ICTサポート屋に向いている人

前の記事でも書きましたが。
多少、数学チックに表現すると、下記の気づきの発見となります。

  1. サポート屋のAさんにとっては当たり前なある「方法R」を初心者のBさんに教えるには、結果として1時間かかることがある、とする。
  2. その「方法R」は、あまりにも当たり前すぎて、Aさんにとってはやり方の把握や思い出すのに1秒ですむモノである。
  3. すると、その「方法R」についての効率は、Aさんを1とすると、Bさんは3600分の1となる(1時間=3600秒なので)。

ここまでが『事実』です。
あとはその事実をどう受け止めるか、気持ち、マインドの問題となりますが。
サポート業務に向いている人って、このAさんたる自分と、初心者のBさんのスキル差を、ひとつひとつチマチマ埋めていくのが楽しい人かなあと。
最初は「3600分の1」もの差があろうともです。
何度もサポートしているうちに、前に覚えていただいたことで説明をカットできますから、100分の1、10分の1となり……いつしか、たった一言のアドバイスで「あ、そーか!」ってなっていただける。それがこの仕事の楽しみですね。
それと、サポート屋側の教えるコツの習熟とか前もって公開しておく資料の充実など、前提となる情報リソースの増強により、最初から100分の1の段階からスタートでできるようになるかもしれません。
さらに、サポート屋の資質として欲しいのは、情報技術やガジェットについての興味関心をごく当たり前に備えている人。新しい機器や技術のを調べるのが楽しくて仕方がない人。実物にまず当たりたいのか、説明書やWebをまず読みたいのかは人それぞれだし、ものにもよりますが。
ぶっちゃけ、スマホやコンピュータが嫌いな人には全く向きません。
嫌いなことを教えるのって、そもそも気持ちがつらくなりませんかねぇ。
例えばの話、オギャアと生まれたその日からWindowsに最初から詳しい人は絶対にいません。
いたらICTの神様になれますよ。
ただ、誰でもある日、パソコンと出会ってから上手くなるわけで。
使ってて面白さをそれなりに感じていて、他人に教えるのが楽しい人はサポート屋に向いているかなぁと。
今や、学校で情報系の授業が当たり前になってきているので。
これからサポート業務に就きたい人には、その時のことを思い出して欲しいですね。
情報系の授業のとき、友だちに教えることはあったかどうか。
あったとして、どう教えていたか、テーマ作品が出来上がった時に楽しかったかどうか。
そういう時に楽しかった、と、言える人はこの仕事に心底からウェルカムです。
まだ世の中にはないOSや機器もこれからわんさか出てくるでしょうし、今のスキルレベルはさほど重要ではないです。現場によってよく使う知識も違うので。
例えば、ウチみたいな大学内でのICTサポート、という仕事でも。
担当学部が理系なのか文系なのかで全然ちがいますし。
私も例えばLinuxとかTeXはわからないですし(使ったことがほとんどないから)。
でもこれらが手足のように当たり前な学部も当然あるわけで。
その代わりといっちゃなんですが、macOSDTPとかならそこそこは。
というか、仕事を始めた頃はWindowsをほぼ知らなかったですから(学部が芸術系だったので、情報の授業はMacAdobeだった)。せいぜい、Windows 2000とMEの違いを当時の大学のスタッフさんとの30分の雑談でざっくり理解していたのと、Googleで検索ができるくらいでした。
授業やサークル関係なく、ほぼ趣味でMac室に入り浸りしてたので、情報機器管理していたお兄さんと仲が良かったんですよね。で、当時はWindows業界でもイノベーションが起きてたので、真正面から使わないまでも概要はざらっと聞いてたという感じ。
ちゃんとした専門スキルは現場で身につけて行きました。
というか、先生の助っ人をやる上で学生さんに教える必要があったから一通り読破しつつ手を動かして使えるようになったっていう。
書いてみると、自分の場合はレアケースすぎて参考にならないなこりゃ、とは思いつつも。
現時点のスキルの高低そのものよりも、興味関心や資質の方が重要というのは実感としてあり。
で、ここまでならプログラマーさんとかにも向いてそうですが。
サポート屋に向いている人というのは、やっぱり、他の人に伝える楽しさを知っているかどうか、かなーと。
視点を変えると、アシストの楽しみともいえるかも。
端的に、例えばサッカーのようなチームプレイのスポーツをやった時。
体育の授業でもいいですし、コンピュータゲームの方でもいいです。
シュートを自分で決めに行くより、アシストの方が楽しい。
もちろん、シュートを決めてくれる決定力がある人がいればではありますが。
吹奏楽でも伴奏の楽しさってあったし。
主旋律をみんなやりたがりますけど。伴奏こそが曲のレベルを決めるんだよなぁ。いい伴奏があるから主旋律の側がのってくれるわけで。
ともあれ、アシストが心底楽しい人。サポート屋に向いてます。
目立たないだけで、実際はこういう人は結構多いと多います。とくに日本人には。
ちょっとまとめるかな。業界の端っこに引っかかって10年以上の自分が思うに、サポート屋に向いている人は……。

  1. 情報機器や技術に興味がある
  2. 知っていることを人に伝えるのが好き
  3. チームプレイでのアシストが好き

こういう人かなと。
それと、なんにしても必須ではと思うのは。

  1. 客観的に伝わる日本語能力
  2. タッチタイピング

業務上、どの現場でも多分、なんらかの報告書は毎日書くでしょうし(ユーザーの側で起きた問題をサポートチーム内で共有したり、管理者とかベンダーさんにメール的なモノで伝える業務は、どの現場でも絶対にやっているはず)。
加えて。下記があれば最強かと。

  1. コンピュータ関連の資格の2級
  2. このソフトならひと通り教えられると自信をもてるソフト(ある分野でのデファクトスタンダードなモノ。レベル的にはPhotoshopIllustratorExcelくらいの規模のもの。必ずしも業務先で使うモノじゃなくてもいい)

検定2級というのは、どの試験でも基本が一通りわかっていてある程度の応用が効くランクです。応用情報技術者試験ほどはいらないですがITパスポートではちょっと心許ないので基本情報技術者試験くらいとか。CG検定2級とか、DTP検定II種とかもそうですね。1級を取れちゃうならサポート屋というより、そのジャンルでモノを作る人になる方を考えた方がいいかも。
業界のデファクトスタンダードなツールひとつ使い方を習得した経験があれば、他のアプリへもアプローチしやすいです。スキルの身につけ方を自分なりに分かっていることが重要。
これくらいかな……まあ、あくまでも私見ですけれども。