『ハイビジョンふるさと発「あの炎を忘れない〜市民が描いた福井空襲の絵〜」(NHK 午前10時)』の戦争記録絵画作品約200点を作品展として、きちんとギャラリーに出して欲しい!

あの戦争の時代の「福井空襲」で生き残った人々を訪ね、その体験を絵に描いてもらったり、お話の聞き取りで絵に描いているボランティアさん*1がいるらしい。
まず、自分が絵描きとかだったら、そんなすざまじい場面を描写するメディア(媒介者)に成れるのか、と、この活動ぶりのスゴさに鳥肌が立った。そして、美術のチカラってやつ。もう、ある意味で写真以上に、伝わって来る。どれくらいひどい時代だったのか。そして、為政者の判断一つで、こんな、今から見ればある意味恐ろしい夢や冗談みたいな時代がくることが、実は転がり方次第で今もありうるということに思いを馳せて怖くなったりもした。
あんなフツーのひとたちが、あんなに死んだり、死ぬ思いをすることなど、避けようと思えば避けられなくもなかったんじゃないか? トップの人の暴走で、大迷惑がかかるのは今の政権も同じだが……。


で、最後の方に、その作品新作約200点を展示している場面が出ているんだけれど。
作品展を開くところまでこぎ着けるのはスゴい。
地元の高校生に、ボランティアさんが語った体験を絵にした人たちがいて、その人たちが想像で描いた絵も展示されていて、ある意味で客観性が出ていて興味深いとも思った。


でも、だ。
悪いけど、言わずにいられない。展示の方法論が悪いと。
これでは、ただの絵の集団にしか見えない(市役所のロビーにしきりを立て、作品を隙間無く詰めて貼るような方法だったので)。
一枚一枚の絵の力が、伝わって来ない!


こういうのこそ、自治体でもう少しまともなギャラリーを用意し、簡易でいいから額装し、そして、地元の美術系・アート系大学で学芸員課程を履修している2、3年生にでも、単位取得のための活動としてこの作品展のキュレーター役を任せ、市内の小学3〜4年生*2の社会科見学や総合学習の時間のテーマにでも充てればいいのに、と、強く感じた。


自分は大学の時に、同じ学芸員課程*3を履修し、展示の仕方の基本を叩き込まれたから。


作品の中心を床面から150cmの高さに統一し、作品と作品の間隔をある程度とり、壁面の横幅から作品の横幅合計を引いた長さを作品数で割って、それを作品同士の間隔にする。
ライティングは作品を殺さないように。温湿度管理。説明の仕方。接客。パンフレットの作り方。DM……。


作品は見せ方次第で、生きも死にもするのだ。お金をかけず、その観点を与えられる人たちだっているのに。


ひとの生き死にを描写した作品群だ。もったいない。あまりにも。そんな作品、そうそうお目にかかれない。
やりようと企画のしかたで、人員や場所、管理や運営など、ある程度何とかできるんじゃないだろうか。
これでは作品が死んでしまうのではないか……。


だれか、福井のこの方達の美術活動を、学芸員の見地から支えてあげて欲しい!
NHK福井放送局の代表電話は電話0776-28-8850だ。NHK総合で、2007年9月15日(土)に少なくとも関東地方では午前10時から放送されていたハイビジョンふるさと発「あの炎を忘れない〜市民が描いた福井空襲の絵〜」という番組。
福井県の美術系学芸員課程履修者の学生の皆さん、博物館実習の企画展にピッタリのテーマが、ここに転がっているよ!
だれかやって。それを祈りたい。

*1:自らも戦争を体験なさった方

*2:参照:http://d.hatena.ne.jp/Yuny/20070905/p3

*3:資格は目的ではなく、音楽に興味がある人間の端くれとして物の見せ方を学ぶために履修し、結果として資格を頂いた。