シアターで観る『科捜研の女』

京都を舞台に、とある女性研究員を中心にした科学捜査チームの活躍を描く『科捜研の女』。
本日は仕事のお休みでしたので鑑賞にシアターへ。
平日の昼間の都内、また緊急事態宣言下のために座席指定は間引き入っていましたが、それにしても思いのほかお客さんは多く、それなりに埋まってましたね。でも、混雑と言うほどではありませんでした。
やっぱり、シアターで観るといい。他のお客さんの反応も分かりますし、音や映像美はシアターならでは。
公開直後の作品はとりあえずネタバレ無しで書きたいと思います。
何はともあれ! マリコさん、今回も科捜研のワクを越えすぎですっ!  特に、最後の最後にあーんな無茶をやってるのに……やっぱりどこかしらエレガントなんだよなぁ。
主人公も無茶する『科捜研の女』と言えば、やっぱり他のヒトへの無茶ぶりも! 今回もとことん無茶ぶりして、ついにその引力は海外まで波及してしまいます。恐ろしい巻き込み力。そこが魅力?
この無茶ぶりはダメとかイヤとかは結局言えない。だって正論ですもの。真相解明に必要な手がかりのために全力を尽くして何が悪いのだっ。本人が一番がんばってるから断りようがないという。そして、そこまで無茶ぶりして調べないと最後の手がかりは見つからなかった……と。シナリオも見事でしたね。うん。
科捜研の女』は、どうも何かのテーマに基づいて事件が起こることが多い気がします。
印象的だったのは、やっぱり吹奏楽団の回。ダブルリードの調整加工用ナイフがカギを握るという、なかなかマニアックなトリックでした。
それから、ラジオDJ役に三石琴乃さんが登場した回もありましたね。セーラームーンエヴァとかのアニメはともかく、あまりドラマには出られていなかった三石琴乃さん。背筋に一本入った美女の演技はエキセントリックながら素敵でした。あの赤いハイヒール、もしかしたら火野レイちゃんネタ?
で、映画版はどんなテーマなのかと。科学捜査のドラマだから原点に還る意図でもあったのか、今回のテーマは言ってみれば科学そのもの。それも、日本の科学研究のあり方そのものが事件の背景にあるという……。
具体的に言えばジャンルは細菌学でしたが、なかなか真相解明に至らない展開にやきもきしながらも、犯人がもしも「この人」だとしたら、まぁ動機はおそらくこうだろうしそれは分からないではないけど、でもヒトとしてやっぱりやっちゃダメだよそれは、みたいに客席で思っていました。まあ、動機自体は当たらずとも遠からずだったんですが……真相が分かった今も、なんだかやるせないですね。
その、日本では基礎研究にお金が降りないって話は、iPS細胞のときの山中先生からも、新型コロナウイルス対策でのワクチン研究の立ち遅れでもさんざん言われています。効果が分かりやすく派手な研究にばかり予算が降りる、と……。予算を決める側、ひいては納税者である国民の側でも、もっと科学の重要性に目を向けなければならないのかもしれません。
ところで、映画の後の楽しみは公式パンフレット。
科捜研の女』は20年以上の歴史があり、その間にマリコさんたちに関わったヒトも多いのですよ。今作では劇場版を記念してか、スゴく沢山の知らない人物が……。把握のために買ってみましたが、正解でした。
過去のシーズンリストや役者さんのコメントも面白かったのですが、秀逸だったのはホンモノの科捜研OBさんのもの。科学捜査の監修をされているとのことですが、彼自身の現役時代のお話もあって。もちろん守秘義務があるためでしょう、あまり詳しくは書かれていませんが……死体の無い殺人事件の科学捜査をご担当されたとのこと! なんだそれ! 不謹慎かもしれませんが、やっぱり気になりますよ。そんなドラマのような事件が起こるなんて。
現実にも、最後の最後まであきらめない、熱い研究者がいるっていうこと……。
まだまだコロナとの戦いは続きますが、最後の最後まで、コロナの真相解明をあきらめない研究者の皆さんが、日夜、世界で頑張ってくださっているはず……きっと。
それと、前から言われていますが、多くの映画館はしっかりコロナ対策ができています。あとはユーザーの側も、マナーをしっかり守って鑑賞することが大切ですよね。コロナ禍でも生き残れている数少ないエンターテイメントのひとつ。シン・エヴァでも楽しい思いをさせてもらいましたが、やっぱり映画館を応援したいです。『科捜研の女』は冒頭のシーンも、あの研究機材も、映像美が素晴らしかった。いつもの研究室も大きな画面ならではで、のぞき見している気分になれました。
もしも可能であるなら、シアターでの鑑賞をお勧めします。しっかり健康に留意し、対策をがっちりとって。帰宅したらしっかり手洗い・うがい! 劇場からコロナを広めちゃうのは、マリコさんたちの本意ではないでしょうから。

2021年9月12日(日)追記

小説版も出ています。内容は映画と同じ。というか、まんま過ぎて読むDVDと感じました。
台詞回しで聞き落とした所を文字で補完出来たり、心情描写が細かかったりするので、映画を見た後の楽しみにおすすめ。