Adobe Photoshop CS3 プレビューイベント(アップルストア銀座)

アップルストア銀座(AppleStore Ginza)でAdobe Photoshop CS3の日本初のプレビューイベントを見てきました。会場はこの間のGoogleイベント並に立ち見が入り、CS3への注目度が伺われます。私自身は30分前に会場入りして、そのときすでに何人かがいらっしゃいました。


はじめにざっとPhotoshop製品ラインアップの改訂(Extendedの追加)、またAdobe BridgeやCamera Rawなどについてざっと説明され、それから主要な機能追加についてデモンストレーションされました。


画面に見入っていてどの機能がどうっていうメモをあまり取っていません(あと写真もありませんので具体性が……)が、何が説明されたのか、大ざっぱに書いておきたいと思います。各機能については別途検索などをしてくださいませ(メモを基にしているから間違っている可能性もありますし)。

デモマシンでの起動時間

MacBook ProIntel CoreDuo 2.33GHzにメモリ3GBを搭載。また、会場デモでは私の時計で計ってみたところ、CS2の起動は19秒、CS3は10秒かからず。ユニバーサルバイナリ対応の威力がよくわかる。公式には20%の起動高速化、インテルマックでは40%の動作高速化を実現したらしい。

ユーザーインターフェイスの変更

ツールボックスが二列から一列へ。また各種パレットもアイコンのよう簡略な表示にできる。Tabキーで全てを隠したあと、その近くの画面端をポイント(マウスポインタを乗せる)すると、FinderのDockのようにぴょいっとツールが出てくる。また、従来のようにツールボックスを二列にするのも、ツールボックス右上の小さなボタンを押すだけ。

CS3のAdobe Bridge

たくさんある写真をかなりいろいろな比べ方で選べるようになった印象。写真ファイラーとして充実してきた。
たとえば、command(ctrl)+クリックでたくさんの写真を大きな画面で見比べられる、その際、command(ctrl)+ドラッグで、好きなところを部分的に拡大して見られる(「^+クリック」=ズームイン、「ー+クリック=ズームアウト」)。
また、ファイルタイプや写真の形別に写真を絞り込める(たとえばJPEGの写真だけ表示、縦長の写真だけ表示、など)ように。
ちなみに、「LightRoom」とのスタンスの違いはファイル管理(Adobe Bridge)とデータ管理(LightRoom)の違い、とのこと。この辺は具体的な説明が少なくてよくわからなかったけれど(LightRoomを使っている人なら納得できるのかもしれない)。

クイック選択ツール+スマートフィルタ

マグネット選択ツールなどでやっていた背景と人物の切り分け。このバージョンからは「クイック選択ツール」が追加された。自動選択ツールより幅広い感じで場所を選んでいける新しい選択ツール。また、境界の調整をするとき、いろいろな見方(アルファチャンネル、クイックマスク、実写真など)でぼかし加減を調整できるオプション画面ができた。また、選択した背景を「スマートフィルタ」に変換すると、従来のような調整レイヤーを作らずに背景にぼかしなどのフィルタ効果をあれこれ適用したり、直したりが自在に。一度かけたフィルタ効果もレイヤーパレット上でスマートフィルタをダブルクリックするとまた調整できるので、作業手順が自由になる。レイヤーの中で複数のスマートフィルタを作ることもできる。だから、2種類のぼかしを比べてみたり、合成したりができる。非破壊(元の画像に影響を与えない)ため。

自動整列と自動調整

ある壁面の前で数人の男女が並んでいる写真が、2つのレイヤーで重なっているサンプル画像。三脚なしで撮影したため2枚の写真で位置が微妙にずれているが、「自動整列」機能で位置をきれいに合わせられる。
三脚なしで撮ってきたパノラマ的な数枚の風景写真。「自動整列」を使うと位置やゆがみが調整され、パノラマ化できる。切れ目や重なり部分の色合いの違いは「自動調整」を使うと直る。

白黒

グレイスケールに変換することなくモノクロームの写真が作れる。
と、いうか、3原色の情報は持ったまま、モノクロになる。だから、元写真で赤っぽいところをもっと強調した白黒写真にする、とかも自在に可能(グレイスケールに変換だと色情報が消えてしまってこういうことはできない)。
また、「白黒」に限らず、各種カラー調整機能にプリセットが付いている。このため、ある程度****な効果にしたいが調整値が分からない……ときにプリセットを使用してあとは微調整するとかで対応できるように。また、変更値パターンの学習にも。

コピースタンプツール

従来からあるツールだが、スタンプした先にどのように出てくるかが、まだスタンプしていない領域にゴーストのように見えるようになった。

バニシングポイント

角度調整機能が強化された。

Extendedの特別機能

3次元、映像、医療分野に特化した機能追加らしい。

  • 各種3Dソフトからの3Dレイヤーの読み込み
    • 個人的にはGoogleEarthに対応したのが面白そう。あと3DMaxとか。
  • オブジェクトの3D化
    • 面画像でしかないCDパッケージデザインを、折り曲げたりひっくり返したりを画面上でできるように。ぐるぐるという感じ……。あと、3D情報のあるもの(たとえばジュースの缶とか)に貼り付けたり。
  • 映像の簡単な補正
  • カウントツール
    • 写真に1.2.3.4.5.……といった符号を振る機能。たとえばレントゲン写真の各所に番号を振るなど。また、番号を振った領域の面積的な数値などを算出させたりできる。地味だけどその道の人には便利そう。


その他、メモに取りきれなかった機能がいろいろありました。
それにしても、Photoshopを使っているような人はこういうことをしたいんじゃないか、ということに何歩も踏み込んだバージョンアップだなあ、という印象です。単に画像補正ツール、お絵かきツールなんじゃなくて。特にExtendedは……。その辺でなんとなく、微妙な引っかかりも感じました。つまり、Photoshopはどこへいくんだろうなあ、というか。Photoshop6くらいの頃には、ある程度できることはできるようになってるから……初めてレイヤーが使えるようになったPhotoshopの3から趣味と仕事で使っているので、なんだこのバージョンは? という気持ちが個人的にはものすごく強いですが。


ちなみに、会場でデモされたのは日本語のベータ版だそうです。
製品版はアメリカではもう出ているので、もし体験がしたい人は米Adobeのサイトでダウンロードを。また、日本語版の体験版は6月の下旬(日本語版発売前後)に出るそうです。
また、これからしばらくの間、Photoshop以外にもCS3関係のイベントがあちこちであると思います。


それから、今CS2を「無償アップグレード」のシールが付いているパッケージで買うと、CS3にアップグレードできるとか。アップグレードポリシーの変更でPhotoshop CS3に直接アップグレードするためにはPhotoshop7以上のバージョンが必要なので、1から6のユーザーさんは今CS2のアップグレード版(CS3無償アップグレードシールつきのもの)を買っておけばいいらしいです。銀座アップルストアにも昨日の時点で在庫が数個のみ、だそうです。今買うならシールの有無を購入時によく確認を。


会場の様子はしげしげと見入る感じで、たぶん皆さんプロの現場でお仕事なさっているんじゃないかと思うので、ある種「値踏み」している感じ? でしょうか。アップルのサンフランシスコのイベントのような、ものすごい熱気でおお! って感じではなく……現場の人の感じ(うまくいえないですが)。フォトグラファーの方が多かったようですね。
私自身はまずは先立つものを稼ぐのが先ですが(笑)。面白いバージョンではある、と思いました。