実は『としまえん』はwithコロナ向きアミューズメントだった説を唱えてみる

各種報道にあるように、8月末でとしまえんは閉園になってしまった。
跡地にはハリーポッターの街並みなどを再現した大きな施設と、練馬城址公園という防災を意図した公園が作られるという。
この防災公園+ハリーポッター施設、の問題は検索するといろいろな話が出てくるが、市民や個人レベルからの賛成意見を探してみたのだが見当たらない。
そのかわり、反対や疑問、閉園を嘆くような意見ならたくさん見つかる。
建設的なものから、感傷的なものから、……色々と。その状況からして、市民レベルでは反対票が多いのではないか、という気がする。
反対意見を集めている署名サイトも見つかった。もちろん署名した。練馬区議会に、少しでも意見が届けばありがたい。

私としては、今日ちょっと思いついたことをこの日記というネットの片隅にザックリ書いてみたい。閉園されてからでは遅い気づきかもしれないが、withコロナの時代はまだまだ続きそうだ、ということから考えてみたことがあるのだ。
この7、8月、子育て中の友人に誘ってもらい、私はプール(昼、夜)やアトラクションで3回ほどとしまえんで遊んできた。子供目線での遊園地体験は、としまえんを新鮮なものに感じさせてくれて楽しかった印象だ。
例の回転木馬『カルーセルエルドラド』は本当に公称通りの古さなのか信じられないくらい、元気に回っていた。三層の円なので、中央の席だとものすごく早く回る。そしてお客さんの入れ替えはスムーズ。
また座席を空けたり、定期的にエタノールによる消毒も行われたりで、コロナを流行らせない配慮が行き届いていた。
若干混雑のあった待機列も、としまえんによくきている人の話では閉園間際だから少し混雑しているように見えるが、いつもならそこまでではないとのこと。実際、それなりに混雑はしていたが、通常営業時のディズニーランドよりはるかに歩きやすかった。入場者数を制限していたとのこともあるとは思うが。
また、基本的にとしまえんは屋外なので、室内での待機よりは感染対策になっているのではないかとも思う。
プールについても、屋外なので室内プールよりは感染対策がしやすい。また多少の飛沫はプールで泳げば流れてしまうだろう。流れるプールがあるくらいだから、ますます問題ない。
さらに、としまえんにはリピーターが大変多い。私の場合はほとんど小学生以来の来訪だったが(成人してから1回行ったかもしれない)、それでも長い長いスパンのリピーターだ。
子供から大人まで楽しめる遊具があり、気軽に入りやすいことから、周辺の住民の方の中には子どもの頃は毎日年間フリーパス(木馬の会)で来ていた、という人も多いという。
つまり、としまえんがどういうところで、各アトラクションはどのように楽しめば良いのか知っている人が多いということだ。
どこに何があるかをよく知っているなどで、道案内の必要性が他の遊園地より少ない可能性がある。今の状況では、初対面の人との会話は少なければ少ないほど良い。係員に聞かなくても問題ないなら、それに越したことはない。
物馴れていれば、ユーザーのほうで、このアトラクションにはどれくらい時間がかかる、とかもある程度は判断できる。もちろん、係員に聞いても良いが、ユーザーに経験値があると話は早い。
今回のような閉園間際という異常な状況でなければ、密を避けた園内の巡り方をもっとユーザーサイドが考えやすかったのではないかと思う。
森が園内にあるため、都内としては比較的空気がきれいなのも特筆できる。実は希少生物もいるらしい。生き物を学べる昆虫館もあるのは、この森と関係があるのかもしれない。
また、年間パスポート制度で安く楽しめるというのはwithコロナ時代でのアミューズメントで重要なことなのではないだろうか。としまえん自身にもおそらくコロナの影響は大きかったと思うのだが、ともかくも、コロナのために給与が減らされたり、失業や廃業したりしている人がおおぜいいる。人間、たまには気晴らしも必要だ。そうしたときに、安く楽しめるというのは非常にありがたい。
さらに、新宿や池袋から近いため、市民が気軽に遊びに来やすい。交通手段は車や自転車のほか、バス、西武線都営地下鉄などが可能だ。GOTOトラベルで都民が除外されたように、今、東京からの遠出は控えるべきなので、都内にそれなりに遊べる施設は必要なのだ。
色々書いたが、言いたいのはとしまえんはwithコロナ時代に適したアミューズメントスポットだったのではないか、ということだ。
(屋外、客が慣れている、長年の運営で様々な安心感が高い、森がある、年間パスポートで安価、交通が便利……)
まだまだ明けないwithコロナ時代。としまえんはそれこそ、今年の秋にも冬にも、来年の春にも、そのあとにも必要があると思う。
このタイミングで閉園してしまって良いのだろうか。