『情報デザイン入門―インターネット時代の表現術』

情報デザイン入門―インターネット時代の表現術 (平凡社新書)

情報デザイン入門―インターネット時代の表現術 (平凡社新書)

もうずいぶん前(01年)の本ですが、たまに読み返します。本書の事は、人間と情報のあり方について考える時、かならず何かしらの示唆を与えてくれるのです。それは、情報という形に落とし込む前=背景にある世界は豊かであるという事、人間は単一の感性でその豊かさを享受しているわけではない事などです。
センスウェアという考え方が非常に参考になります。164〜165ページで風鈴を例として以下のように説明していますが(引用)。

家のなかにいる人は、風が吹いていることを風鈴の音を媒介にして気づき、意識の中で涼を感じ取る。同時に、数秒後には部屋の奥へ到達するその風を待ち受け、無意識に肌の感度が少し上がりもする。風鈴とは、私たちが五感とイマジネーションを働かせて外界の情報を享受できるようにとデザインされた、すぐれた道具なのである。

本書165ページにはセンスウェアとはこのような「生きている世界をビビットに感じ取る事ができる情報の道具」とあります。


風の強さや涼しさという豊かな情報を人間に伝えるために、風鈴は役に立つ。風見鶏なんかもそうですね。風向きと強さを教えてくれて、しかも何となくオシャレ。


最近、Webデザインに付いて考えたり、制作物の依頼の打診があったりしているので、自分にできる情報デザインとはなんだろうと考えています。
伝えたいソースがあって、その世界の豊かさを伝えるための「風鈴」に、自分のサイトはなりうるのかどうか……。


きっと、答えはシンプルなんだと思います。禅とかと同じで。まだ分かりませんが、そういう感触だけは持っています。

  • 『センソリウム』
    • http://www.sensorium.org/index-j.html
      • センスウェアの提唱グループ、「生きた世界を感じる回路として、インターネットの可能性を拡げてみること」(インデックスページより)が主要テーマ。ただ、最近更新されていないようで、99年末くらいで更新が止まってしまっています(過去の作品を見る事はできます)。