アイルワース版「モナ・リザ」誤報説。

先日、id:Yuny:20050326#p1で書いた『もう一枚の「モナ・リザ」』について、誤報ではないか、という記事が出たようです。

モナ・リザ」は誤報!?日テレに抗議文

26日放送の日本テレビ系「超歴史ミステリー!ルーブル美術館の秘密」で名画「モナ・リザ」が2点あり、うち1点が発見されたと紹介されたことに対し、東北大学大学院の田中英道教授(西洋美術史)が28日、「もう1点がコピーであることは学会でほぼ結論づけられている」などとして同局に抗議文を送った。

田中教授によると、この1点は1980年代半ばにスイスの画商が売りに出そうとしたコピーといい、日テレは「スイスのモナ・リザの存在は専門家には知られていたが、今回日本で初めて映像化に成功した。絵は鑑定中」などとしている。

ちなみに、田中英道先生は、こんな本をお書きになっているそうですが……。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯 (講談社学術文庫)

レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯 (講談社学術文庫)

これのamazon.co.jpでの紹介文。(強調部分を付けました)

人類史に聳える至高の作品群を全く新しい眼で見つめ直し、絵の中に秘められていた驚くべき暗号を解読、レオナルド芸術の最大の謎を明らかにする。

これって、ある意味で田中英道先生バージョンの「ダ・ヴィンチ・コード」ってことかな? まあ、92年の本のようですけれど。やっぱり、「ダ・ヴィンチ・コード」じゃなくても、あの絵に暗号がありそうに思った方っていっぱいいるみたいですね。考えてみれば「モナ・リザ」には絵に何かひみつがあるって話自体は、子供の頃も聞いた気がする。
それにしても、確かに「モナ・リザ」より新しいような印象はあったんですよね。ただ、画面の感じからしルーブルよりも撮影照明が強く当たっていた可能性(絵の保護から言うとかなりまずいんですけど)があり、そのせいかもとも思っていました。全体の色遣いがかなり暖色系で明るかったから、それでそういう印象だったのかも。
まあ、どっちに転んでも、ビートたけしさんや日テレはサイトや続報番組などで鑑定結果を視聴者にちゃんと伝えて欲しいと思います。あれだけ盛り上げたんですから、ねえ。知りたいですよ、ねえ。こういう、真贋のバトルも面白いかも。
もしも真作であれば、番組の再放送があるでしょうし、贋作であれば無くなるでしょうね。多分。(残念ながら)
「学会ではほぼ否定されている。」う〜ん、この論拠と日テレの反論を番組でやってくれたらすごい面白いんですけれど。テレビがこういう面から美術史のルールを勉強させてくれたら、美術好きが増えそうな気がしますよ。