クリエイティブソフトウェアの販売チャンネルについてざっくりまとめてみた

日本で入手可能なクリエイティブ志向のソフトウェア群には、今、7つくらい流れがあると思う。ざっと思いつくままに挙げてみる。

  1. Adobe CS。伝統的で多機能でプロ御用達なクリエイティブスィート。デザインが分かっていてもう自分の手でイチから創れるヒトにはうってつけ。マクロメディアの買収後、業界トップであり標準としての地位をこれ以上無いくらいに確立させた。今や、デジタルデザイン系であれば、どこの専門学校や大学にも、たいていAdobeソフトウェアが導入されている。
  2. デジタルステージのソフトウェア群。ある程度出来上がっているパーツと自分の手持ちの素材を組み合わせて作品に仕上げる、レゴブロックのようなスタイルのソフトウェア。パーツのデザインはプロがおこない、カードリッジとして提供することで、知識が無くてもプロレベルの作品が作れる。
  3. iLifeシリーズMac OS X環境下を前提にAppleが提案している。ハードウェアレベル、OSレベルから総合的にパソコンで創作生活を楽しむ生き方の提案であろう。パソコンそのものから自社製品で提案している強みがある。
  4. アクト・ツーなどで扱っている、Made for Macでありながら低廉かつ高機能なソフトウェア群。代表的なのはフォトレタッチソフト「ピクセルメーター」とドローグラフィックスソフト「ラインフォーム」
  5. Windows PCのための廉価で簡単に使える家庭向けクリエイティブソフトウェア。ソースネクストソフトバンクセレクションなどで販売しているもの。2000円程度からお絵描きソフトやフォトレタッチソフトなどが提供されている。ソースネクストならフォトレタッチPaintgraphic、ドローグラフィクスはDrawgraphic。あと、会社は違うし価格も高くなる(2万弱)けれど、家庭内DTPソフトなら「パーソナル編集長」っていうのもある。
  6. オープンソースなCGソフト。いろいろあるけれどフォトレタッチの「GIMP」とか、3次元CGの「Blender」とか。フリーで入手できることだけではなく、その気になればユーザ自身がすぐに開発やサポートに参加できる面白さがある。
  7. Webアプリケーションとしてブラウザ上で作業が出来るグラフィックソフト。Googleなどがいませっせと作って提供している。CADができる3DCGソフトまであるのには驚いた。その名を「Google SketchUp」という。クラウドの向こう側にデータを置いて、Webにつながりさえすればたいていのパソコンで作業が出来る。


デジタルでモノを創りたいヒトにとっては、さまざまな立場からツールが提供されている時代だとひしひしと感じる。
1990年代前半にはフロンティアランナーだったAdobeさんは、今やこの種のアプリケーション市場の盟主となっているけれど、彼らにも限度があるんだろう。それは大規模にしかいられないこと。もっとコンパクトなものをイチから創れる立場に、彼らはいない。機能限定版として家庭向けに仕立てたAdobe Photoshop Elementsなどを出しているけれど、あくまであれはプロレベルを到達点としてリリースされているスタイルだ。機能を絞ってシンプルにするのはひとつの答えだけれど、万能ではない。
だからこそ、家庭向けCGソフト市場がある。また、デジタルステージのように半自動化しつつ、ユーザのクリエイティビティを発揮しやすいレゴブロック的なソフトウェアも面白い。
そして、アップルは独自の立ち位置だ。パソコン自体から提案しているのだから。
さらに、自分たちの力でもっと面白く有意義なツールを作ろうと、オープンソースという流れもある。
昨今の注目度が高いのはクラウドコンピューティングの世界。ブラウザがあればいいとして、シゴトをするパソコンに縛られない、人間を解放する考え方だ。



インターネットが日本で一般化してから、今年で12年くらいだろうか。
ものすごく木を削りやすい彫刻刀ができた、というのとは全く異なる進化をしていると思う。ツールが生活のあり方まで変える時代。楽に作品が創れ、楽に共有できるからみんながデジタルカメラやカメラ付きケータイを所有し撮影する。著作権や肖像権などの問題もあるけれど。


パソコンはドラえもんなんだろうか?
それとも、パンドラの箱、なのだろうか?