普通のスポーツの試合と五輪は違う

いろんな報道から、本当に五輪をやっちゃうみたいだ。この状況で。
プロ野球とかはやれてるからって。
だが。
普通のスポーツの試合と、五輪は違う。
日常的にあるプロ野球の試合では、運営はルーティン化されているし、チームごとの応援流儀とか、文化みたいなもの(観戦席のマナーなど)で、今までの蓄積で出来上がったものがある。
こうした不文律が、コロナ禍での試合の成立を支えているのは間違い無いだろう。
しかし、五輪では違う。
観戦に来るのは、必ずしもそのスポーツのファンだけではない。
五輪だからなんでもいいから見に来た、という人がかなりいるはずだ。
それに、最も異なるのはナショナリズムだ。なんだかんだいって、五輪のような大会では、ナショナリズムのぶつかり合いを避けて通れない。
だからこそ五輪は面白いとも言えるのだが、国の代表というプライドと意地のあまり、予期せぬトラブルが起きることもしばしばだ。要するに観客席でのケンカや、期待通りに活躍できなかった選手への罵倒などの問題だ。また、政治的に敵対する国同士がスポーツで闘う時、なんの問題もなく終われるだろうか?
それから、何度か書いてきた、東京の夏は殺人的であること。
元々、あまりにも暑すぎるから心配され続けてきたが、コロナ禍での開催となったせいで、コロナ対策ばかりがクローズアップされ、夏対策についての情報が少ないと思う。
スポーツの素人が観客で。
ナショナリズムがぶつかり合い。
殺人的に暑く。
まだまだ余談を許せない伝染病の流行下。
こんな状況でなぜやらなくてはならないんだろう?
どうしても成功させたいなら。
無観客試合
スポーツ精神、対戦相手の尊重を泥臭く訴え続ける。
夏開催を避けて秋にする。
国内のコロナワクチン2回接種率が70とか80%を超えたのを条件にする(秋にそこまで行けるかは不明だが、夏よりは普及しているだろう)。
これくらいのことは開催国として主張できるはずだ。
最近の大会では残念ながらテロの危険性もついて回る。都民は元々がテロの恐怖と、普段より混雑する鉄道に悩まされるのは確定していたわけだけど、これにさらにコロナ禍という悪条件が重なる。
必ずしも都民がみんな大会を歓迎しているわけではない。今の状況ではより批判的に捉えている人が増えただろう。
少し心配しているのは。
大会ボランティアの人が、五輪に苛立った人のストレスの捌け口のターゲットにされないか、という点だ。
ぶっちゃけ、殺人事件が起きないか。そこまで行かなくても、襲われたりしないか。
この状況で大会ボランティアをするような人は、おそらく優しい人が多いだろう。故に、悪意のある人からは格好のターゲットだ。大会ボランティアの人が悪いわけではないのに、スケープゴートにされ、なんらかのトラブルが起きないか。
それに、大会ボランティアになる人は、この状況で多くの人に会うことになる。大会の性格上、外国人であることもしばしばだろう。つまり、コロナのなんらかの海外株と触れてしまうことになるかもしれない。ワクチンは効くのだろうか? そんな状況で、どうやって安全を守るというのか。
繰り返すが。
こんな伝染病の世界的蔓延下では、本来、五輪はやるべきではない。
それなのに強行するなら、観客と運営側によほどの信頼性を担保できていないとダメだろう。つまり、東京都とJOCIOC、そして国だ。信頼できるだろうか?
世論から信頼されているとは必ずしも言い難い組織が、世情不安の中で世界で最も大規模な国際大会を運営する。
客観的に考えたら、今の東京がどれだけテロに狙われやすい状況なのか……恐ろしい。
そして、そうしたいざこざはあまり報道されないだろう。何しろ、先日のJOC内の自殺者の方のことさえ、NHKは未だに報道していないのだ。これは事実の封殺だ。
トラブルや現場の反感は封じられ、あくまでも大会は成功したというトーンをとるだろう。大会成功を願わない者は非国民だ、というような空気さえ生まれるだろう。
肌で感じる国民の実情をないがしろにして。