ぶらり浅草・吹奏楽の日記

浅草お散歩記


雷門の町、浅草へ一日ぶらりの旅。
目的は「したやウインドアンサンブル」の演奏会なのですが、せっかくなので初の浅草見物も兼ねて友人と遊んできました。
浅草橋の問屋街は何度か歩いたことがありますが、いわゆる浅草はちゃんと訪れたことがなかったのです。仲見世通りのお店は朝の10時ごろに開店するそうです。時間を合わせて開きたてのお店に向かうと、まず迎えてくれるのが雷門。実は門の左右に鎮座する風神像、雷神像から由来する「風雷神門」というのが正式名称で、雷門というのは一応は俗称のようですね。

こちらは夜6時くらいに撮影した写真です。あのちょうちんの下部の輪には松下電器(つまりパナソニック)の銘が入っていました。あれはこういうパブリックアート的な提供だったと初めて知りました。松下はいろいろ作っていますが、照明器具の会社でもあるので提供したのでしょうか。



浅草寺……「あさくさでら」ではなく「せんそうじ」ですね。なぜでしょうね。
いい天気だったので観光客(外国人客もそれなり)が多かったのです。にぎわうことはよいことですね。ボーイスカウトの少年たちが張り切って「歳末助け合い募金にご協力をお願いします!」ってやっていました。あんなふうにいわれたら、募金しないわけに行きませんよね。



境内では五重塔もいい天気に恵まれてすっくりとそびえ立っていました。
せっかく来たのでおみくじを引くも……人生初の「凶」!! 「やることは空回りし、失せ物は出ず、待ち人は来ない、縁談普請ごとうまくいかない」……うんぬん。まあ、これからよくなるんだと思っておきます(^^;)。それに、容赦なく「凶」を出してくれるあたり、浅草寺のおみくじは信頼できるのかもしれませんよ!?(ヤラセの「大吉」より、正直な「凶」の方がありがたいと思っておきたい)


昼食は写真こそ撮影していないのですが、4本のえび天を豪快に乗っけてくれるので有名なお店でいただきました。といっても、私たちはえび天4本ではなく、掻き揚げなど多様な天丼です。さすがに4本は多いですよ。しっかりとした噛み応えでなかなかおいしかったですよ。これのみならず、仲見世通りでは揚げ饅頭が売られていますし、雷おこしも揚げ物の一種(?)でしょうし、天丼屋さんは結構あったし。揚げ物の町なのかもしれません。



演奏会場の「浅草公会堂」名物「スターの広場」です。
スポーツ・芸能界のさまざまな有名人が手形を残しています。知っている方、知らない方、いろいろで楽しめました。ここに取り上げられる方は、毎年数名ずつ増やしているようです。その道の人にはひとつの名誉ですし、ファンにはうれしいですね。

昭和を代表する日本の芸能界最大の有名人、といえば、多くの方が今は亡き美空ひばりさんを挙げると思います。もちろん、ここに手形がありますよ。さて……私の手を比べさせていただくと……!

な〜んと、ぴったり!
かなりうれしかったです。私の手は結構小さいほうなので(トロンボーンを吹くときに苦労します^^;)、実は手がコンプレックスだったのですが、かなり自信が持てました。ひばりさん、台東区の皆さんありがとう!


そんなこんなで演奏会レポートに参りましょうか。

したやウインドアンサンブル演奏会(於:浅草公会堂)

  • 「第13回  下町大音楽市 はじめにリズムありき!−管楽器隊VSリズム隊デスマッチ?−」
  • 客演指揮:百瀬和紀(N響団友 打楽器奏者)
  • 曲目
    • I部
      • アメリカンドラム (J.ウォリントン&G.フロック)
      • マック・アンド・マック (K.J.アルフォード)
      • サンドペーパー・バレー (L.アンダーソン)
      • メトセラII (田中 賢)
      • シンコペイテッド・クロック (L.アンダーソン)
      • タイプライター (L.アンダーソン)
      • マリンバ小協奏曲 (A.リード)
    • II部

指揮者の百瀬先生は、日本を代表するパーカショニストの一人です。私も中学時代からお名前を存じていました。よく吹奏楽の雑誌で打楽器のレッスンやコンクールの講評でお名前を見かけたんですよ。そんなわけでなのか、打楽器が目立ちまくるプログラムになっていました。数ある吹奏楽コンサートでも、ここまで打楽器に注目した企画は珍しいですよ。


第I部は特に打楽器ノリノリの曲ばかり。リロイ・アンダーソンの曲が3つも入っていますが、「サンドペーパ−・バレー」は特になかなか吹奏楽で聴くことができない曲です。なぜかこの3曲中、もっとも取り上げられない曲なのです。ですから聴けてうれしかったですね。コンサートでは何人かの打楽器奏者がステージの前の方に立ってサンドペーパー(紙やすり)をこすって演奏してくださいました。小太鼓のロール打ちをものすごく細やかにしたような繊細な音がします。結構いろいろな曲で使えそうなんですけど……この曲以外にサンドペーパーを楽器として使う例を私は知りません。
メトセラII」って吹奏楽コンクールで一世を風靡した名曲なのですが、基本的に現代曲です。でも、こうして打楽器の曲をたくさん紹介する、という中に混ぜてしまうと、一般の方でも違和感や敬遠なく聴いていただけるものですね。熱いサウンドで楽しませていただきました。
吹奏楽界を代表する作曲者をひとり挙げなさい、といわれたら、10人中7人くらいはこの方を挙げるでしょう、今は亡きアルフレッド・リード博士。彼の遺した曲は数知れませんが、「マリンバ小協奏曲」のようなコンチェルトもお作りだったんですね。まろやかで、かつ活気とキレのあるマリンバという楽器の良さを引き出すすばらしい曲でした。


休憩を挟み、第II部はいわずと知れた「ボレロ」です。もともとバレエ等の舞踏音楽として書かれているのですが、曲の構成の面白さから管弦楽吹奏楽のコンサートピースとしてもおなじみです。
しかし、この曲をプロではなくアマチュアが演奏し、しかもその聴衆の中に自分も演奏をする吹奏楽ファンがいたらどうなるか。
自分のことのように演奏者を心配しながらドキドキ・ワクワク・ハラハラと聴くハメになるわけですよ!!
ボレロのメロディーは1〜2回聴けばなんとなくでも覚えられるくらい単純ですね。2種類のメロディーを全曲通してさまざまな楽器のソロや合奏で繰り返し、冒頭のピアニッシモから終盤のフォルティシモまで、だんだん音を大きくしていきながら展開するだけ。
ですから、楽器をやったことがあれば遊び半分ででもこの旋律をマネしたことがある人は結構多いわけです。私も教則本にこのメロディが解説されていたので吹いたことがあります。やったことがなくても、どういう風に演奏するかは多少音楽経験があれば想像はできますし。
で、この旋律……トロンボーンソロとしては相当難しい部類に入ります。
基本的にレガート奏法。音色はどちらかといえば柔らかく豊かな響きの方が良く、しかも旋律を通して音域の最上音から最下音まで要求され、おまけに(これがもっとも重要なのかもしれませんが)曲が始まってからこのソロの部分に入るまで相当待たされて1回も吹くところがない! 冒頭1音目は上級者じゃないと出せない高音です。
それで、今回のトロンボーン吹きさんの戦果(と言ってしまおう!)は……見事、とまで手離しでは言えませんが、相当がんばったと思います。コンクールなら銀賞かな? ゴールド金賞! までいくにはやはりもう少し安定感が欲しいところです。でも、私にはできませんよ、このソロは。技術的には猛特訓しなければなりませんし、舞台度胸も大いに必要です!! その意味でブラボーを差し上げたいと思います。聴きにきてよかった!!


さて、演奏会によっては「第III部」とかって言ったりもする(笑)アンコール。今回は普通に「アンコール」でしたが、曲目が(いい意味で)普通ではありませんでした!!
曲名をメモし忘れましたが、1曲目は百瀬先生が3種類のスネアドラムを並べての大ソロ大会な曲でした! 打楽器奏者として音大に入学するにあたり、かならずスネアドラムはみっちりとやっておく必要があります。打楽器実技試験には、たいていスネアドラムも入っています。で、その基本中の基本であり、ある意味でゴールでもあるスネアドラム。まさか百瀬先生のスネアを堪能させていただけるとは……。吹奏楽ファンをやっていてよかったなあ。キレの良さ、ノリの楽しさ、きらびやかさ、もうもうさっすがぁ!!


2曲目は……台所交響曲。キッチンシンフォニー。台所にあるさまざまな道具(なべとかおたまとか)を楽器として使う打楽器パートをメインに据えた吹奏楽曲です。今回は打楽器の皆さんがステージの前の方に出てきて演奏してくださいました。
実は私、この曲を聴いたことはないのですが、楽譜を読んだことがあるのですよ。大学時代の友人が一般吹奏楽団に入団していて、演奏会の曲を一緒に選んで欲しいからって銀座のヤマハに楽譜を見に行ったことがあるのです。そのときに目に付いたのがこの曲でした。あまりのインパクトに友人と大笑いしながら楽譜を読んだのを覚えています。でもそのときは結局は買わなかったのですが……ことあるごとに「キッチンシンフォニーは演奏しないの?」と、その友人に質問するのが会話の定番でした。
まさか百瀬先生の指揮で聴けるとはねえ……。実演は実に面白かったですよ。
それに、金タライ(ドリフのネタで天井から落ちてくる真鍮製のガランガラン音がするタライ)って、金属製品の本場・東京下町かっぱ橋でも手に入らないのだそうで……今回はアルミタライだったようです。一抱えもあるような大きなタライはだいたいプラスティックになってしまったようですね。楽器になるようなタライの生産ニーズがないのは、演芸の世界ではさびしいものです。まあ、そんなわけでかっぱ橋で今回の「楽器」を仕入れたそうで、団内では「かっぱ橋交響曲」と呼んでいたのだとか!!


いやあ、楽しかったですね。
浅草の楽しさも知ったし(趣もあるし、いろいろ面白いグッズがあって安い!)またいつか遊びに来たいと思います。