「アマチュア(同人サークル等)によって制作されたゲームに関する… - 人力検索はてな」で、Mac界伝説のRPG(と勝手に呼んでいる)「Revenge of Monsters」について語ってから、あのゲームをIntelMacでプレイすることは出来ないか、考えています。
以前、「なぜかいまさら「RevengeofMonsters」をプレイする。 - Yunyの鉄は、熱いうちに鍛て。」で一応Classic環境でそれなりには動作することをご報告しましたが、今のメインマシンはMacBook。Classic環境はありません。でも、何とかならないか……。
そこで、ちょっといろいろ調べてきました。大学時代からずっと引っかかってきた長年の疑問の解決もありましたので、記録しておきます。
「Revenge of Monsters」の動作環境について
- 作者さんのメインの製作環境はPowerMac 7300/166だった(ゲーム添付のドキュメントより)。
- 作者さんはG3マシンではテストできなかった(ゲーム添付のドキュメントより)。
- 第2世代のPowerPCじゃないと、正常にエンディングが見られないらしい(当時の作者さんのサイトのBBSに書いてあったような記憶がある)。
- 私が試したとき、PowerMac 7200、Performa 5440、iBook G3では正常にエンディングが見られなかった。では、この3種類と作者さんのマシンとの違いは?
つまり、「Revenge of Monsters」が正常に動作するのは、「PowerPC 603e」ではなく、「PowerPC 604e」搭載機種である、と推論できます。第2世代のPPCと言われるCPUが実は2種類に分けられていたことは知りませんでした。ずっと疑問だったんですよね、この違い。
さて、PowerPC 603eとPowerPC 604eでは何が違うのでしょうか。
WikipediaでのPowerPCの解説から以下引用します。
この「高速な浮動小数点演算」ってあたりが非常に気になります。そういえばPerforma 5440では「浮動小数点コ・プロセッサがありません」というエラーが結構多かった気がします。関係はあるのでしょうか……?
さらに、WikipediaでのPowerPC 604の解説から以下引用します。
(前略)……このため604シリーズはG3よりも低性能であると一般に考えられがちだが、L2キャッシュなどの影響を考慮しない、純粋な演算能力の比較では604シリーズがG3を圧倒する。604シリーズの強力な浮動小数点ユニットは、後にPowerPC G4に採用された。
ということは、「Revenge of Monsters」はCPUの性能によってはフリーズする、と、するならば、もしもその原因が強力な浮動小数点ユニットの有無にあるとすれば、PowerPC 604系搭載機種以外に、PowerPC G4搭載のMac OSマシンであれば最後まで動作する可能性が高い、という推論が出来そうです。
そういえば、G4搭載機種で「Revenge of Monsters」をクリアしたことは、私自身は一度もありません。タイミングを逸してしまって、G4マシンって持っていないのです。*1
Mac OS Classic環境が無理なら、エミュレータを考えてみる
さて、よく知られている通り、IntelMacではClassic環境は動作できません。
しかし、Mac OS X 10.5をインストールして、BootCamp環境を利用すれば、Windows XPやVistaでは起動することが出来ます。実際、私も時々そうやってWindows用のソフトで作業をすることがあります。
ということは、Windows XPで動作するMacintoshエミュレータを利用すればよいのではないか、ということが言えそうです。
色々調べてみた結果、「SheepShaver for x86」というソフトウェアは、「Power Macintosh 9500(マシンID 67)をエミュレート(CPUはPowerPC G4)しており、System 7.5.2からMac OS 9.0.4までのOSが使用可能」(上記サイトより)とのことでした。
G4であれば、「Revenge of Monsters」を最後まで動作させることが出来るかもしれません。
さらに同サイトを読み進めると、Mac OS X用(ユニバーサルバイナリ版)のSheepShaverもあるそうです。
しかし、そちらのサイトには以下の断り書きが……。
However, you still need a copy of MacOS and a PowerMacintosh ROM image to use this program.
(Yuny直訳:しかしながら、あなたはすでに持っている必要がある、Mac OSとPowerMacintosh ROMイメージを、このプログラムを使うためには。)
PowerMacのROM イメージとは、要するにPowerMacの最も中心となる部品であるPowerPCの中身をファイルとして取り出したもののようですね。SheepShaverのインストールのページによれば、ROMイメージ自体はネットでAppleさんが配布しているデータから取り出すことも可能とのことです。
また、Mac OS ROMファイルにはいくつかのバージョンがあるが、SheepShaverで使用できるのは次のバージョンのMac OS ROMファイルだけである。Mac OS 9に含まれるMac OS ROMファイルは使用できないため、Mac OS 9を使う場合はこれらのMac OS ROMファイルを別途用意する必要がある。
- Mac OS ROM 1.1.2(Mac OS 8.5)
- Mac OS ROM 1.2.1(iMac Update 1.1)
- Mac OS ROM 1.4 (Mac OS 8.6)
- Mac OS ROM 1.6 (MacOS ROM Update 1.0)
アップデータからMac OS ROMファイルを抽出するにはInstaller SDK 1.2.3に収録されている「TomeViewer」というツールを使用すればよい。
ちなみに、「TomeViewer」はClassicアプリケーションです。
また、Appleさんのサイトでは、昔からMac OS 7は無料で配布しています。その日本語版である「漢字Talk 7.5.3」も日本のAppleさんのサイトで入手できます。また、アップデーターを使うと7.5.5まではアップデートできるのです。
ということは、MacBookに「Revenge of Monsters」の起動環境を整えるためには、ここから先は二つの選択肢が出来ることになります。
2番は今さらPowerPC 604系の機種を入手するのは非常に困難であると思いますので、まだまだ中古品が出回っている1番の方法(この場合、数千円から手に入るiMacやiBookのG3でも構わない)を使うといいのではないかと思います。幸い、うちにはiMac G3と、Mac付属ではなくフルバーションのMac OS 9のシステムCDがありますので、こちらの方法で試してみたいと思っています。
とりあえず、推論としてはここまで。あとはやってみるしかありません。また、いずれ時間が出来たら、SheepShaver+MacBookで「Revenge of Monsters」が動作するかを実験してみたいと思います。うまく行けば、昔の面白かったMacintoshソフトウェアを今後も伝え続けることもできますから。
それにしても、Appleさんが68KやPowerPCの第1、第2世代のROMイメージも公開してくださると、ずいぶん温故知新の役に立つように思えるのですが……。
2010年4月10日追記
SheepShaverの最新版はこちらにあります。英文です。
あと、使い方はSetting up SheepShaver for Mac OS X [E-Maculation wiki]が参考になります。
iMac G3を処分しないで良かった。
*1:ちなみに、アップルのサイトでデータシートをざっと見てみましたが、PowerPC 604系搭載のPowerBookとMacintosh Performaは結局作られずじまいだったようです。Power Macintosh 7300から9600時代のPower Macintoshでないと。twentieth anniversary MacintoshもPowerPC 604ではありませんでした。もしもPowerPC 604系搭載実機でなければ動作しないという結論が出た場合、Power Macintoshの入手とともに、Macを接続できるモニタの確保という問題が出てくると思います。PowerPC G4で良いのであれば、まだiMac後期型やPowerBookなどという選択もありえますが。