『裏世界ピクニック 第8巻』

今作は、空魚と鳥子の関係性を徹底的に問う1冊でした。1年以上お待ちした甲斐がありました。表紙が非常に象徴的で、神がかりで美しい!
で、読んだ後は続きはまだ〜? となってしまうのは読者のわがまま。こんなに濃い作品、そんなにサクッと書ける訳ないし。それは分かっちゃいるんですけど、やっぱりそうなる。
かなり前に、とある有名な少女小説で3ヶ月連続刊行というのをやられたことがありまして。しかしその作品はその無理が祟ったのかなんなのか、人気作にも関わらず続きを出せなくなってしまいました。あの時の勢いで作品自体を殺してしまったのかもしれません。あれから軽く10年は経っているはず。いまだに読者としては淡すぎる期待を抱いている訳ですけどね。作者さんはお元気で他の作品を色々と手がけておられますが。続きを出す、そしてエンドマークをしっかりと刻む。いろんな作品が未完で終わっている昨今、きちんと終わりまで書かれている作品って責任を果たした感があって素晴らしいですね。幸い『裏世界ピクニック』はまだまだ続くでしょうけど、いつかは本当のエンドマーク刻まれるのかもなあ…。
あ、本題にもどらねば。閑話休題
裏世界ピクニックの8巻。まだ刊行直後なので本筋の感想はちょっと置いておいて、別のことを書こうかなと。
まず。聖地巡礼したいヒトにはうれしい(近所迷惑にならないように!)、空魚の住んでいる街の名前の判明。南与野駅下車、さらにバスに乗って、栄和北町、というバス停のもう少し先らしいです。少し先というのは、事件で途中下車を余儀なくされたからですが、だいたいそのあたり。
閉園後で工事中のとしまえんが出てきた時も思ったのですが、作者さんは本作で、できるだけ実在の地名を使おうとされているようです。
空魚の大学はどう考えても埼玉大学ですし、鳥子の方は上智大学としか思えないですし。2人とも予備校らしい予備校に通った描写はなかったので(一応、鳥子はあの家庭教師がついていましたが……)ほぼ独力で現役合格したことに。鳥子の方は高認も取ってからなので。普通に高校卒業するより難しいのではと。
それを言い出すと、アカリもレベル高いですけどもね。空手もありましたし、受験勉強お疲れ様でした(今更)。
鳥子の育った家庭環境が色々と明らかになりました。作中にはありませんが、いつかは空魚に一度はカナダを案内したいんじゃないかな? という気がします。前にパスポートを取ったらって話もありましたし。まあ、裏世界から生還したら海外だったら詰んでしまうからということからでしたが。ともあれ、この2人が海外に行って何事もない訳がないので……。カナダ編が展開されるならぜひ読みたいなぁ(勝手な願望)。
そういえば、海外では実話怪談のような、本当にあったミステリアスな話を書き取っておく文化はあるのでしょうか? あるいは、某ちゃんねるの当該スレッドに、海外生活で体験した不思議な話とかも記事があったりするのでしょうか。
この巻が発行されるのを機に、既刊分を全て読み返してみました。
やっぱり気になるのは、米軍の皆さんが裏世界に飛ばされた細かい事情と、解決したその後ですね。知る由もないので作中で描写はありませんが。訓練で沖縄の森を彷徨っているうちに、植生が異なる裏世界にいつのまにか飛ばされていたようなのですが。その訓練中にトリガーになることを何かしらやっちゃってたんじゃ? とちょっとだけ思いました。というのも、前に訓練していた部隊が飛ばされていたような描写はありませんでしたから。ずっとゲートがあいていたなら、他の部隊も飛ばされていたかも。
沖縄ゲートについてはあれ以来出てきませんが、調べておくべきポイントでは? と思います。また米軍さんが紛れ込んできても困るし。下手したら国際問題。
で、あの、ステーション・フェブラリーって、彼らの目には本当に英語でそう見えたのかもしれません。きさらぎ駅とは書いているようには見えなかったのかも。
そういえば、裏世界って認知がおかしくなるために文字化けするはずなのに、ここだけはしっかり読めたんですよね。これも謎。というより、裏世界語できさらぎ駅と書いてあって、もしあの看板を現実世界に召喚できたら文字化けしているのかもしれませんが。
ともあれ、あの駅は2月の駅だと主張したいらしい。どんな意味があるのかわかりませんが。ということは、裏世界には未発見の睦月駅、弥生駅、なんかもあるんでしょうか? 
さてさて、思いつくままにまとまりなく書いていますが。そういえば、新宿のラブホ女子会やさつきの葬儀の時に、さつきが関わった子は空魚がまとめて面倒見てあげるとか言っていたはず。今回はとりあえず鳥子についてはまとまったのですが、他にもいるわけで。全員について何かをやることになるのかな? 鳥子のメンタルはもつのだろうか。それとも嫉妬してあれやこれやあるのだろうか。
ともあれ、今後がますます楽しみです。またしばらく先でしょうけれども。