漢字Talkを懐かしむ

少し先に、Mac OS Xについて人に説明する機会があるので、自分の知っている限りのMacな歴史を辿っていました。
で、2008年以前の公式公開ファイルをappleさんのサイトで探していて、偶然見つけたのが「漢字Talk 7.5.3」のインストーラです。

これ、古いMac……PowerMac 7XXX番台くらい、Paforma 4XXX番台、5XXX番台くらい、あとは68Kくらいのマシンなどで使える、日本語版のOSフルパッケージそのものです。
この「漢字Talk 7.5」というのは、いってみれば「Mac OS System 7.5 日本語版」というくらいの意味合いの商品名です*1
……で、無償公開されている漢字Talk 7.5.5へのアップデータをかけることができます。というか、私が見つけた順番は逆で、冒頭の2008年以前の公式公開ファイルリストから、漢字Talk7.5.5へのアップデータを発見し、そのページから漢字Talk7.5.3のインストーラページを見つけたんですけどね。
もっとも、無償でアップデートできるバージョンはここまで。
Mac OS 7.6以上へあげるには、中古でインストールディスクを見つけるなりしなければなりませんけれど。
でも、Windowsでは未だに(たぶん永遠に?)Windows 95を無償公開なんてしていませんし。まあ、市場の作り方というか、性格が違うOSとはいえ、Macは偉いな、と思う次第です。


そうそう、無償公開OSで思い出したんですが、そういえばかつてゲーマーな諸兄を魅了したというホビーパソコン、X68000シリーズのこともありますね。これはシャープからOSだけではなくROMイメージも公開されているため、各種エミュレータを使えば自分のパソコン上でX68000のゲームを動かすことができます。
このあたりがちょっと漢字Talk7.5.3と事情の異なるところで、エミュレータ上で漢字Talkを今のMacWindows上で体験したくても、ROMイメージの入手法に問題がありまして。ROMイメージの問題に関しては、本日記上でも以前検証しましたのでご覧ください。


エミュレータとは少し性質が異なりますが、Lionこと OS X 10.7でRosetta(ロゼッタ)を切り捨ててしまったことにも不満が残ります。このせいでどれくらいのすばらしいソフトウェアが動かなくなってしまったのか。そして、その改修にどれくらいの労力がかかってしまっているのか。もしもRosettaを捨てないでいてくれたら、この対応に要するリソースを、新しいソフトウェアの開発や今のソフトウェアの進化・バグフィックスにつなげられるかもしれないのに。


現に、フリーソフトの作家さんで、漢字TalkMac OS 9時代に面白いものを作っていても、今のOSについていけず、作品公開をやめてしまったというケースはいくつもあります。
Macを、プロフェッショナルなソフトウェアベンダーだけがついていけるOSにしてしまっていいのか……。もちろん、プログラミング環境Xcodeを無償配布しているのはすばらしいことなんですが。


まとまらなくなってしまいましたが、漢字Talkの無償公開をするなら、ROMも公開してくれないかなあ……というところから、話が広がってしまいました。
要は、進化というものが古いものを切り捨てることを必ず必要とするのか、それが私にはわからない、ということです。
温故知新という発想はないのかな? と。

*1:当時は英語版のMac OS 7を日本語環境に特化させて動かすのに四苦八苦していて、非公式のパッチを当てて日本語化したりなど、ユーザ側の苦労もあったりしたそうで。それがGomTalkというもので、英語版であるMac OSのsystem 7がなかなか日本語化されないので、あるユーザが漢字Talk 6を元に日本語化パッチを作り上げてしまったという……今では考えられない時代でした。