『MOTHER3』発売準備と自分の論文発表準備−−過去と現在との交錯

今、やっている論文発表の準備は、5年間の仕事のまとめ。過去の自分がしたことを、今の自分がさらりと見つめている感じ。
だから、テキストオンリーでガンガン攻めるスタイルで書いてみても、いいと思う。新しい学説なんかじゃなくて、あくまでレポート。でもって、こういうことが今後あって欲しいって主張する場所。まあ、パワーポイントって特殊エフェクト使えるほど慣れてないこともあるし。(PremiereとかiMovieの方が楽なんだけど……しょうがない、です)会場のPCを借りる場合、発表はパワーポイントで、と決まっているので、テキストオンリ−の高橋メソッド的に考えている。


ところで、MOTHER3の発売が近いので、「ほぼ日」の「今日のダーリン」だけは出来るだけ毎日チェックしてる。たまたま見に行ったら、今日の部分で、MOTHER3についてこう書いてあった。

「今日のダーリン」2006/03/08発表分より


『やさしいタオル』の販売は、
今日(8日)の午後3時で終わりますが、
ほっとしている間はなさそうです。
いろんな予定が、押すな押すなと待っているんです。

(中略)

『MOTHER 3』は、もう工場の手前にいる状況です。
なんか過去の自分と、現在のぼくとが「共作」してる、
というような不思議なものになってます。
なので、自分にとっても新鮮なものになりました。


他にもいっぱい準備中です。
「ほぼ日」から目を離せないと言われたくて、
つっぱっているような気もします。

おそらく、『MOTHER3』の発売準備は順調である。『工場の手前』にまで来ているのだ。ファンとしてこれほど安心させてくれることは無い。まずはそれはそれとして、他に3点気になった。

  1. 『いろんな予定が、押すな押すなと待っている』
    • 色々な「ほぼ日」商品販売だけでなく、執筆とか企画とかでも色々あるんでしょう、多分。その状況の中での「MOTHER3」復活。糸井氏にとって、「攻め」の春になるのだと思う。それに加えて↓
  2. 『「ほぼ日」から目を離せないと言われたくて、(改行)つっぱっている』
    • そう。「ほぼ日」から最近目を話さないでいるのは、MOTHER関連でポロリと公式発表をやらかすからで。「今日のダーリン」は基本的に保存されないその日だけのお楽しみ。その中でも「チョロリ」としたコトを書いている。こういう「チョロリ」って、保存されないメディアだけの愉しみだったりするので、ある意味ブログ以上の威力も持っていたり。(ブログだと過去記事が読める=「その日だけのチョロリ」って感じにならない)実はこれも、密やかなつっぱり方なのかなあと。企画をたくさん立てておいて人目を引く。重要な情報はその日しか読めない場所にその日の気分で「チョロリ」と提示する。これって、テキストライブ中継に近い……。改行の位置とか表現まで計算している(そうでしょう!)宣伝文とか、企画の感傷的なところとかを「チョロリ」としのばせる。やっぱり糸井氏は仕掛人、である。
  3. 『過去の自分と、現在のぼくとが「共作」してる』
    • で、そういった「テキストライブ中継」システムの中から、今回のMOTHER3について、書き込まれた言葉がこれである。
    • MOTHER3に多少詳しい人ならご存知だと思うが、MOTHER2ゲーム内でも続編の存在を数カ所*1でアピールしているので、続編は最初から予定されていたようだ。その後、スーパーファミコンNINTENDO 64という2つもハードを渡り歩きながら開発。一時は苦渋の選択で開発中止になりながらも大作主義から脱却してGBAで復活。基本的なシナリオは踏襲しているらしいので、『MOTHER2後の昔の糸井氏』が考えたシナリオに『MOTHER1+2を経た今の糸井氏』が手塩をかける、という『共作』になったのである。
    • ファンはやきもきさせられたが、結果的にはモノを創るスタイルとして一つの理想型に行き着いたのではないかと思う。一度、自分の限界まで行き着くところまで行ったものを、距離を置いて見つめられるようになってからより良い物にしていくこと。こんな作り方ってなかなか出来るものではない。しかも、単なる開発再開ではなく、ハードを替えての旧作リメイクを経てから続編を創った。ブランクがあるジャンルの作業は『感じ』をつかみ直すまで難儀するが、MOTHER1+2にそれがあったとしても、MOTHER3にそれはない。そういう意味で、かなりの完成度を期待していいんじゃないだろうか。


私も、今書いている発表資料に、似たような形を感じたのだ。とてもおこがましいことかもしれないけれども確かにそう思ったのだ。仕事を辞めてから1週間ほど時間を置いた。だからこそ少しは広く見えて来た。その目で、発表資料を完成させたい。糸井氏が「GBAで、日本型RPGで、どこまで楽しい物が創れるか」に挑戦したなら、私は「テキストだけのパワーポイントでたった10分で、どこまでヒトを説得できるか」をやるべきなのだろう。

*1:私が知っているだけでは3箇所。フォーサイドの小さな看板、ギーグ撃破後のオネットのホテル宿泊で読まれる新聞朝刊、エンディングの後のおまけエンディング。