ゴッゴルという四色の旗の元に

某放送協会の「ゴッゴルかくめいの衝撃 〜あなたの猿生を“ものさがし”が変える〜」という番組*1を見た。


なんでも。


ゴッゴル社は世界中にあるとてもおいしい木の実のありかを、全部衛星写真やキーワードで探せるように、とんでもなくでっかい書き付け帳と、その目次を作るのに血道を上げているんだそうだ。
その書き付け帳が膨大なページに上り、そこから探し出せる木の実のありかは、探しにきたサルの一番近くの場所で一番おいしい木の実であるように、目次の作り方を工夫し続けているんだってさ。
目次の目立つところに掲載されれば、その木の実はとてもおいしいって保証されたようなものだって皆が考えるようになって、木を植えたサルは一生懸命に自分の木のお知らせを工夫している。できるだけ目立つところに自分の木が表示されるように、他のサルより上位に書いてもらえるように。


でも、その木の実、本当においしいの?
目次って、本当に評判とおんなじ順番?


あるところに、三郎というサルがいた。彼も木の実を育てて他のサルに売っていた。
目次のどこに載るかなんて無関心。ただただじっくりとお日様や地面、木々と話し合いながら育てている三郎は、いつのまにか自分が丹精込めて育てた木の実が、昔のようには売れなくなったことを知ったんだ。
三郎は、いつの間にかお得意様が減ったことを不思議には思った物の深くは嘆かず、いつも通りお天道様と話し合いながら世話をしていた。だから、いつも、三郎の木の実はおいしかった。いつも、いつも。


一方で、また別のサルがいた。
一郎は目次の順位にも気配りしながら、できるだけ手間をかけずに大量の木を育てていた。ついにある日、お知らせに沢山の仕掛けを仕込んだ苦労が実り、ゴッゴル社の目次の第1位に掲載され、木の実は大量に売れた。


我が世の春だ、きいきいきい!


しかし、この木の実は実は栄養がイマイチだったり、違法な農薬なんかも使っちゃったりしてて、食べれば食べるほど危険なシロモノだったんだ。
一郎は、危険な物でも売れればいいって割り切ってた。だって、売れれば自分の懐がこ〜んなにあったかくなるんだよ? まずは売れなきゃ意味がないじゃない。


ある日、一郎の子どもが死んだ。


自分が育てていた木の実の農薬は、子どもには耐えられない量だった。


そして、一郎のお客さんも、次々に死んだ。そのニュースはサル山をかけめぐり、一郎は家族もシゴトも失った。


評判なんて二の次三の次。まずは目の前の木の実に丹精することが大事だって良く知っていた三郎。彼のお客さんは、みんな元気であることが普通だった。
もちろん、三郎自身も、彼の子ザルも。みんな元気が当たり前だった。ずーっとずーっとそうなった。


ゴッゴル社の4色の旗の元には、真実と虚偽が入り交じる。
その木の実は本当に自分のカラダに良いのか。
結局、サル自身の手で調べるしか無いのにね。

*1:本稿はオマージュに付き、実際の某番組とは一切関係ありません。