これからあるべき美術館・展覧会のひとつの姿。

超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21)

超・美術館革命―金沢21世紀美術館の挑戦 (角川oneテーマ21)

あの「金沢21世紀美術館」の館長さんが、非常に読みやすい文章で、年間130万人の入場者数を誇る市立現代美術館をどうやって作っていったのかを、懇切丁寧に書いてくださった名著です。
ほとんどブログ感覚で、面白く読めました。新書一冊をフォトリーディングもしない普通の読み方で、数時間かかったかどうかで一気に読めました。


現在大学生くらいで、学芸員課程を履修している学生さんは絶対に読んでおくべきだと思います。
私自身も美術館の学芸員課程を履修し、勉強になった&一生の影響を受けた経験がありますから。
また、美術館そのものへの見方がまったく変わります。美術館は楽しむ場所であるはずです。


また、重要なのは小学校4年生(10歳)くらいに「本物」を楽しく見て体験しておくこと。これが一生を支える宝になる、という趣旨の、本書の教育論は私も賛成です。
私が理科とITの面白さを知ったのも、結局のところそれくらいの頃でした。
某友人が名物英語講師をしていますが、彼女が英語を楽しく知ったのも、たしかそれくらいだったかと。


10歳の頃を思い出してみてください。そして現在の自分への影響を考えてみてください。
絶対になにか、自分の根本になっているものがあるはずです。
ですから、10歳くらいのお子さんがおられる方は、ぜひ美術館の楽しみ方を子供に教えてあげて欲しいと思います。文化が好きであることは、日本人として大切なことだと思います。


いつか、絶対に、本書を持ってこの美術館を訪問したいと思います。


なお、本書の著者印税はすべて金沢市での子ども教育プログラムの事業資金として寄付されるそうです。