パブリックアートの街『ファーレ立川』訪問記。


(『ファーレ立川』の作品群から、顔っぽい部分のあるものの一部を集めてみました)


立川駅前にある『ファーレ立川』地区は、町中にパブリックアートがひしめいておりまして、無料で見て触れる美術館的なあんばいです。
詳しくはエリアガイドサイトにて。すべてのページを印刷して持っていくことを強くお勧めします! 作品点数が多いので廻るためには必須です!
http://www.gws.ne.jp/tama-city/faret/faret.html


今日は演奏会の後、こちらを散策してきました。
全作品は結局見られなかったのですが、かなり歩きましたね。
デジカメのコマ数が無くなるほど撮影し、すっかり日暮れに。
いくつか面白かった作品をご紹介します。

A-63)「風の歌を聞け」(藤本由紀夫)

作品解説=http://www.gws.ne.jp/tama-city/faret/a_area/a_n63.html

私が、ファーレ立川で一番好きな作品がこれです。椅子に座って休むことができますし、すぐ左手にはモノレールが通っていていい風景。また結構周囲が広々としていて空が大きく見える場所ですし。
何より、音を聴くアートだというのが面白いところです。
椅子に腰掛けると、ちょうどこの管を耳に当てられますので。

(管はある程度伸び縮みするから、自分の頭のちょうどいい位置に合わせておけます)
すると周りの物音や風が、管内でごぉぉぉっていう不思議な音として反響しているのが分かります。
この音、好き嫌いはあると思いますが、私は結構好きなんですよね。もちろん、周りの状況によっていろいろな音になる(特に自転車やモノレールが通るといい感じ)ので、ずっと楽しむこともできます。

E-78)「ぼくらの友達」(ゲオルギー・チャプカノフ)

作品解説=http://www.gws.ne.jp/tama-city/faret/e_area/e_n78.html
真っ黒な犬は好きですか? いきなり道端に犬がいたら、散歩してるのかとかそういう感じでしょうけど、この犬は像です。

(暗く写って顔がわからないため、少し写真全体を白っぽく加工。実際はもっと黒いです)
なんとも忠犬っぽいおもむきで、人々を見送る犬ですが、尻尾が非常に面白い形ですよ。

なんとなく、ウナギっぽくありませんか? 尻尾の生え方もメカニカルで奇妙です。犬っぽくない感じです。
眺めていて非常に飽きないんですよ。どういう秘密があるのかとか想像すると。サイボーグっぽくもありますし。

C-45)「地磁気の声」(マリナ・アブラモヴィッチ

作品解説=http://www.gws.ne.jp/tama-city/faret/c_area/c_n45.html
冒頭に挙げた写真の背景は、この作品の表面を使っています。桃色の大理石でしょうか、非常にひんやりツヤツヤでさわり心地がよかったです。
全体はこのような感じで、石が点在しています。それだけ見ていても面白いリズムを感じます。

この石がちょうど縦にそれぞれ、人間の額、胸、腹、に当たるようにできていて、体を預けると気持ちがいいんですよ。ツボマッサージじゃないんですが、なんか落ち着く感じがしまして。
しかし! この作品にはちょっと「?」と思う掲示が付いていまして。それは作品の左右に張られていたこの注意書き。

「アートさくひんであそばないでください」
えええ! パブリックアートって、触って楽しんで遊んでナンボじゃん!
あそんじゃいけないの? 何のためにファーレ立川はあるの?
……って、ちょっと作品を台無しにするような規制が書かれていて驚いたのですが、これ多分、ここの石に登ったりして危険なことをする子供でもいたんじゃないかと。だったらせめて「登るな危険」とかでいいんじゃないかと。「あぞぶな」と書くべきではないと思いませんか? すごく誤解を招く書き方だと思いました。もちろん、作品を壊すとか、作品に落書きするとかはもってのほかなんですが、それなりの常識的マナーを守っていれば「遊ぶ」のが一番いいと思うし、それでこそ作品が生きると思います。街中に現代アートが満載の地域ですごくうらやましいのにな。それに、アートでの遊び方をちゃんと知っている大人が管理者サイドにいないんじゃないかとか勘ぐりたくもなってきます。事故があったらすぐに規制に走る日本社会が透けてみえて、この注意書きはすごく不快でした。作品がかわいそうだと思えて仕方がなかったです。
作者様はこの掲示をご了承なのでしょうか。作品を大切にすることの方向性を間違えている気がしてなりませんでした。


とまあ、最後はちょっとアレな感想になってしまいましたが、全体として飽きないし、歩くのはいい運動になります。作品点数は109点もありますので、ちょっと歩けばアートに当たるといった風情。
また、天候や時刻によってもそれぞれの作品の味わいが異なりますし、特に夜になると電飾系の作品に明かりが灯り、すごくきれいなので、日中から夜まで1日楽しむこともお勧めできます。
周辺にはそれなりに飲食店やデパートなどもありますから、買い物とアートの両方を楽しみながら効率よく廻る事もできますよ。
今回は時間がもうひとつ足りなかったので、次回は全作品の写真を撮影して来たいと思います。


最後に。冒頭に挙げた

の写真の元作品解説URLをご紹介しましょう。