加していることが、ネット全般のトラフィック(混雑)の軽減や安全性の向上につながると思うのですが、XPのサポート期限切れがネット社会のセキュリティに及ぼす影響は未知数なのでそれが非常に怖いのですよ、個人的に。


今日、ちょっとITに詳しい方とお話しして、Vistaの話になり、結局あんまり実効ないような……、というのが結論でした。そんなにWindowsにしなくちゃいけないものなのでしょうか? 未知の格差社会が生まれるだけのような気がしています。


奇しくもAppleは家電メーカー化しつつある昨今、ある意味で対照的な路線に進みそうな気がしています。質のアップル、量のマイクロソフト……だと思っていたのですが、多分、ここにきてマイクロソフトも質路線に行こうとしているのでしょうが、それをやるには市場に出まわったマシンが貧弱過ぎて、ある意味では消費者がボトルネックにならざるを得なくてVistaビジネスは頓挫するかも、という危惧が捨てきれないですね。そうなってしまうと、多分妙な混乱からIT業界のためにならないし。いずれにしてもVistaの前途多難は否定できないでしょうね。


ハンバーガーのカロリー表示がきちんと明示されていないからカロリー過多で肥満になった、だから病気になったのはハンバーガーメーカーの責任、という裁判がかつて某国であったみたいですが、同じような図式はITにも当てはまる気がしています。ホームユースは置いておいてシゴトではWindowsは使いたくないけど使うしかなかった、んですよ、今までは。技術や知識的問題や予算の関係などで選択の余地がなかった。しかし最近はLinuxMacにもだいぶ光が当たってきました。情報が廻ってきてコストも下がり、かなり選択ができるようになってきています。経費節約のためにOfficeマシンとしてLinuxを入れた企業も増えてきているようですね。
M社が安全性にもっと注意をしてOSを作ってくれていたら、こんなに危ないことにはなっていないんじゃない? という意見が出しやすくなってきたし、消費者行動としてそういう意志を示しやすくなりました。市場原理に於いて、Windowsは本当に正しいOSなのか、という判断が下されるようになるんじゃないか、ということで、そういう機会としてWindows Vistaの売れ行きと、かつてのWindows 95ショックとを比べてみるのも面白い見方のような気がします。


消費者として考えていることは難しいことは何もなくて、ともかく電話や自動車や電子レンジと同じように、そこそこの安いお値段でも安心して安全に使える機械が欲しいだけなんですけどね!