『コミック百合姫』2012年11月号の表紙を、しげしげと眺める(DTP的な意味で)。

なんだか大変なことに……。このところ、この雑誌の表紙にて、なにやらワケありらしいイラストがず〜っと展開され続けてきたのですが、今回は表紙入れて17ページの短編マンガになっていました。あの4人に何があってどうなってしまったかは、それこそ本誌必見といったところ。
一つだけ言えることは、とてもとてもシリアスなお話ということだけです。それこそ、ラジオドラマで聴いてみたい感じでした。


それにしても、「ゆるゆり」みたいなコメディから、こういうハードなお話まで、透明感とかわいらしさある画風そのままに描き分ける作者さんは、相当なものですね。


DTPをちょこっとだけかじったので、表紙や中身の印刷について、しげしげと観察してみました。
表紙部分は、一見金色に見えますが、多分紙がつるんと光るコート加工紙なので、茶色で印刷しても金属っぽく見える技術では無いかと思います。CMYKの混色ではなく、おそらく特色で指定しているでしょうけれどね。いわゆるラメっぽい輝きがないので。
これ、作画段階で相当に印刷効果を計算していたはず……。遠目には、銅板に墨を一面に入れたようにも見えるんですよ。グラデーションの部分は浮き立って見えたりも。この効果は裏表紙のイラストの方が分かりやすいかも。
そこに、蛍光黄色に見える色を配置して、アクセントにする。セリフ部分とか。雑誌タイトルとか。
この黄色というか緑というかの色部分も、たぶん蛍光塗料ではなく、背景の強烈な黒とのコントラストとフィルムコートの効果でそう見えるような色を使っているのではないかと思います。網点がないから特色指定っぽいですけれど。
つまり、低コストで高効果。金色インクや蛍光インクを使わなくても、同じだけの効果を挙げられるということ。お金のことを考えていない訳が無いんですよ、商業誌で……。
もう、本当に計算され尽くしていてびっくりしました。紙やインクについてなど、印刷結果を知り尽くしたデザイナーさんが仕事をしていると思います。ほかの号の表紙を見ても、思ったことなのですが。


表紙から展開される短編の部分の紙は、あまり見たことが無い色合いです。緑色系で白っぽいけど黒が引き立つ感じ。iPhoneアプリ『カラーガイド』でざっと調べてみたらDIC-N857*1あたりの色に近い印象かな? 雑誌でこの色の紙を使うことはあまり無いのでは? でもかえって、シリアスさが引き立って良かったです。このページの部分だけ延々と縁がベタ塗りなので、よけいに。


次号から新しい作家さんが表紙をご担当なさるようですが、コレだけ面白いものを創った後なので大変でしょうね。やりがいひとしおとも言えますが。
また面白い表紙を期待しています。表紙でコレだけ遊びまくる雑誌は珍しいのは確かですから。


あ、肝心の、本誌の中身については……なんかこれを書いたら力抜けちゃったので!!
わぁ、びっくりした〜〜〜。

2012年9月15日追記

何度も読み返しました。
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。コレまでの1年間の長い長い道のりの帰結。ここまで来るために使われてきた紙の面積に対して、印刷表現の蓄積に対して、最後のコマの唇の表情と陰影表現ひとつで、ここまで凄絶な『Happy End』にするとは。これを『Happy End』と言い切るとは!!
なんだか、ラスト一行でまったく違う印象になってしまった名作小説みたいです。
マンガって恐ろしい、と、久しぶりに思わされました。
コレ描いてるヒト、あの『ゆるゆり』の作者さんだよね!? なんつーキャパのでかさだっ!
ゆるゆり』はかなりのヒットになっていますが、も〜〜〜〜〜っといろんなものを描ける方だと改めて思いました。彼女の手による正統派SFを読んでみたい。何となく。


それから。微妙に公式発売日より早く手に入ったのは、http://www.fujisan.co.jpからの定期購読で、何故か早めに送付されたからです。今月は公式発売日(奇数月18日)直前に祝日が絡むせいですかね?

*1:HTMLだと#879E88……に近いんじゃないかと。たぶん。