月の輝かない夜に

「めぐりあひて 見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな」(紫式部
百人一首の有名なうたですが……。最近、個人的に氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」を読み直したりもしているので。気分は平安時代
お会いしたかと思うと、その人と見分けるかどうか分からぬほどあっという間に、慌ただしく別れてしまった友よ。まるでほのかに見えた夜半の月が隠れるのと同じように。
ってなところですか……。
でも。同じ空を見つめていると思えば、別れてしまったあとでもつながりを感じているうた、というのは拡大解釈のし過ぎでしょうかねえ。こちらから見て隠れてしまっていても、雲の向こうには月があるのです。だからまた会えばいい。そういううただとも勝手に思っていますが……こんな解釈したら紫式部さんが草葉の陰でお泣きになられたりして?
急な春の嵐で、月を見ることも出来ない今宵、さみしさもありますが。ただ、低気圧が通過すればまたお天気にもなりますし。
今は見えないからといって、そこに居ないわけではないのです。