CG-ARTS協会「Webデザイン指導者向けセミナー」を聞いてきました。

日本電子専門学校で行われたこのセミナーを聞いてきました。CG-ARTS協会っていうと、学生CGコンテストや、CG検定が有名ですね。今回は博報堂アイ・スタジオの方をはじめ、現場でWebを含めたデザインなどをしている方々から、現場の状況や、どんな学生さんを教育機関に育ててほしいか、といった面白い観点からお話を伺いました。


Webを広告メディアのひとつとして捉えている博報堂アイ・スタジオさん。実際に制作したサイトをいくつか挙げて、どんな経緯で作られたか、そして、学生に求めたい物は何か(まんべんなく基礎が分かっていることのようですが)をお話しくださいました。
Web1.0から2.0、そしてその先にあるセマンティックWebの状況まで見据えてこれから先を考えているマイクロネットさん、そして30年の歴史のあるデザインスタジオであり、パッケージデザインからWebまでひろく手がけ、いかにデザインを発想させ、形にするかを考え形にし続けているベーシッククリエイティブさん。それぞれに面白いお話を伺えました。新語や概念の提示にとどまらず、補足や実例をもっと挙げて具体的に説明していただければもっと良かったとは思いましたが。


また、CG検定の説明では、このところ入り口の部分の回答率は良いのですが、全体のワークフローや、入り口以降の先にある部分を見据えた問題への回答率が低いそうです。
例をあげると、HTMLに付いての問題は答えられても、CSSについて正解できないとか。
3DCGのモデリングについては知っていても、バンプマッピングや環境光など、その形をどうやって魅せて行くかの部分(レンダリング)は回答できないなど。さらに、3DCGの動画をつくる、あるいは静止画を作るといったとき、パソコンの中で処理しているのはすべて、実写動画撮影や写真撮影のノウハウから得たものを元にした効果なので、当然実写に関する知識も多少は必要なのですが、そのあたりの問題も答えられない人が多いそうです。
また、ワークフローを見据えて、クライアントの要求と合わせて行くときにどういう順番で物を考えて行くべきなのか。たとえば何かのコンセプトを作るとき、コスト的な面は最初から考えなくてはいけないか、次に考えればいいのか、といったことなど。


要は、目の前のパソコンでできそうな部分にすぐに飛びついてしまい、その作った物をどう活用して行くのか、また、そもそも何のために作るのか、といったことを考えながら学んでいないという傾向が読み取れるということなのでしょう。
1年生のうちは基礎をまんべんなく学び、2年生以降は自分なりにやりたいことをやって行くというのが一つのスタイルでしょうが、2年になっても3年になっても、十分に基礎を身につけておらず、例えばWebに関する基本的なこと(HTML、CSSJavascriptの基本的な使い方など)を知らないでゼミに入って大変な思い(先生も学生も)をするケースも結構あるようです。

Web2.0サイトで何かしたいときも、web1.0的な知識は十分必要です。それが、HTML、CSSJavascript、さらにFlashなどのことで、それらを身につけてからWeb2.0を学ぶと面白い訳です。なんでこうなるのか、なぜこれが面白いのか、なぜこんな便利な物があるのか、どうやって情報がやり取りされているのか、そういうことは、基本が分かっていないと理解できないと思うので。


非常に勉強になりました。
教える側としては、学生さんにはきちんとした基礎を身につけさせることが、教育機関の人間としての最低限の責務でしょうね。
ありがとうございました。