言葉には気をつけるべし…。

夜21時のNHKニュースでゆとり世代論をやっていた。
この世代について、自分は仕事柄、彼ら彼女らの学生世代を数年前にそれとなく見ていたので、あまり悪いイメージを持っていなかった。個性的な人が多いというのはこれからの日本にとって大事だと思うし、実際に接していても、よく言われているほど礼儀知らずでもなかった。
この国では今後はただでさえ人口が減っていくんだから、いろんな個性でもって国を盛り上げてほしいなっていうか…。たとえばコンテンツ産業といったような、個性が大切になる業種がますます重要になるだろう、と、思っているので。
実際、起業家が多かったり、天才肌の選手やアーティストがとくに増えたのは、ゆとり世代以降のように思う。統計などは知らないからあくまで個人の印象としてだが。
詰め込み型の学習はある程度までは必要かもしれないが、そればかりでは本当の問題解決能力が育たないってことにも、この世代への教育から社会的に気づきが広まったようにも思う。インターネットネイティブ世代であることも大きいのだろう。世界を肌で感じてきた世代でもあるのだ。
実際、このニュース番組では、この世代の起業家の声なども取り上げて、個性派ということでまとめていたと思う…そこまでは良かったのだけど。
VTRを受けての女性キャスター曰く「ゆとり世代も捨てたもんじゃない」。耳を疑った。人サマに対してこれは無い! 男性キャスターの方もコメントをフォローしきれなかった感じを受けた。いったい、何を捨てるというのか? 上から目線すぎる。
世代論は人をひとくくりにしてレッテルを貼り付けるというものであるし、非常にセンシティブな話題なんだから、言葉には気をつけていただきたい。
言葉は生き物であり、この国には『言霊』(コトダマ)という概念もある。ニュースキャスターは言葉のプロなのだから、本当に気をつけてほしいものだ。市民に聴き込みしたり、インタビューなどでしっかり取材されて真っ当な結論で終わったVTRのことなど吹っ飛び、あのひとことだけが印象に残ってしまった。取材スタッフやインタビューに応じてくれた人たちが気の毒である。
ニュース番組を見ていてここまで気分が悪くなるキャスターのひとこともそうはないだろうが、反面教師として言葉の大切さに気づかせてくれたという意味では捨てたもんじゃなかった…と、思うことにしよう。