「東京」を改めて考える

東京に戻るというのは、日常に戻るということではあるけれど……。
う〜ん、福島、というか、いわきを離れるのが名残惜しかった。
人々は親切だし、海は面白いし、音楽が盛んだし、ご飯がおいしかったし。


まあ、勉強とかをするにはいい場所なんだけどね、東京って。
電車が便利だから車の免許がいらないし。都会ならではの刺激は多いし。
でも、骨を埋める場所ではないな、と、改めて思ったりした。


また、福島県には東京に電力供給をしている原子力発電所がある。今回の訪問先にはなかったけれど。その原発だって100%安全ではない。もしも本当に安全なら、東京の真ん中に原発を建ててしまえば、あれだけ長い送電線を張る必要はないだろう。でも、そんなことはおこなわれない。
いわきの海や魚を眺めながら、海洋資源は東京に「輸出」されるんだな、とか、ちらと思ったりした。


つまり、東京は地方に依存して動いている非独立都市なのだ、と。


そんな、依存都市でありながら、東京はけっこう偉そうだ。


こんな新しい(?)視点を得たのも、収穫だった。今まで気が付きもしなかったけれど。
東京に暮らしているということだけで、地方の人から「奪って」いるものが少なからずある。そのことを気持ちのどこかにとどめておくだけでも、生き方が謙虚になれる気がしてならない。


今回案内してくれた旧友は私とおなじ東京の大学を出たあと、家庭の事情で帰郷して働いている。
一家の大黒柱としてしっかり毎日を生きている。大変そうだけれど、けっこう生き生きとしていた。そして、とても親切で、大学の時以上に優しかった。それに、私との再会を喜んでくれた。


環境は人を育てる。私はどうなのだろう。あの頃よりも先に進めているのだろうか。