エバンジェリスト、という人たち。

より。

確かに技術の話を人にわかりやすく伝える文章を書くのは大変だし、ネタに困って頭を悩ませることもあります。締切に追われ、通常業務とバランスをとりながらそれをやっていくというのもまた、辛いと思うときもあります。でも、僕が結城さんや宮川さんに憧れていたように、自分もそういう風に思われる日が来たらすごく嬉しい、人生において自分の名前がどこかに残るということは、この上ない喜びだ、と思うとなんてことはなく乗り切れるものです。

技術系の方で、分かりやすく自分の得意技を語りまくってくれる人って貴重です。作品で語るだけでなく、解説でも語ってくれる方。どしどし、お名前を残していって欲しいモノです。
はてなのサービスからweb2.0なる世界を知った自分としては、実践例で学びつつ各種の記事で勉強させていただいてるわけで、こういう職人さんをエバンジェリストっていうんだろうなあと思いつつ、色々と読ませていただいています。


エバンジェリスト*1という単語といえば、自分にとって連想されるのはMacintoshですが……。
Mac黎明期は私はまだ高校生でしたね。高校のコンピュータ室にはN88 Basicで動くCUIのマシンしかなく(いわゆるPC98っていう連中です)小学生時代に触った事があるBasicはともかくとして、C言語って結局よく分からなかったですね。あのころ、同じ科目『コンピュータ数学』*2を選択した男の子たちは「windows 95のインストールに失敗しちゃってさあ……」なんて話をしていましたが、ニュースとかでも聞いたソレが、パソコンの歴史を大きく変えるOSということも知らず。座標を手描きで算出し、Line命令でグラフィックを描く課題に没頭。出来たのは虹が描かれた絵画で、キー入力により月が満ち欠けしたり、なぜかUFOが飛んでくるという謎のCGでした。
今でいえばFlashで簡単な静止画を描き、インタラクティブ性を持たせたような感じです。インタラクティブって面白い(いや、当時はそんな概念も知らなかったですけど)と気がついたのはこの頃の事。でも、CGってめんどくさくって大変なんだなあ、という思いもしました。それはなぜか。多分、CGのエバンジェリストに出会っていなかったからでしょうね。


でも、大学に入って触ったMacintoshPhotoshop、そしてMacintosh専門誌で知ったグラフィックやらホームページやらの世界は非常に面白かった。PhotoshopとBasicじゃ、CG処理において雲泥の差でしたね。マウスで引っ張れば簡単に線が引ける。写真のキズもあっという間に消せる。色替えだってちょちょいのちょい。フォトレタッチの方法とか、マックのシステム管理方法とか。簡単で便利で面白い!! これが私にとってはエバンジェリストが書いた記事との出会いになりました。
大学の先生はソフトの使い方は教えてくれても、ハードが何故動くのかは教えてくれなかった。その辺の原理とかは雑誌で学びました。今の仕事(IT系大学での学生サポート)にも、この体験は直結しています。何故パソコンが動くのか、エラーが出るのかは、知ろうとしないと分からない世界。
学生さんには、ふたをひっぺがしたハードディスクや壊れたメモリ*3を見せたりして、ちょっとでもパソコンの中身に興味を持ってもらえればと心を配っています。
あれ、もしかして、私も学内ではエバンジェリストの仲間入りですかね? だったらうれしいですね。難しい事を簡単に言い換えてお伝えするのは、非常に楽しい仕事ですし、頭の体操にもなります。……こっち系のネタでも少しずつ書いてみようかな?


ともかくも、Web2.0の黎明期と言っていい昨今。エバンジェリストの皆さんに幸多い事を祈りつつ、情報技術の行く先を見守っています。この先、みんなに開かれた技術になっていくのか、ハングリーに学ばないと付いていけなくなるのか、興味深く思っています。開かれた技術になる鍵は、きっとエバンジェリストな皆さんが握っていると思うのですよね。ITは、知るきっかけが無ければ、始まらない世界ですから。

*1:ここでは新技術の伝道師、という意味です。黎明期のマッキントッシュを広めたのは、アップルの社員さんよりもマックにハマった熱心なユーザたちだといわれています。優れたマックユーザは、人に教えるのもうまかったようです。

*2:高校時代、唯一10を貰えた選択数学科目でした。ちなみにこのクラスに女の子は私以外あまりいなかったですね。パソコンって今ほど身近じゃなかったですから。

*3:個人映像制作用に120GBのHDDを思い切って買ったのですが、ある日、不注意で落下させて壊してしまった。あの時は泣きました……。今はそれの銀色のふたを取って透明なプラ板を被せ、ハードディスクの模型として教室に展示しています。メモリは中古屋で買って友人のパソコンに付けたらBIOSが飛んだ不良品。自己責任の世界の重さを知った出来事でした。友人のPCは弁償しました。アレも痛い想い出。