『ハイパーインフレーション』と『進撃の巨人』

ジャンプラで連載中の『ハイパーインフレーション』、前回までで1つの大きな戦いが終わったようです。
最新話の50話から、主人公ルーク君の生き別れのお姉さんのハルさんは、今、どうしているのか……そして、ルーク君たちはどうするか……という話が始まりました。
この展開、雰囲気がなんだか主人公の敵であるマーレ側ではどうしているのかを語り始めた『進撃の巨人』の後半に似ているなという気もしました。その進撃と同じように、相当に衝撃的な展開が待っているようです。まだまだ状況が語られただけで、本格的な話はこれからですが。『進撃の巨人』でマーレ人から真っ当に人としてすら扱われていなかったユミルの民と、本作のハルさんやルーク君たちガブール人の境遇が、世界観からして全然違うのに、悲劇性が重なりまくる。
考えてみれば、『進撃の巨人』も『ハイパーインフレーション』も、作品のモデルと思われるのは西洋の歴史。それも近代の、まだまだ人権が確立されてはいなかった頃。
差別と戦乱の悲惨な歴史は共通してしまうのかもしれません。
大量の伏線、主人公の謎の能力、戦況の圧倒的な不利や敗北、避けられなかった犠牲者。そして、それでもあきらめないキャラクターたち。『進撃の巨人』でワクワクさせられたあの感じは、もう二度と味わえないかと思っていたのですが……。創作の世界を見くびっていた自分を深く反省します。
両作品ともに、根底に共通するのはキャラクターの死に様から逃げていないことです。そして、重厚に構築された大河的世界観。
読ませます。
そして『進撃の巨人』よりもどこか作風が明るく感じられるところもあります。『進撃の巨人』は重厚に筆を重ねて話を展開していったところがあり堪能したものですが。『ハイパーインフレーション』は話のテンポがとても早い。普通なら数回分、話を重ねそうなところを数ページで説明してしまう。しかしなから、それで疲れるとかわからないとかいうことがない。
相当、構成がうまいんだと思います。
ハイパーインフレーション』は歴史ドラマが好きな方には強くお勧めできます。特に『進撃の巨人』が好きだった人には本当にお勧め。あれを読破できる方なら楽しめるんじゃないかなと。冒頭のジャンププラスへのリンクから連載ページに飛べます。ジャンプラ、最新話まで初回通無料というサービスの良さでひと通り通読できるので、新しい作品をお勧めしやすいんですよねえ。
ただ。ちょーっとばかりシモネタが多めではあるので、そこは笑って受け入れてほしいかな……と。どうやらそういう作風みたいなので!