1997年製のラジカセ売り場

祖母に新しいラジカセを贈るために家電屋へ。
今や、CDラジカセでも一部の機種でDVD(要モニタ)が再生できるということにおどろきつつ物色。
もっとも、要望はCD機能がなくていいとのこと。
単なるラジカセって、未だにあった。というよりも、オーディオカセットが好きな人たちの需要は細く長くあるようである。
ついつい機器の裏側をひっくり返して生産国や製造年をチェック。中国製が多かった。そして、見本機ということもあって古いのが多かったが、2002年とかならまだしも、1997年製造の見本機があっておどろいた。つまり、この売り場で10年間売られ続けている機種というのが存在するのだ。隠されたロングセラーかもしれない。
SONYの「CFM-A50」という木目調が美しいラジカセがそれだ。
ボタンは大きく軽く押しやすく、ラジオのチューニング目盛りをマークできるつまみがついていたり、その他、各所に使いやすくするための工夫が凝らされていた。
特筆するべきは、音の聴きやすさを調整するダイヤルがついていることだろう。おそらくノイズ除去的な働きをするものだろうが、これをかけると確かに話し声などが聴きやすくなる。
また、15%のスロー再生が出来るボタンもある。語学の練習などに使えるだろう。
ハンドルは固定式で大きくしっかりしていて持ち上げやすい。だから、ある程度固定された場所において、たまに移動しながら使うくらいの用途だろうか。
これは久しぶりに……iPodとはまた別の意味で……使いやすさをじっくり考えたオーディオ機器に出会ったようで、非常にうれしくなった。もちろん、祖母に向いていると思い、この商品を買った。
なお、購入してから確認したが、販売されているのは2006年製の製品である。さすがに10年間売れ残っているわけではなかったようだ。
それにしても、10年間変わらず売られ続けている家電品が今の時代に存在するとは! 設計した人がよく考えて作ったというのが伝わって来た。もしもラジカセ売り場に行くことがあったら、是非見ておきたい機種だ。
さらに、こんなものもある。
http://www.sony.jp/ServiceArea/Voice/CFM-A50/index.html
声の取扱説明書……使い方を音声で解説している。親切である。これをテープにでも録音して一緒に入れておくといいかもしれない。なんとなく、昭和時代の香りがするガイダンスで、レトロな雰囲気だった。


それから、結局祖母にはコンパクト過ぎて買わなかったけれど、AIWAのCS-P506という機種も面白いと思った。ボタンのところの表示が「再生」「巻き戻し」「録音」などではなく、日本語で分かりやすい表記になっていたのが良かった(なんと書いてあったかは忘れたが)。こういうのも一つの工夫としてアリだと思う。
ただ、ポータブル的な機種で薄過ぎてちょっと不安定な印象だったのと、ボタンの押し具合がやや固かったためにやめた。


それにしても、地デジ(地上波デジタル放送)が始まると、ラジオ機器でテレビの放送音を聴くことが出来なくなってしまうそうで、これは困る人もいるのではないだろうか。
ラジカセによってはFM帯の1から3チャンネルだけでなく、4から12チャンネルにも対応しているが、購入機器にも2011年から聴けなくなるという注意文が入っていた。
自分が小さかった頃、テレビの音をラジカセで結構聴いていたり、録音をしてみたりした物だ。なんとなくさびしくなる話ではある。