ネット用語を易しく解説する事とは

saradineさんからトラックバックいただきました。(id:sardine:20050623#p1)
以前、人力検索はてなで行ったこの質問についてのご感想でした。

  • question:1118307156
    • 最近インターネットを始めてやっとYahoo!の使い方を覚えた位のレベルの主婦に教えるつもりで、以下の用語を易しく解説してみて下さい


saradineさんも説明することの難しさに難儀なさっている様子。
コンピュータの概念を現実世界のモノに変換して考える事は大変難しい事です。頭がいい人は抽象と具象の世界を楽々と行き来できますが、コンピュータになじめない人は抽象と具象の間を結ぶ感覚になじみがないのではないかと思います。
たとえば、何故インターネット上で文字をやり取りできるかを、初心者に説明できるか。


私なら声そのものを伝えた糸電話から、解読表という約束事に基づいて言葉を一種の暗号として送ったモールス信号、そこから二進法の最低ラインの概略に一瞬だけ触れて、インターネットの話をすると思います。


このように、デジタル(つまり0と1)の具体的な扱いは分からなくても、何をしているかを語る事は可能です。数の集合体にある法則を持たせておき、解読できれば、どんな情報も送る事が出来るというのが要点です。そこさえ外さなければ、プロトコル関係の話は全部出来るし、デジタル画像の話のとっかかりも出来ます。RGBやCMYKJPEGとGIFの差異、MP3にAIFF&WAVE、QuickTimeの話……。概略イッツオーライな話って、何かのメソッドに徹底すれば全部出来る気はしているんです。
大学でMacを触って以来8年考えて、まだ結論は出ないのですが、ITの基礎の基礎ってA41枚にまとまりそうな気がしています。その基礎概念の門をあっさり通れた人と、なかなかとっかかりが掴めない人がいて、IT習得の差ってそこにありそうで。


手がかりはmacintoshGUI設計そのものの中にあるとも思っています。アップルのチャレンジで、Macは最初からGUIで操作しました。ファイルは紙のアイコン、仕分けるのはフォルダ、一時記憶領域はメモを挟んで要らなくなったら捨てられるクリップボード、ハサミで切って(カット)他の場所に貼付ける(ペースト)、あるいはコピーとか。現実の概念をコンピュータ処理に持ち込む手法のヒントがMacintoshに詰まっている。そこから何らかの方法論が導き出せそうで。昔「Macintoshの使い方に慣れる事は、論理的に物事を考えるプロセスを習得する事だ」という言葉を何処かで読んだのですが、それは実感としては強くあります。今何をしているのか、この操作は何がどうなる事なのか、そういった事を考えながら使うことがメニューからプルダウンする操作方法にすべて詰まっている。


結論は結局保留なのですが、こうすれば抽象的な事項を具象化できる方法論があれば。
やり方(コマンド名)を暗記するのではなく、作業を理解してそこにコマンドを当てていく指導方法にヒントがありそうだと思いつつ。


ある神髄を理解してしまえば、他のすべてが目から鱗が落ちるように分かる。その感触はあるのに、その神髄の表現方法が分からない。非常にもどかしいです。


舞台劇「奇跡の人」のラストで、三重苦のヘレン・ケラーが、いままでさんざん「言葉と具体物を結びつけて考えること」をサリバン先生から習い続け、ついに水(というかこの冷たい液体)と「水」という言葉を結びつけて考えられるようになる奇跡のシーンがあります。人形を持たされてDOLLと指で綴るとかの訓練をずっと受け続け、あるとき井戸水を浴びて水と分かるようになるという。
あの奇跡は概念と具体物の連結を考える上で、非常に参考になることです。コンピュータ用語にもなにかこういう感じがある。これを誰にでも教えられるようになったらいいんだけれど……。